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今回はこういうお題でいきます。カテゴリは怪談論ですね。
自分が当ブログに書いている怪談は、ほとんどが創作です。また、
ネットで出回っているものの多くもそうでしょう。ただ、世の中には、
怪談としか呼べないような事件も実際に起きてるんですよね。
これは、猟奇犯罪事件ともまたちょっと違っています。

そういうのは、できるだけ記事の中でご紹介するようにしてきましたが、
いくつかふり返ってみたいと思います。最後に新ネタも入れてあります。
「人体の不思議展事件」 中国の話です。
古代中国は怪談の宝庫でしたが、現代でもそれは変わりません。
臓器関係や人肉食、食品汚染などいくらでもあります。

人体の不思議展は、プラスティネーションという方法で加工された
死体を1995~2012年にかけて巡回展示していた興行で、
その死体の身元は不明ですが、多くは死刑囚のものではないかと言われます。
その中で呼び物だったのが、妊娠8ヶ月とされる女性の死体を
腹中の胎児とともに展示したものでした。

プラスティネーションを行うには、死後すぐに加工を始めなくてはなりません。
この展示死体の場合、手枕のポーズをとらせ、腹部の皮をはいで
胎児をむき出しにし、胎児のほうにも樹脂を注入する必要があります。
中国ネットでは、この死体は、張偉傑という大連のテレビアナウンサーの
ものではないかという噂が出ています。

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張は、大連市の市長であった薄熙来の愛人でしたが1998年に失踪。
失踪当時、薄の子どもを妊娠していて8ヶ月でした。その後、薄は
妻とともにイギリス人殺人事件に関与して中国当局に逮捕され、収賄も
摘発されて無期懲役判決を受けます。で、この夫婦、死体を加工していた
大連の会社に資金を投資し、死刑遺体のルートも提供していたとされます。

「御殿場市殺人事件」1987年、静岡県御殿場市の川原で男性の絞殺死体が
発見され、会社員のAさんと判明しました。妻の話では、それまで
たびたび不審電話がかかってきていて、その日もAさんは電話で呼び出されて
川原に向かった。しかし警察はこの証言を怪しみ、
妻を追求した結果、殺人を自白したんです。

で、この殺人が起きる少し前、妻は「女性セブン」の心霊写真コーナーに、
自分の息子を撮ったスナップを投稿しています。その写真の霊自体は、
木の葉の重なりが人の姿に見えなくもないというあいまいなものでしたが、
当時、心霊写真の第一人者であった中岡俊哉氏が鑑定して、
「被写体の子ども、あるいは撮影者に霊障のおそれがある」と述べています。

「女性セブン」誌の心霊記事
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ただ、この投稿が載った女性セブンの発売は殺人が行われた後のことで、
編集部では、中岡氏の鑑定が殺人行為に影響を与えたわけではないと弁解します。
この殺人犯の妻が、その心霊写真の中に何者の姿を見たのか、
そのときの心理を考えると背筋に冷たいものを感じますね。

「スレンダーマン殺人未遂事件」 これはアメリカの話。スレンダーマンとは、
異様に手足が長い長身の男で、顔はのっぺらぼう。子どもをさらうとされて
いますが、もちろん実在ではなく、アメリカのネット掲示板に投稿された
加工画像なんです。それがつくられた経緯もはっきりしています。

ところが、2014年、ウイスコンシン州で、14歳の少女2人が、
同級生の少女を押さえつけてナイフで19回も刺す事件が発生。
幸いなことに、被害者は重傷でしたが生きのびています。
主犯格の少女は、ネットで読んだスレンダーマンのサイトに触発され、
手下になるための条件をクリアするために犯行に及んだと証言しています。

また、スレンダーマンが彼女を監視して心を読み、司令を与えていると
信じていたそうです。明らかな創作物が、実際の事件の原因になったわけです。
この事件の裁判は現在も進行中で、犯人は未成年なんですが、第一審では、
主犯格の少女に対して、25年間の精神病院への収容という判決が出ています。

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そろそろ残り字数が少なくなってきたので、新ネタにいきましょう。
これはご存知でしょうか。「三原山連続自殺事件」 古い話です。
東京都、伊豆大島にある三原山は自殺の名所で、1933年だけで、
なんと男性804人、女性140人、合計944人の投身自殺が起きてるようです。

1933年(昭和8年)、実践女学校の生徒、松本貴代子が親友の富田昌子に
自分の死を見届けてくれるように頼み、火口に身を投げました。
この事件について警察の捜査が進むと、富田は1ヶ月前にも、
別の女子生徒の依頼をうけ、同地で自殺に立ち会っていたことが判明します。

新聞やラジオで、一連の自殺事件を大々的に報道すると、
警察の取り調べとあいまって精神を病んでいた富田は、同年中に死亡。
死因は髄膜炎と発表されました。三原山火口にはたくさんの野次馬が押しかけ、
中には自殺志願者も多く、見物人が「誰か自殺するやつはいないのか」と
声をかけると、「おお」と答えて簡単に飛び込んだと当時の新聞に載っています。

三原山火口の古い写真、これってゴンドラに人が乗ってる?
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怖いですね。こういうのを「ウェルテル効果」といい、「自殺報道の影響で
自殺が増える」現象をさします。これは実際に確認されており、日本でも、
1986年のアイドル歌手岡田有希子の飛び降り自殺を受けて、30名あまりの
若年者が高所から飛び降り自殺しています。X JAPANのhideのときにも起き、
警察の要請で、メンバーが自殺を思い留まるよう呼び掛ける記者会見を開きました。

さてさて、ということで、まだまだあるんですが、これくらいにしておきます。
悪趣味と思われるかもしれませんが、自分はオカルト研究者として、
こういう事例をデータ化してファイルに保存してるんです。

今後も小出しにしていくつもりでいます。では、今回はこのへんで。