
今回はこういうお題でいきます。ただし、この記事の後半は、
自分の能力をかなり超えた内容になるので、たくさん間違いが出てくると
思います。そのつもりでお読みくださるか、あるいはスルーしてください。
さて、最近、「シンギュラリティ」って言葉をよく聞きませんか?自分は、けっこう耳にしていて、「ああ、また新しい洋物言葉が出てきたな」と
思っていました。なんとなくですが、「技術が飛躍的に進歩すること」
みたいな意味でとらえてたんですけど、その手の外来語ってたくさんありますよね。
例えば、「ブレイク・スルー」 「イノベーション」 「パラダイム・シフト」とか。
それらとどう違うのかと思って、Wikiを見てみたら、これって人工知能に関する
用語なんですね。まず最初に、自分で思考し判断する、知性を持った
人工知能ができる。その人工知能は、さらに自分よりも優れた人工知能を開発し、
それが何度もくり返されて、人工知能の能力が飛躍的に高まる。
この場合、シンギュラリティは「技術的特異点」と訳されます。
そして、人間の想像力がおよばないほど優秀な知性が誕生して、人間にかわって、
この世の難しい社会問題を次々に解決していく、というような話です。
これによって、人間は働かなくてもよくなり、さらに人工知能の力によって
医学も進歩して人間は不老不死になる・・・
古代ローマの市民と奴隷

なるほどねえ、でも、そういう未来ってほんとうに来るんでしょうか?
また、もしそういう未来が来たとして、人間は今よりも幸せになれるもの
なんでしょうか。なんかこれ、奴隷を働かせて、自分らは哲学や数学、演劇、
スポーツなどをやっていたローマ時代の市民を思い起こさせます。はたして、人工知能が奴隷のかわりをやってくれるものなのか。
いずれにしても、現在の人工知能は、まだ外国語の翻訳もまともにできない
状態なので、これが実現するまでには、そうとうな時間がかかると思われます。
さて、ここで話を変えて、「シンギュラリティ(Singularity)」という言葉はもともと数学や物理学で使われていたもので、「特異点」と訳されます。
自分は数学のほうはよくわからないので、物理学の話をしますが、
ある大きな星の寿命がくると、その星はどんどん自らの重力で崩壊していって、
ブラックホールになるはずです。星は大きさのない一点までつぶれ、
その部分は、圧力無限大・温度無限大になります。
ブラックホールのイメージ

この無限大というのは非常にやっかいで、数式に無限大が出てくると、
式として成り立たなくなってしまいます。でも、相対性理論から、
特異点は実際にあると考えられています。じゃあ、特異点の中はどうなって
るんでしょう。例えば、ある気体の温度がどんどん高くなっていくと、
中の気体分子の動く速度が速くなっていきます。もっと温度が上がると、気体分子は原子にわかれ、さらに原子は
陽イオンと電子に分離して、これがプラズマ状態ってことですよね。
やがて原子は完全に崩壊してクオークに、クオークはサブクオークに壊れ、その先が
どうなるかはよくわかっていないんですね。おそらく、人間の現時点での理解を
超えたものだろうと思います。高圧についても同じことです。
これは重力の特異点ですが、こんなのが宇宙にあると困りますよね。
そこで、ロジャー・ペンローズという天才的な人が考え出したのが「宇宙検閲官仮説」。
前にも少し書きましたが、これはポルノ弾圧のパロデイです。
むき出しになっている特異点を、「裸の特異点 naked singularity」と言います。
裸はマズいので、何かで隠さなくてはなりません。
ブラックホールの構造

じゃあ、裸を隠すための布はどういうものかというと、「事象の地平面」です。
ブラックホールの話を続けると、ブラックホールは2つの部分からなっていて、
その中心が特異点。特異点の周囲には、光でもそこから脱出することが
不可能な空間が広がっていて、それが事象の地平面。
事象の地平面は、もとになる星の質量がわかれば計算で半径を求めることができ、
これは、「シュヴァルツシルト半径」と言います。で、ペンローズによれば、
「すべての特異点は事象の地平面で覆われている。これは宇宙のポルノ取締官が
裸の特異点を許さないからだ」ということになります。
これが宇宙検閲官仮説なんですが、じつは最近の思考実験で、宇宙検閲官仮説が
成り立たないのではないかと思われる例が、あれこれ見つかってきているんですね。
また、コンピュータシミュレーションでも、5次元空間では、
裸の特異点が存在するという計算結果が示されています。

困りましたね。裸の特異点がもしあるなら、物質も光も、そこに落ちていって
再び出てくることができます。もしブラックホールが十分に大きければ、
裸の特異点には好きなだけ近づいてじっくり観察し、
また戻ってくることができる・・・これは不思議な話ですよねえ。どういうことなのか、くわしい方がいればぜひご教示していただけたらと思います。
さて、特異点といえば、ブラックホールの他に、この宇宙の始まりの
ビッグバンの瞬間も、温度・圧力無限大の特異点だったと考えられます。
故ホーキング博士は、ビッグバンが特異点から始まるのを回避するために、
「虚数の時間」を考え出しました。ですが、虚数の時間は数式であつかえるものの、それが具体的にどういうものかは、本人もよくわかっていなかったようです。
ビッグバンの特異点

さてさて、最初の話に戻って、「2045年問題」という言葉があります。
人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティが起きるのが、だいたい
その頃だろうとする予想ですが、自分は2045年まで生きてられますかねえ。
その頃には、物理学の特異点問題も解決してるのかもしれません。
では、今回はこのへんで。