最近「なんとかムーン」が乱立!
今日の月は「◯◯ムーンで特別らしいよ」って、我々地球人の大好物なワード。
そして今月8月は特別な「ブラックムーン」の月なんです。(GIZMODO)


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今回は、科学ニュースからこういうお題でいきます。近年、天体観測ブーム
なのかどうかわかりませんが、引用ニュースにあるように、
「○○ムーン」という言葉を多く聞くようになりました。
自分は占星術師なので、晴れていれば天測をすることにしてるんですが、
このところ深夜になっても外はむっとする暑さで、とても長くはいられません。

まあこれは、大阪が大都市なせいもあると思います。
ヒートアイランド現象が起きている。さて、〇〇ムーンですが、
これには天体現象であるものと、そうでないものがあります。
天体現象は、実際に宇宙で何事かが起きているということで、
そうでない場合は、主に人間側の都合によって呼ばれるものです。

・ブラックムーン
この8月はブラックムーンの月なんですが、これは天体現象ではありません。
月の満ち欠け(朔望)には周期があって、月の複雑な軌道のため、
およそ29.27日から29.83日の幅となっています。
日本で昔使われていた太陰太陽暦では、朔(月が見えない新月)の日を、
その月の第1日目に合わせることにしていました。

月の朔望


で、その計算をもとに大の月(30日の月)、小の月(29日の月)が
決められていたわけです。ところが、現在使われている太陽暦は、
太陽の動きがもとになっています。2月をのぞけば、ひと月は30日か
31日ですよね。そうすると、1ヶ月の中に朔の日が2回出てくるという
ことが起きてしまいます。

今月の場合、8月1日と8月30日の夜が朔ですので、
ブラックムーンの月というらしいです。ただ、1日と30日の両方の月を
ブラックムーンというのか、それとも30日だけなのか、
よくわからないですね。まあ、どうせ呼び名だけの話なんですが。

・ブルームーン
これも天体現象ではありません。ブルームーンにはいくつかの定義があって、
一つめは、そのものずばり「青く見える月」のことです。
月が青く見えるのは、多くの場合、地球大気中の塵の影響によります。
この塵は火山現象などで発生するので、いつ起きるかわかりませんし、
月を観測する場所によっても違います。

『狼男アメリカン』
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もう一つの定義は、1年を二至二分(春分・夏至・秋分・冬至)で4つに
分け、その3ヶ月の中で4回満月があるとき、その3回目の満月を
ブルームーンと呼ぶというものです。最近では、今年の2月19日が
ブルームーンでした。これも、特に意味のあるものではないですね。

・ストロベリームーン
6月の満月のことを言います。これも天体的な意味はありません。
アメリカ先住民のオジブワ族は、ずっと採集を中心とする生活を送ってきたため、
その時期に採集するものの名前で月を呼んでいました。
で、6月の場合はそれがイチゴだったので、ストロベリームーン。

日本では、近年になってよくマスメディアで取り上げられるようになりましたが、
「月がイチゴのように赤く見える」という誤解が広まってしまいました。
ただ、6月は月の軌道が低くなるため、夕日と同じ原理で赤っぽく見える
ことがあります。ストロベリームーンを恋人といっしょに見ると、
その恋がかなえられるという話がありますね。

水平線(地平線)に近い月は赤く見える
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・スーパームーン
これは天体現象です。月の軌道は楕円形のため、地球に近いときと
遠いときがあります。地球から月までの平均距離は約38万km。
近いときには約35万km、遠いときは40万kmほどです。
この近いときの月をスーパームーンと言い、遠いときはマイクロムーン
などと言ったりもしますが、こちらはあまり広まっていません。

月が地球に近づいている期間は長いので、1日だけで終わる現象ではなく、
とうぶんの間、月は大きいまま。ですから、雨で見逃しても大丈夫です。
正式な天文用語ではなく、自分の先輩であるアメリカの占星術師、
リチャード・ノールが雑誌に書いたのが最初と言われています。

このスーパームーンには怖い話もあり、月が近いと潮汐力が大きくなります。
2011年3月11日の東日本大震災や、2004年のスマトラ島沖地震は、
スーパームーンで月が最も近点にきた1〜2週間以内に発生しているんです。
これは間違いなく相関があるはずです。

地球から見えるスーパームーンとマイクロムーンの大きさの比較
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・ブラッドムーン
これも2つの定義があって、一つめは、皆既月食のとき月が血(blood)
のように赤く変色した場合を言います。これは不吉だとされ、
凶事を予言するとも言われますが、じつはけっこう頻繁に見られるもので、
次に日本で皆既月食が見られるのは2021年5月26日のようです。
もう一つは、10月の満月をそう呼ぶこともあります。

・アメリカの満月の呼び名
みなさんは中学校の英語の時間に月の呼び名を暗記させられた記憶が
おありだと思います。January、February・・・というやつですが、
これの他に、その月の満月についての俗称があるんですね。
アメリカ先住民の呼び名です。ご紹介すると、

皆既月食時のブラッドムーン
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1月「Wolf Moon」(狼月)  2月「Snow Moon」(雪月)
3月「Worm Moon」(芋虫月)  4月「Pink Moon」(桃色月)
5月「Flower Moon」(花月)  6月「Strawberry Moon」(苺月)
7月「Buck Moon」(牡鹿月)  8月「Sturgeon Moon」(チョウザメ月)
9月「Harvest Moon」(収穫月)  10月「Hunter’s Moon」(狩猟月)
11月「Beaver Moon」(ビーバー月)  12月「Cold Moon」(寒月)

誤解を招きやすいのは4月の「Pink Moon」で、月がピンクに見える
わけではなく、Phlox (フロックス)というピンクの花が咲く時期です。
3月は、暖かくなって木の幹から虫が出てくる月、7月は牡鹿の新しい角が
生えてくる頃。8月は五大湖のチョウザメを狩るシーズン。ほとんどが
アメリカ先住民の習慣からつけられています。では、今回はこのへんで。

フロックスの花

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