bigbossmanです。今回も、このブログによく登場して
いただいてるKさんんとの話です。初めてお読みになる方の
ために説明しておくと、Kさんは貸しビルや飲食店を
手広く経営する実業家なんですが、ボランテイアで
霊能者としての活動もされてるんですね。お会いしたのは
大阪市内のすっぽん料理屋です。「なあ、bigbossman、
お前が書いてる怖い話の中には、植物が出てくるものも
あるんだろ」 「え? また急にどうしたんです。
まあ、あることはありますけど。でもね、植物の
怪談って難しいんですよ」 「どうして?」 「それは
もちろん、植物が何を考えてるかなんてわからないですから」
「まあそうだろうな。人間は動物で哺乳類だが、植物は
あまりにも生活形態が違う」 「はい」 「でも、
実際に起きた植物の怪談ってあるんだろ」 「・・・そうですね、
よく言われるのは、御神木の祟りってやつです」 「ああ」
「ある神社の御神木の枝が道路にはみ出してきて、それを
伐ったら事故が起きたとか、職人さんが亡くなったとか」
「本当にそんなことがあるのか」 「いや、ただの噂で、
調べても事実が確認できないことが多いですね。おそらくは、
地域の住民が、罰当たりだと考えて反対し、そういう噂を
流してたんじゃないでしょうか」 「だろうな」
「はい。ただ、1件だけ、実際に人が死んだケースがあって、
それもチェンソーで伐っていた当人が、その最中にです」
「へええ、興味深いな」 「どうやら、その木の樹液に含まれる
アルカロイドに対するアレルギーだったみたいで、
アナフィラキシーショックで亡くなった」 「そりゃ祟りの話も
出るわな」 「ええ、でもレアケースです」 「ところで、
植物って意識があるのかな」 「うーん、それは意識とは
何かっていう問題になってくると思います。意識とは何か
という定義そのものがはっきりしてないので」 「ああ」
「まず自意識ということがありますね。自分は自分であると
考えること。例えば鏡を見て、自分が映っていると思う。
人間はそれができますし、チンパンジーなどの類人猿もできます。
けど、できない動物も多いんです」 「なるほど」
「多くの動物は本能的に行動していますが、それ以上のことは
よくわからない。まして植物となると・・・」 「だよな」
「Kさん、何か植物に関係した話があるんですね。聞かせてくださいよ」
「ああ、まあ特に差し障りがあるわけではない。それに、
これ、発端は20年以上も前のことなんだが、それが久々に
解決したんだよ」 「ほう」 「俺は何もしちゃいないんだがね。
東北のほうで、ブナの原生林が広がってる自然公園があって、
そこは管理が厳しくて、ガイドといっしょでなければ入れない。
写真撮影は制限されてるし、木の葉一枚採集は禁止」
「ああ、わかります」 「で、そのときのガイドと俺は知り合いでな。
後日捜索を依頼された」 「捜索・・・行方不明者が出た?」
「ああ、10月のことだった。その日のツアーは20数人、
老夫婦や家族連れが多かった。2時間ほど遊歩道を登り、
また戻ってくる。そのルートには、樹齢数百年という大木があって、
そこで折り返すんだが、家族連れの男の子の一人がいなくなった」
「ガイドがいたんでしょう」 「そう、目を離したなんてことも
ないし、もちろん誘拐とも考えられない。その子は5歳だったが、
一歳上の姉がいて、2人で大木の周囲を回ってた。ところが
姉は先に出てきたが、弟はそのまま消えてしまったんだ」
「両親は?」 「すぐ近くで見てたんだよ」 「ええ?それで」
「そのあたりに隠れてるとか思うだろ。ところがどこにもいない。
それでガイドが警察に連絡し、それから何日もかけて捜索したが
見つからなかった」 「で」 「2ヶ月ほどして捜索が打ち切られて
から俺が呼ばれてね。でも、山歩きは得意じゃないし、役には
立たないと思ったが、とりあえずガイドと2人で現場に行って、
その子が回ってたという木を見てみた。ガイドの話では、
男の子の着てたダウンだけが、木の新芽に引っかかってたそうだ」
「で」 「その木に手のひらで触れてみたら、何か感じたんだよ。
上手くは言えないが、鼓動というか生命力みたいなものを」
「それは他の木が持っているのとは・・・」 「違うように感じた」
「どういうことです」 「木の中に取り込まれたみたいな」
「えー、ありえないですよ」 「うん、過去に聞いたこともない話で
俺も半信半疑だった。そのときには、男の子の両親とも連絡を
取ってたが、まさかお子さんは木の中にいますとも言えんし」
「ですよねえ」 「だからどうにもならなくて、とにかくガイドには
その木にはさわるな、枝打ちなんかもするなと言っておいた」
「で、20年が経った」 「まあそうだが、両親とはときおり連絡は
とってたんだよ。そしたら、姉がときどき奇妙な夢を見るって
話を聞いた」 「どんな」 「その森の木の前にいて、
俺がやったように木の幹に手をあててる。そうすると、言葉を
感じる」 「言葉を感じる?」 「ああ、耳に聞こえてくる
わけじゃなくて」 「で」 「自分はここにいる、眠い、眠い
いくらでも寝られる、そんな感じだったそうだ」
「弟だってわかったんですね」 「そう言ってた」 「で?」
「両親と、何回か行方不明の現場を訪ねてるんだよ。そして
木に手を当てると、やっぱり夢と同じように感じる。ただ、
それは姉さんだけで、両親はダメだったらしい」 「ふうん」
「で、20年の間に、父親のほうは病気で亡くなった。それと、
俺の知り合いのガイドは引退して代替わりしたが、その木に
さわらないことは引き継ぎしてくれてた」 「Kさんは?」
「俺も年に1度はそこに行ってたんだ。木からはやっぱり
人と混じり合ったような気配を感じる。いや、いろいろ文献を
調べたし、いろんな人に相談もしたんだよ。けど、
解決策は見つからなかった」 「それが20年経って・・・」
「うん、姉さんのほうは、だんだん夢も見なくなり、結婚して
自分の子どもができた。男の子と女の子。今は3歳と5歳に
なってて、もうその行方不明の現場には行かなかったんだな。
自分の子が同じようにいなくなったらと考えて」
「まあそうですよね」 「ただ、1ヶ月ほど前に連絡があって、
しばらくぶりに木の夢を見たって言ってきた。弟の目が
覚めたみたいだ、と」 「目が覚めた」 「うん、それで、
俺とその姉だけで、またそこに行ったんだよ。20年経っても、
風景も地形もまったくと言っていいほど変わってなかった」
「どうなりました?」 「あの日と同じように木の周囲を
回ってもらった。俺は手前から見てたが、径が5mもある
木の陰に隠れて・・・出てきたときに男の子の手を引いてたんだ」
「ええーっ」 「信じられないだろ。警察に説明するのが大変だった。
ただほら、今はDNA鑑定ができるだろ。その子の残ってた毛髪
なんかと一致して、本人と考えるしかなかった」 「いなくなった
そのままだったんですか」 「同じ服装、ただし1歳ほど成長してる
ようだと」 「信じがたい話ですね」 「だろ」 「その子はどう
言ってたんですか」 「ただ、寝てたとだけ」 「うーん」
「母親が引き取ったが、髪や爪が伸びてるくらいで、健康状態は
ほぼ問題ない」 「木と同化してたんでしょうか」 「わからないが、
昔に天狗隠しなんて言われた中には、そういうケースもあった
のかもしれんな」 「うーん、すごい。ぜひ会ってみたいです」
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