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今回はこういうお題でいきます。カテゴリはオカルト論かな。
さて、魔除けというのは、まじないの一種でしょう。
まじないとは、さまざまな民間信仰が混然とした形になっているものです。
前に、当ブログでは「まじない」について考察していますので、
興味ある方は参照なさってください。  

まじないは、大きく分けると2種類あるのかなと思います。
一つは、開運です。積極的に運を自分のほうに引き寄せるためのもの。
もう一つが魔除け、つまり悪運を避けるためのもの。
これは開運に比べれば、消極的な意味にも思えますよね。

イワシとヒイラギの魔除け
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ただ、歴史的には、開運よりも魔除けのほうが古かったのではないかと
思います。みなさんは、例えば、ある石を身につけるだけで運がよくなる、

なんてことがあると思いますか。まあ、一種のブラセボ効果のようなものは
あるのかもしれません。ですが、幸福をつかむためには、
やはり自分が努力することが何よりも大切です。
 

これに対し、不幸はいつ襲ってくるかわかりません。疫病とか、
不慮の事故、そういうのはいくら気をつけていても避けられない場合も

あります。昨日まで隣の家の子と仲よく遊んでいた自分の息子が、
今日、流行病で死んでしまった。隣の子はピンピンしてる。

ハチの巣の魔除け


これは運不運なんですが、どうしても釈然としない気持ちが残ります。
自分の子は、魔に魅入られてしまったのではないか。
そのような偶発的な不幸を避けたい、というのが魔除けの
そもそもの発想ではないかと思います。

さて、「魔除け」に類する言葉はいくつかありますね。

「厄払い」 「邪気払い」などです。これらはだいたい同じ意味で
使われていますが、そもそもの言葉の成り立ちは少し違いがあります。

まず、そのへんをみていきたいと思います。

花火筒の魔除け
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魔除けの「魔」は、サンスクリット語の「マーラ (魔羅)」の短縮形で、
仏教的な意味合いがあるようです。マーラは、仏道の修行を妨害したり、

人の行う善事を妨げるものを指しています。「魔が差す」という言葉が
ありますが、これは、「悪魔が心に入りこんだように、
一瞬判断や行動を誤る。出来心を起こす。」という意味で使われます。


ですから、魔除けとは、外からの影響によって悪い心を起こす、

人生が破滅してしまう、といったことがないよう、自分を守る
ためのものだったと考えます。現代でも、女や金、あるいは酒などで

人生を棒に振ってしまうなんて話は、いくらもありますよね。

次に厄払いですが、この「厄」は、厄病神、疫病神、厄神のことで、
人間界に疫病をもたらす悪い神とされます。
厄病神が村の街道を通ってやってくるのを、注連縄などの結界を張って防ぐ。
これを「道切り」と言いました。

厄病神を通さないための「道切り」
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次は邪気払い、「邪気」とはよくない気のことです。
自分はこれ、神道の影響が強い言葉じゃないかと思います。
神道では、気を重視します。気が充実していない場合を「気枯れ」と言い、
それが「穢れ」という語に変化しました。
 

邪気は、「人の身に病気を起こすと信じられた悪い気」という意味で
使われます。厄と似た意味の言葉なんですね。ただ、
上でも書いたように、「魔除け」 「厄払い」 「邪気払い」は、現代では、

どれも同じような意味で考えてる人が多いんじゃないでしょうか。

ニンニクの魔除け
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さて、では、どうすれば魔を払うことができるのか。一つには、
強いものの力を借りる。「鎮西八郎為朝御宿」と書いた札を家の入口にはって、

疫病が入ってこないようにします。源為朝は剛弓の使い手として知られた

平安時代の武将ですね。この他、「鬼瓦」の怖い顔で魔を
追い返すなどもそうですし、沖縄のシーサーもこれに近いものです。

 

次に、魔が嫌がりそうなものを軒先に吊るす。例えば、嫌な臭いを出す
イワシの頭、ニンニクなどです。ニンニクは西洋でも
ドラキュラ除けとして有名ですよね。この他、トゲトゲのある
ヒイラギの葉や、ハチの巣、花火の殻、蹄鉄など、

地方によっていろいろな魔除けグッズがあります。

あと、籠や笊を魔除けとして用いる地方もありますね。

籠や笊は目(穴)がたくさんあるので、魔が怖がるとされます。また、
籠目は六芒星の形をしていて、それが魔除けになるという説もあります。

六芒星はダビデの星とも言われ、西洋でも呪術的な意味を持っています。

籠目
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さてさて、ということで、ここまで見てきましたが、

いくら自助努力をしても避けようがない不運というのは、人生には
どうしてもあるものです。それをなんとかしたい、そういう昔の人の

気持ちが、魔除けには込められているのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。