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今回はこういうお題でいきます。カテゴリはUMA談義ですが、
じつは、ネッシーはUMAですが、モササウルスをUMAと言うのは
難しいんですね。UMA(Unidentified Mysterious Animal)とは、
目撃例や画像のみがあって、正体がはっきりしていない生物のことです。

ですから、「ある水域に何か不思議な生物がいるようだ」
こういう噂が出ている時点ではUMAなんですが、
もしそれが捕獲され、モササウルスと同定されてしまった場合には、
既知の古代生物の生き残りということになってしまいます。
ま、シーラカンスと同じようなあつかいになるわけですね。

さて、モササウルスは中生代白亜紀後期の約7900万 ~
6500万年前に生息していた肉食海棲爬虫類です。
恐竜と生息していた時代がかぶっていますが、恐竜ではありません。
また、モササウルスというのは属の総称で、その中に何種類かがいます。

体長は約12~18メートルと大きく、現存するホオジロザメの4倍、
ジンベイザメの1.5倍の大きさがあります。胴体は細身で、
長い尾部を持っています。化石からはヒレの形状はわかりませんが、
現在のサメに近かったのではないかとする研究者もいますね。

映画 『ジュラシックワールド』
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性格は凶暴と考えられています。これは、発見されるモササウルスの
化石で、骨にまでケガを負っているものが大変に多いためで、
同種間での縄張り争いによるものと見られています。
食べていたのは、同時代の大型の魚類、爬虫類など。

かつては、ものかげに潜んで獲物を捕食していたという説が有力だった
んですが、最近の研究では、自分から積極的に狩りをして、
獲物を追いかけていたのではないかと考えられるようになりました。
当時の魚類などは、時速40kmほどで泳げたと考えられていて、
モササウルスはそれ以上の速度を出せたのかもしれません。

ちなみに、ホオジロザメが時速30kmほど、シャチが時速70km
程度と考えられています。白亜紀後期の海洋生物の食物連鎖の頂点に
立っていたわけですが、なぜ絶滅してしまったのかは、
他の恐竜類と同じで、約6600万年前にユカタン半島に衝突したと

考えられる巨大隕石(小惑星)による気候変動のためです。
このときには、海洋生物の約70%がいなくなるという
大絶滅が起きてるんですね。ですから、モササウルスが現在まで
生き残っている可能性は、かなり厳しいと見るしかないようです。

「動く棺桶」と呼ばれ、戦死率の高かったUボート


さて、このモササウルスを目撃したのではないかとする記録が残っています。
時は第一次世界大戦世界大戦のさなか、1915年7月30日、
場所はアイルランドのファストネット東南沖約14kmの海域、
ドイツ海軍第4潜水艦隊所属のUボート、U-28からの魚雷攻撃を受け、
イギリスの貨物船イベリアン号が沈没しました。

すると、船体の機関が爆発した衝撃で、巨大な生物が水面に浮き上がって
きました。その生物は全長が20mほどもあり、大きな4つのヒレと長い尾を持ち、
ワニの首を長くしたような姿をしていました。怪物はそのまま海に沈んだため、
写真撮影することはできませんでした・・・

モササウルスとUボート
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この話も、UMA本にはほぼ必ず載っていますね。ちなみに、Uボートの
フォストナー艦長のこの話が掲載されたのは、1933年10月19日付の
ドイツ新聞『アルゲマイネ・ツァイトゥング』です。
なんと、実際の目撃から18年もたってからのことです。

不思議ですよね。軍事上の秘密とも考えにくいし、
なぜずっと黙っていたんでしょう。これについて調査したのが、
イギリスの作家・歴史研究者であるマイク・ダッシュ(Mike dash)氏です。
この人の本は日本でも何冊か翻訳・刊行されています。

マイク・ダッシュ氏
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ダッシュ氏の調査によれば、まず、U-28号の当時の水兵で、
フォストナー艦長以外に、怪物の目撃談を話していた人物はいなかったこと。
そして、船長が新聞に目撃談を発表した1933年には、
当時の船員は一人も生き残っていなかったことが、つきとめられています。

さらに、U-28号のイベリアン号撃沈時の航海日誌が発見され、
そこには、怪物の目撃記録はまったく載っていなかったことも判明したん
ですね。これは怪しさ爆発です。残念ながら、ドイツ貴族の男爵でもあった
フォストナー艦長によるホラ話だったのではないかと、

現在は考えられているようです。

 

この1933年は、じつはイギリスでネッシーの噂が初めて流れたのと

同時期なんです。ですから、うがった見方かもしれませんが、

イギリスがそういう怪物話を出すならドイツにはこんな話があるんだぜ、

という具合に、フォストナー艦長が対抗的に話を出した可能性も

取りざたされているんです。

 

U-28号の当日の航海記録

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さてさて、では、モササウルスが実際に生き残ってる可能性は
ゼロなんでしょうか。これは難しいですね。モササウルスと並ぶ海棲の
巨大生物に、メガロドンがいますが、メガロドンはサメ、つまり魚類ですので、
空気呼吸が必要ないし、深くまで潜ることができます。
しかし、爬虫類のモササウルスはそうはいきません。

もし海面近くにいるのなら、もっと目撃例があってもよさそうなものです。
ただ、トルコのヴァン湖で目撃される「ジャノ(ジャノワール)」というUMAの姿が、
モササウルスに似ているという話もあります。ヴァン湖は塩湖で、
陸封されたモササウルスがいるのかもしれません。ぜひ生き残っていて
もらいたいものです。では、今回はこのへんで。

「ジャノ」とされるUMA画像

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