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今回はこういうお題でいきます。そうですね、みなさんは七福神というと何を思い浮かべられますでしょうか? やっぱり初夢かな。枕の下に七福神がのった宝船を入れて寝ると縁起がいい夢を見られるといいますね。宝船を入れる夜は、12月31日の夜、1月1日、1月2日と諸説ありますが、地域によって違うんじゃないでしょうか。

 

平安時代ころの陰陽道では、年の初めに祓えを行います。これは、災厄を紙を切り抜いた人型の人形に背負わせ、水に流してその1年を健やかに過ごそうとする宮中の行事のことで、それがもとになっています。禊(みそぎ)というのもそうですが、日本では穢れは水で流すことができると信じられてきました。

 

もともとこれも「夢違え」といって、悪い夢を水に流すという形が原型だったと思われます。あとは中国の『東遊記』の影響もあります。『西遊記』の間違いではありません。東遊記は中国の小説で、8人の各時代の代表的な仙人が、船に乗って東のほうへ遊びに出かけるという内容(下図)です。それぞれ違った特技を持っているので、RPGに似ています。

 

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この話が日本に渡ってきて宝船になっていきました。さて、七福神とは一般的に、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天とされています。この中で、6人までがインドや中国由来の神々で、日本の神は一人しかおりません。どれだかわかりますでしょうか。

 

答えは恵比寿様ですね。恵比寿様はもともと記紀に出てくるえびす神がもとになっているといわれていますね。神話の国生みの場面で、イザナギ神とイザナミ神が日本列島を生んだとき、最初に女のイザナミのほうから声をかけたら不具の子が生まれてしまったので、男のほうから声をかけなおした。生まれた子は葦の舟に入れて流してしまったという逸話からきています。

 

漁業と商売を司る神様ですが、浜辺に打ち上げられた鯨のこともえびすといいます。それでその浜が大いにうるおい栄えたためで、転じて海からの漂着物全般をえびす様というようになりました。

 

あとはこの中で一人だけ女性がいます。これはおわかりですね。弁財天です。もとはインドのヒンドゥー教の女神、サラスヴァティー神です。それが仏教に取り入れられて、音楽や芸能、蓄財を司る神となりました。

 

江の島弁財天

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それから、福禄寿と寿老人は姿も似ていますし、同一の神と考えられます。もとになったのは道教の宋の時代の道士、天南星、または道教の神で南極星の化身の南極老人。ただし福禄寿が鶴を連れているのに対し、寿老人は鹿を従えています。どちらも長寿を司ります。そこで寿老人の代わりに吉祥天が七福神に入ることもあります。それだと女性2人になるわけですね。

 

毘沙門天は、もとはインドの戦いの神様で、布袋様は中国で実在したといわれる僧侶がモデルになっています。福つまり幸運を司る神様で、背負っている袋の中にはいろいろな種類の福が詰まっているとされます。大黒天はシヴァ神の化身マハーカーラ神。日本の神である大国主命と同一視されてますね。

 

ということで、ざっと7人の神様について説明してきました。インドで誕生し、仏教に取り入れられて中国から日本に伝わった神が3体。もともと中国生まれの神が3体。日本の神が1体という形になりますね。このあたり、日本の神の成立のしかたを表していて面白いなあと思います。

 

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さて、ここからは七福神巡りについて書いていきます。七福神めぐりというのは、その地域で七福神を祭る寺社を巡ってお参りするというもので、幸運を得られると信じられてきました。東京だと、ルートはいろいろありますが、あまり広い地域を巡るのも大変なので、せまい範囲になっています。あとまあ、それだけ寺社の数が多かったということでもあります。

 

代表的なところでは、例えば浅草の七福神巡りだと、①大黒天 浅草寺(せんそうじ)→②恵比寿 浅草神社(あさくさじんじゃ)→③毘沙門天 待乳山聖天(まつちやま しょうてん)→④福禄寿 今戸神社(いまどじんじゃ)→⑤布袋尊 橋場不動院(はしばふどういん)→⑥寿老人 石浜神社(いしはまじんじゃ)→⑦弁財天 吉原神社(よしわらじんじゃ)

 

というのが一般的ですかねえ。御祭神の中にその神様があれば、別の寺社でもかまいません。この七福神巡りは各県ごとにあって、みなさんがお住みになっている地域でも検索すればルートが出てくると思います。べつにどこからスタートするなどのきまりはありません。

 

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それぞれの寺社を巡った証として印を集めるのも楽しいでしょう。あと、一か所に七福神のすべてが祭られているところもあります。七福神の信仰は、室町時代の末期のころから始まったとされています。その後ずっと民間信仰として続けられてきました。まあ縁起物といっていいかと思います。

 

さてさて、ということで七福神巡りについてみてきました。七福神にはそれぞれ専門のご利益がありますので、自分の目的におうじて、特に重点的にお参りするのもいいかもしれません。では、今回はこのへんで。

 

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