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今回はこういうお題です。UMAのカテゴリですね。
「シーサーペント(sea serpent)」は海蛇(かいだ)と訳され、
海に生息する、脚のない巨大な怪物のことです。ちなみに海蛇(ウミヘビ)は、
実在する生物で、そんなに大きなものはいませんが、
鮮やかな色をしていて、致死性の強い毒を持っている種類が多いんです。

ウミヘビ
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さて、歴史上で目撃されたシーサーペントについて、逸話を列挙していっても
いいんですが、すでにUMA系の立派なホームページがいくつもあるので、
ここでは、自分が好きな話を一つだけご紹介したいと思います。
「モノンガヘラ号事件」と聞くと、ははあ、あれかと
思われる方もいらっしゃるでしょう。

1852年1月13日、南太平洋の赤道付近で、アメリカの捕鯨船、
「モノンガヘラ」号の見張りが、海中を激しく動く巨大な生物を発見した。
クジラなら捕りにいくだけだが、しばらく観察しても船長にも何だかわからない。
とりあえずボートを下ろすことにした。この当時は母船から砲で銛を打つ
のではなく、小さなボートからクジラに対して手で銛を投げていたんですね。

木製ボートにある種の貝がくっついたもの
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くりだした3艘のボートの先頭に立ち、シーバリー船長が生き物に一番銛を
打ちこんだ。生き物はいったん海に沈んだが、すぐに3m以上ある長い頭が
海中から立ち上がり、ボートに向かってむかって突進してきた。
3艘のボートはすべて、あっという間にひっくり返り、
船員たちはなんとか泳いで母船に逃げ帰った。

最大7mになり、海に生息するモンスター イリエワニ
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銛にむすんだ網はどんどん伸び、300メートルになっても足りず、
つぎ足された。遠くから生き物の叫び声が聞こえてきた。
翌日の朝方、ようやく怪物の死体が海面に浮き上がってきたが、
経験のある船員でも、そのような生き物をこれまで見たことがなかった。

絶滅した?海棲爬虫類 モササウルス 全長は最大で18m


その怪物は「モノンガヘラ号」(約30メートル)よりも長く、
胴の幅は最大の部分で15メートルもあった。頭部はワニに似ていて、
長さ3メートル、口の中には24本の鋭い歯があり、
歯の大きさはおよそ8センチ、ヘビの歯に似て内側にカギ形に曲がっていた。
色は茶色がかった灰色で、幅約1メートルの明るい縞が全体にあった。

サルパの群体 数十mにもなる
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シーバリー船長は、怪物の首を切断し、保存のため大きな塩漬けの桶に入れ、
近くにいたレベッカ・シムズ号のガヴィット船長に託し、
ニュー・ベッドフォードへ送った。しかし、その後、モノンガヘラ号は
消息不明となり、何年かのち、「モノンガヘラ」の船名板が、
アリューシャン列島のウムネク島の浜辺に流れついた・・・

子どもの頃にUMA関係の本でこの話を読んだときにはワクワクしました。
話の内容がすごい具体的ですよね。
ニュー・ベッドフォードに送られた怪物の首はどうなったんだろうと、
世界地図で地名を調べたりしたもんです。ですが、残念ながらこの話、
海外サイトなどを調べると、どうやら創作みたいなんですね。

打ち上げられた巨大な流木
タイトルなしvvv

さて、目撃されたシーサーペントの正体としては、いろいろな説が
あげられています。まず1つめは海藻のかたまりや流木を誤認した説。
海藻は動かないだろうと思われるかもしれませんが、ゆっくり走る
船の上にいると、自分は動いておらず、相手のほうが進んでいると
錯覚することがないわけではない気がします。

50m以上になる海藻 ジャイアントケルプ
めめめm

2つ目は、既知の生物を誤認したもの。例えばクジラの誤認。
みなさんはクジラと言えば、マッコウクジラのようなゴツいのを思い浮かべ
られる方が多いんじゃないかと思いますが、クジラの種類は多く、
その中には、かなり細長い形状のものがいるんです。
中型クジラはむしろそのタイプが多いんじゃないかな。

ニタリクジラ 最大15m
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それから、リュウグウノツカイ誤認説。リュウグウノツカイは深海魚と
言われますが、そんなに深場にいるわけでもなく、海流などの関係で、
海面まであがってくることも多いんです。台風の後などには、
海岸に打ち上げられたものが見つかります。日本海側と太平洋側では
タイプが違い、太平洋側のは10mを超えるまで大きくなると言われます。

かなり大きなリュウグウノツカイの個体
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それと、シーサーペントには「背中にコブがあった」という証言もありますが、
ここから、列をつくって泳いでいるイルカ、またはアシカやオットセイ、
セイウチなどの海獣類を誤認したという説もあります。
あとは、小魚の群泳やクラゲなどの群体を見誤った可能性も指摘されています。
海洋生物の中には、蛇と見まがうような細長いものは珍しくないんです。

イワシの群れ
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こういうふうに書くと、海を知りつくしている船員や漁師が見間違いを
するはずはない、という意見が必ず出てくるんですが、
はたしてそうでしょうか。下の画像は、ラブカという原始的なサメですが、
ベテラン漁船員でもまず見ることはない珍しいものです。

原始的なサメ ラブカ 2mほど
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もちろん、海は広大で、神秘にあふれていますから、
未知の巨大生物がいるのかもしれません。そう考えたほうがロマンがあります。
ただ、これはネッシーなどでも言われることですが、その種が存続するためには、
ある程度まとまった個体数が必要です。数百という数だと、完全な絶滅危惧種に
なってしまいます。数千でも危ないかもしれません。

イルカの一種 スナメリ 2mほど
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まあ、古代に絶滅したと考えられ、1952年まで発見されなかった
シーラカンスのような例もあります。かつては広範囲の海域にいたものが、
だんだんに生息域がせばめられ、ある特定域だけにまとまって
隠れひそんでいる可能性はゼロではないでしょうね。人間が来ることのない
深海にいて、ときおり浮上するのかもしれません。

さてさて、ということで、シーサーペントの正体は、誤認以外に、
古代海竜の生き残り、つまり爬虫類説。巨大ウナギなどの魚類説。
未知の海棲哺乳類説、イカ・タコなどの軟体動物、クラゲ類などなど
諸説入り乱れている現状なんですね。では、今回はこのへんで。

オーストラリアの有名なシーサーペント写真、捏造の疑いが強い
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