全長23メートル、体重20トンの超巨大ザメ“メガロドン”の恐怖を描き、
全世界興収3億ドル突破を果たした『MEG ザ・モンスター』。
200万年前に絶滅したとされるメガロドンの真実とは? (映画.com)


メガロドン

今回はこの話題でいきます。ひさびさのUMAのカテゴリですね。
9月7日から公開される、映画『MEG ザ・モンスター』のMEG(メグ)とは、
学名 カルカロクレス・メガロドンの略で、絶滅した古代鮫のこと。
要するに、新手のサメ映画なわけです。
ただし、メガロドンについては、絶滅していないとする意見もあります。

まず、メガロドンはいつころ生息していたのか? これは、約1800万年前から
約150万年前とされます。恐竜の絶滅が、約6500万年前ですから、
それよりもずっと新しい生物です。人類の誕生を約400万年前とすると、
時代がかぶっていることになりますが、ほとんど接点はなかったでしょう。

次に、メガロドンの大きさですが、映画の設定は体長23m、体重20t。
ただし、実在したメガロドンの体長には諸説あります。
これは、サメが軟骨魚類であり、化石は歯しか残らないためです。
かつては、体長40mあったのではないかという説もありましたが、

現在は否定され、最大でも12m程度ではなかったかと考える研究者が
多いようです。だいたいジンベイザメの最大クラスと同じくらいですね。
ちなみに、映画『ジョーズ』に登場したのは、現存するホオジロザメですが、
最大で6mほどですから、メガロドンはその倍くらいの大きさです。

メガロドンの歯の化石


あと、メガロドンの体型は、ホオジロザメの巨大版として復元されることが
多いんですが、近年になって、その近縁性は否定されるようになりました。
ですから、メガロドンがどんな姿をしていたのか、正確にはわかりません。
また、ホオジロザメがメガロドンの子孫ということでもありません。

次、メガロドンはなぜ絶滅したのか? これにはいくつかの説があります。
まず、メガロドンは4m程度の小型のクジラを餌にしていたと考えられますが、
そのクジラ類が海水の冷たい海域に適応して逃げ込んだため、
餌がなくなったから、という説。サメは魚類で変温動物なので、
冷たい海まで追いかけていけなかったということですね。

他の説として、メガロドンの絶滅の時期と、現生するシャチやホオジロザメの
登場の時期とが重なっており、メガロドンはこれらとの生存競争に負けて
絶滅したのではないかとする説です。うーん、もしこれが正しいとしたら、
メガロドンってあんまり強くなかったんですね。

少し話を変えて、動画サイトなどには、シャチとホオジロザメのどちらが強いか、
比較する映像などが出ています。体の大きさはほぼ同じですが、
戦えばシャチが圧勝します。シャチはサメを襲って食べますが、
サメがシャチを襲うことはありません。
(病気や外傷で弱った個体を、サメが食べることはあるかもしれません)

これは、魚類の中でも軟骨魚類であるサメと、哺乳類であるシャチの体の
つくりの違いが最大の原因です。下の図を見れば一目瞭然ですが、
シャチは太い背骨、強靭な肋骨を持っていて、
体当たり一発でホオジロザメを殺すことができると言われます。

サメとシャチの骨格


また、運動性能もかなり違います。シャチの最大速度は時速70km、
ホオジロザメは、大型魚類の中では速いほうですが、それでも時速30kmと、
シャチの半分しかありません。さらに、体の柔軟性も大きな差異があり、
ホオジロザメはゆっくりとしか向きを変えることができませんが、
シャチは上昇・下降、急転回など自由自在です。

水中でキリモミ状に回転したりすることもできます。これに対し、
サメは腹を上にすると動けなくなってしまいます。シャチが、
戦法としてサメを上向きにして弱らせる様子が、動画サイトには出ていますね。
さらに知能の面、サメは単独行動することが多いのに対し、
シャチは群れをつくって集団で狩りをします。

宙返りをするシャチ、サメにはこのような動きはできません
ダウンロード

このあたりのことから類推すると、メガロドンの泳ぐスピードは遅く、
動きも鈍かったのではないかと考えられます。ですから、より小回りの利く
ホオジロザメやシャチの登場によって、メガロドンが生存競争に破れて
淘汰された可能性は十分あるんじゃないかと思います。

さてさて、メガロドンは現在も生き残っているのか?
ちなみに、メガロドンはUMAではありません。UMAの定義は完全な未知生物ですが、
メガロドンは既知の絶滅生物です。うーん、どうでしょう。
メガロドンとされる写真や目撃証言はいろいろあります。

下の画像などがそうです。前にいるのがクジラで海が血に染まっていて、
後ろに背びれが見えるのがメガロドン。背びれの長さは1.8mとされていますが、
比較対象物もないですし、これだけではなんともいえないですね。
次の画像は、前にある潜水艦と比較はできますが、
一匹の個体ではない可能性もあります。

メガロドンとされる画像
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この他、乗っていた船が海中の何かに衝突し、後で調べてみると、
巨大な歯形がついており、ホオジロザメの何倍もの大きさの歯が刺さっていた。
そういう話もいくつかありますが、確証とはいい難いものです。
また、目撃証言の中には、オンデンザメなどの既知の巨大ザメを
メガロドンと見誤っている場合もあるでしょう。

さてさて、ここまで否定的なことを書いてきましたが、
生き残っていない、という証拠もないわけで、オカルトフアンとしては、
もちろんメガロドンが生き残っていたほうが夢があります。
いつか、動かぬ証拠が発見されるかもしれませんね。では、今回はこのへんで。