今回はこういうお題でいきます。うーん、これは難しい。自分は西洋占星術師なんですが、風水についても中国の古書を読んで少しは勉強しました。でも、なかなか理解できなかったです。まあぼちぼち書いていきます。
風水は古代から中国ではそれらしい考え方があったんですが、はっきり形になったのは、4世紀頃の晋の時代に『葬書』が書かれてからのこととされるのが一般的ですね。作者ははっきりとはわからないんですが、当時の知識人であった郭璞(かくはく)という人だろうということになっています。
で、今の日本では風水といえば、南側を家の玄関にするとかなんとか、家相学と入り混じってしまって、日本独自のものになってしまっているんです。これは中国近代に毛沢東による文化大革命が行われ、その時点で中国の風水の伝統がほとんど絶えてしまい、わずかに香港に残っているだけになってしまったからです。
龍穴神社
つまり本家がなくなってしまったので、日本や韓国では独自に考えを発展させていくしかなかったわけです。もともとこの葬書は、字のとおり墓所の選定法についての内容でした。古来から中国では、死者をきちんと埋葬することが重要視されており、その墓の場所は生者の住居よりも重要視されていたんです。
死者が正しい埋葬のされかたをすれば、その家族は栄えるという考え方だったんです。みなさんは香港映画の『霊幻道士』をご覧になったでしょうか。あの映画で死者がキョンシーになったのは、インチキ風水師によって父親がよくない形で葬られたことが原因でした。
つぎに、風水の目的は何かというと、基本は龍脈を建物や地形によって乱さないことです。龍脈とは龍の背骨のようなもので、気が流れる通り道と考えられました。この龍脈を活断層のことだとする見解もあるんですが、自分にはよくわかりません。
『霊幻道士』
じゃあ気ってなんなんだよ? と思われる方もいると思います。これは日本でも「気力」「元気」「やる気」などという言葉がありますが、物事をよい方向に向かわせるエネルギーのようなものです。
古代の中国では、気は流動的なものであり、人が生まれる時、その気が集まって骨に命を与え、死ぬと骨だけが残される。そのため、よい気が集まる場所に死者の骨を埋葬すれば、よい運気とともにまた新たな命が一族に誕生すると考えられていました。
ちなみに中国の風水の流派には巒頭(らんとう)派と、理気(りき)派とがあります。巒頭とは、その土地の気の勢いを地形等の形成を地形などの目に見えるもので判断する方法であり、理気とは、陰陽五行思想や八卦、易、方位などの目に見えないもので判断する方法で、こちらのほうが占いに近いようです。
風水における重要度では、巒頭が約7割、理気が約3割と言われます。ですから、運気が開けるためには、何よりもまず地形などが重要なんです。風水は『葬書』においては、龍脈の気を受け継いで集中する龍穴(パワースポットのようなもの)に墓を置くと、それによって子孫が繫栄するとされました。
日本でも先祖の墓を粗末にするとよくないことが起きるなどと言われますが、これはもともと風水からきているものかもしれません。さて、風水では5つのことが重視され、これらを五訣(ごけつ)といいます。まず最初は「竜」、これは土地の起伏やうねり、山脈などの形を龍に例えたものです。
次に「穴」、「竜」の中の位置のことで、ここに特によい気が集まります。次は「砂」、「穴」の周囲の空気や、周囲にある土砂、丘や建物などのことです。これらが最適に配置されることで、住む人を健康にします。
それから「水」、水流のことで、「穴」の周囲の河川や道路など、水や車、人間などのとおる道路全般をさします。「穴」の周囲を「水」が取りまくように流れていると、金銭的に裕福になるとされます。
最後が「向」、建物や墓石などの表面側が向く方位のことです。「向」が良ければ、住む人は成功するとなっています。これらの5つを総合的に判断して、墓や住む家の場所を改善する・・・これが本来の風水の意味です。判断には占いの要素も加わります。この他にも細かいことはたくさんありますが、書くと煩雑になりすぎるので、ここでは省略したいと思います。
さてさて、ということで、ざっとですが風水について見てきました。最初に述べたように、玄関には水槽を置いて赤い魚を飼うのがよい、などというのは表面的なことであり、根本は先祖の祀り方にあるんです。ですから、陰陽五行説や鬼門がどうのこうのというのは、日本式に変形された風水なんですね。では、今回はこのへんで。