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今回はこういうお題でいきますが、これもじつに
難しい話で、妖精という概念ができたのはヨーロッパ
なんですが、そこでもはっきりした定義は定まって
ないんですよね。この間、幻獣について書きましたが、
ユニコーンなど一部は妖精とかぶっています。

ただまあ、よくわからないながらも、考察してみると、
自分の考えでは2つの流れがあるのかなあと思います。
一つは。ケルト神話由来の、あるいはそれ以前からある
イングランド、アイルランド、ノルマン系の妖精。

このイングランド、ノルマン系の妖精には、ドワーフ、
レプラコーン、ゴブリン、オーク、ノームなどがいます。
基本的に人間のような姿をしていますが、体の大きさは
まちまちで、小人と呼ばれる、人間より小さいものが多い。



独自の言語や文化を持ち、特徴を持っています。
例えば、レプラコーンは金貨を好み、靴を直す、
ドワーフは太っていて、鉱山などに住み、金銀細工や
鍛冶仕事が上手であるなど。自分はこれをケルト系妖精と
分類しています。イギリスの小説家、

J・R・R・トールキンが『指輪物語』などの作品で描いた
ものですね。もう一つは、ローマ神話に多大な影響を
与えたギリシア神話からの流れ。自然界の精であり、
その性質やすみかによって、川や泉の精(ナイアデス)、

ギリシア神話のニンフ
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水の精(ヒアデス)、樫(かし)または木の精(ドリアデス)、
トネリコの精(メリアイ)、山の精(オレイアデス)、
森の精(アルセイデス)、牧場の精(レイモニアデス)
などがいます。これらはすべて若い女性の姿で、
大きさも人間の少女と変わりません。

これらはニンフと呼ばれ、風を起こしたり、草花を
咲かせたり、泉の主となって病を癒やしたり、歌と予言の力で
人間を力づけたりします。神と人間の中間的な存在なんですね。
で、これら2つのタイプの妖精が、近代になるにつれ
だんだんに入り混じっていきました。



それをよく表しているのが、近代イギリスで起きた
オカルト史に名高い「コティングリー妖精写真事件」です。
1917年、イギリスのブラッドフォード近くのコティングリー村
に住む2人の従姉妹フランシス・グリフィス、エルシー・ライトが
撮ったという妖精の写真の真偽をめぐって起きた論争や騒動。

当時、フランシスは10歳、エルシーが6歳でした。これねえ、
写真を見れば、明らかに絵を切り抜いたものであることが
わかるんですが、これを撮影した従姉妹が幼かったこと、
また、写真技術は難しいものと考えられていたこと、
起きたのが田舎町であったことなどが影響し、

あの『シャーロックホームズ』シリーズの著者であるアーサー
・コナン・ドイルが、本物のようだというお墨つきを与えて
しまったため、騒ぎが大きくなったんですね。理屈を
つきつめて犯罪を解決するホームズ物の作者としては意外
でしたが、ドイルは晩年、膨大なオカルトの著作を残しています。

コティングリー妖精写真


また、これはあまり知られていないことなんですが、
ドイルの伯父で、やはり作家のリチャード・ドイルは   
妖精の研究家であり、幼い頃からその影響を強く受けて
いたことも大きかったと思われます。

コティングリー妖精写真を見れば、近代の妖精が、ケルト系と
ギリシア神話系の入り混じった姿であることがわかります。
手のひらに乗るほどの大きさで、背中に蝶などの羽を
生やしている。スコットランドの作家ジェームス・バリーの

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『ピーターパン』に出てくるティンカーベルが
まさにこの姿ですね。いっぽう、ジブリアニメである
『借りぐらしのアリエッティ』に出てくる妖精の一家は、
靴屋の小人などにみる伝統的な感じです。

あとはそうですね。ホラー映画で、妖精や小人が
出てくるものも多いんです。『ダークフェアリー』とか
『レプラコーン』、古い映画では『トロル』などがあります。
小説だと、イギリスのホラー作家ジョン・ブラックバーンの
『小人たちがこわいので』など。

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もちろん妖精という概念はキリスト教には合わないので、
表向きは信じられていませんでしたが、創作物の中に
取り入れられ、現代までずっと続いてきたわけです。
『ハリー・ポッター』シリーズに出てくる庭小人
なんかも妖精ですね。

さてさて、ということで、かなり何でもありの妖精
についてみてきました。うーん、自分的には分析が
いまいち浅い感じもしますが、自分の知識では
こんなところですね。では、今回はこのへんで。