今回はこういうお題でいきます。数秘術とは、ひらたく
言えば「数占い」のことです。数字には神秘性があり、
それをもとにして未来を占うことができるとするのが
数占いです。占星術と並んで、古代から世界の各地で
行われていました。

さて、数字はいつから使われだしたのか?これははっきり
わかりませんが、約6000年前のメソポタミア地方で
シュメール人が使っていた楔形文字ではないかと言われることが
多いですね。あと現在世界で共通して使われている数字は、
約2000年前にインドで始まったアラビア数字です。

0「ゼロ」の概念があるのが特徴です。では、日本では
数字がいつから使われだしたか。これがはっきりしないんです。
数を刻んだ木とか、縄の結び目のようなものが出土しない。
ですから、日本人の数の概念の発達はよくわかりません。

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古代の日本人は何桁まで数を数えることができたのかなど、
考古学でも難しい分野です。むしろ文献のほうで、8世紀に
できた『古事記』の記述などから推察するしかないんです。
ただまあ、物を分けることは古くからあったと考えられ、
何らかのものはあったんじゃないかと思います。

世界の数の表記法には、10進法の他に12進法があります。
12進法って、物を分けるのに便利なんですよね。
12の半分は6、3分の1は4、4分の1は3、という具合に、
10よりも約数の数が多いからです。

ピタゴラス 実際に写した彫像や絵はありません


さて、概論はこれくらいにして、数秘術とは一般的に
古代ギリシアの数学者、ピタゴラスとその教団が考え出した
ものと言われます。ピタゴラスは前6世紀頃の人ですが、
この頃の数学は宗教と深く結びついていました。

ピタゴラス教団では集団で数学の研究を深めていましたが、
成果は秘密とされ、外部に漏らした場合、死刑という
決まりだったとも言われます。ですから、ほとんど記録が
残っていません。そのため、ここから書くことは伝説です。

ピタゴラス教団では、理性が1、女が2、1+2=3ですが、
これが男。失礼ですね。女には理性がないということに
なります。で、2+3=5で、5は結婚。
ピタゴラス教団では10が完全数と考えられていました。
また、ピアノなどをやられた人は楽典を勉強されたと



思いますが、あの基礎をつくったのもピタゴラスと言われ
たりします。和音は音の周波数により、三和音、四和音
などがありますが、これは数的に計算することができます。
ピタゴラスは、この世のものは整数とその比(分数)で
表すことができると考えました。

さて、ピタゴラスの後、その思想はプラトンに引き継がれ、
数学の発展とともにさまざまな方法論が考え出されて
いきます。さらに、西洋占星術やタロットなどとも結びつき、
ユダヤ教のカバラによってさらに深化し、ルネサンス期には
ヨーロッパで隆盛を極めます。

キャプチャ cv vc

ここからは映画の話で恐縮ですが、『ハリー・ポッター』  
シリーズの第2作で、「数占い Arithmancy」という科目が
ありましたが、これはピタゴラスがルーツの
数秘術 Numerologyをもとにしたもののようです。

この他、ホグワーツ魔法学校では、トレローニー先生が
教えている「占い学」というものもあり、ハーマイオニーも
マクゴナガル先生も、占い学は信じておらず、馬鹿にした
ような描写が出てきます。まあ、変わった先生でしたから
かもしれませんが、数秘術は、方法にしたがえば



誰がやっても同じ結果になりますよね。それに対し、
映画で出てきた占い学では、紅茶のカップについたシミを
解釈するなど、占いをする者の主観で結果が出てきます。
ですから、あんまり信じられていないんじゃないかと
思います。ただトレローニー先生には予言の力がありましたね。

さて、よく使われる数秘術の方法は、生年月日や姓名を数字に
置きかえて、ひと桁になるまで全ての数字を足し、最後に出た数字
(数字根)の持つ意味から占います。これは日本の姓名判断
などにも影響を与えています。テーブルマジックなどにも
応用されてますね。



あと、中国では古代から易の考え方が発達し、これには数も
深く関連していますが、西洋の数秘術とは直接の交流は
ほとんどなかったと思われます。日本では、こちら系の
占いのほうが多いかもしれません。

さてさて、ということで、数秘術についてみてきました。
自分は本業が占星術師で、数占いやタロット占いなども
研究はしていますが、どれも深い内容で、調べていくと
きりがないんです。では、今回はこのへんで。