えー今日は表題のようなお話をしてみたいと思います。
当ブログでは物理学的な内容の項もけっこうあるんですが、ヒッグス粒子、
重力波観測、超弦理論と余剰次元、タキオンなどについて、
自分のわかる範囲でそれなりに真面目に書いているつもりです。

今回はそれとは違いまして、エセ科学というか、眉唾な話になりますので、
どうかそのつもりでお読みください。
さて、タイムトラベルで未来に行くことは可能です。というか、
みなさんは実際に未来へのタイムトラベルを何度も経験しているはずです。

例えば飛行機に乗ること。特殊相対性理論によれば、速度の速い乗り物に
乗った人の時間は、乗ってない人に比べて遅れることになっています。
ですから、みなさんが飛行機に乗って降りれば、ごくごくごくわずかなんですが、
そこは未来になっているはずです。ただし、ほんのわずかでしかないので、
未来に来たことを体感することはできないでしょう。

では、過去に行くことは可能でしょうか。これは現時点では
不可能と考えられることが多いんです。もちろん思考実験として、
過去に行くための方法もいろいろ考えられていますが、
存在するかどうかもわからないワームホールや宇宙ひもを使った
非現実的なものばかりです。



かのホーキング博士は「時間順序保護仮説」を提唱して、
もしも時間の流れが狂うような事態が起きようとした場合、
何らかの量子的な効果が働いて、
それを防いでしまうのではないかと述べています。

まあしかし、それだと話が進みませんので、方法はわからなくても、
過去へのタイムトラベルが可能になったとします。
そうすると出てくるのが、有名な「親殺しのパラドックス」ですね。
過去に遡って、自分が生まれる前の両親のどちらかを殺してしまう。

そうすれば当然ながら自分も生まれることができないので、
過去に戻って親殺しを実行することもできない・・・ただSF的には、
このパラドックスを回避するための方法がいくつか考えられています。
一つには平行世界を利用するものです。
平行世界はパラレルワールドとも言います。

パラレルワールドをうまく説明するのは難しいですが、例えばあなたが、
A子さんとB子さんのどちらと結婚するか迷った場合、世界が、
A子さんと結婚した世界と、B子さんと結婚した世界の2つに分かれます。
そしてそういう選択は無数にあるので、
無数のパラレルワールドが存在することになります。



その中には、あなたが今暮らしている世界に酷似しているものもあれば、
まるで違ったものもあると思われます。もしも平行世界が
ほんとうにあるのなら、これは夢が広がりますよねえ。
A子さんと結婚したあなたは、A子さんの浮気に悩まされて離婚してしまった。

平行世界を自由に行き来できるのであれば、
B子さんと結婚して幸せに暮らしているもう一人の自分と
入れ替わることができるかもしれません。いやいや、また別の平行世界では、
A子さんは浮気などしない貞淑な妻なのかもしれません。
さらに別の平行世界では、あなたはまだ花の独身・・・

ちなみに、自分が好きな、マンガの『ジョジョの奇妙な冒険』は、
パラレルワールドを認める世界観でした。
例えば、第七部のスティール・ボール・ランでは、敵役の大統領は、
平行世界を自由に行き来できるというスタンド能力を持ってましたね。

さて、親殺しのパラドックスですが、タイムトラベルで過去に戻るときに、
すでに別の並行世界に入っていると想定すれば、そこで親を殺したとしても、
帰ってくるときに元の世界に戻ってしまえば、パラドックスは生じないわけです。
なぜならその世界の過去では、あなたの親は殺されてはいないんですから。
この考え方はたいへん便利なので、いろいろなSF作品で用いられています。

キャプチャ

パラドックスを防ぐための考え方はもう一つあります。
それは、時間は連続体ではない、とするものです。でもこれ、直感的に
理解しにくいですよね。だって、みなさんの部屋の時計は電池が切れないかぎり、
ずっとぐるぐる動いているわけだし、過去をふり返ってみても、
昨日、一昨日・・・と、つながって存在しているとしか思えないじゃないですか。

でももし、時間は連続しているのではなく、極小の単位でブツブツと切れている、
としたらどうでしょう。例えば、映画のフィルムを考えてみてください。
あれは一コマ一コマごとになっていて、
前のほうのフィルムを切り取ってつなげたとしても、
それで、後のほうのストーリーが変わるわけではないですよね。



もしかしたら、実際の時間もフィルムのように断続的になっている
可能性というのはあるんです。天才物理学者 ロジャー・ペンローズが提唱した、
「ループ量子重力理論」というのがありますが、
じつはこの考え方にたいへん近いものなんですね。

プランク時間という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、5.391×10の-44乗秒というひじょうに短い時間で、量子力学の
不確定性原理との関係上、これが時間の最小単位と考えられています。
これよりも短い時間は存在しない(というか原理的に観測できない)んです。

われわれが体感する時間というのは、じつはこのプランク時間が
ずらずらっと並んだものなのかもしれません。プランク時間の一つ一つが、
フィルムの一コマ一コマにあたると考えてもいいでしょう。ですから、
過去で親を殺したとしても現在に影響はおよばないのかもしれません。

ただしこれ、原因があって結果があるとする因果律を否定することに
なりかねません。つまりあなたの人生は、
もうすでに終わりまで完成してしまった映画のように、
どうやってもストーリーを変えることができないかもしれないんです・・・
この考え方ってけっこう怖くないですか?