hsusio (1)

今回はこういうお題でいきます。ただし、この記事の後半は、
自分の能力をかなり超えた内容になるので、たくさん間違いが出てくると
思います。そのつもりでお読みくださるか、あるいはスルーしてください。
さて、最近、「シンギュラリティ」って言葉をよく聞きませんか?

自分は、けっこう耳にしていて、「ああ、また新しい洋物言葉が出てきたな」と
思っていました。なんとなくですが、「技術が飛躍的に進歩すること」
みたいな意味でとらえてたんですけど、その手の外来語ってたくさんありますよね。
例えば、「ブレイク・スルー」 「イノベーション」 「パラダイム・シフト」とか。

それらとどう違うのかと思って、Wikiを見てみたら、これって人工知能に関する
用語なんですね。まず最初に、自分で思考し判断する、知性を持った
人工知能ができる。その人工知能は、さらに自分よりも優れた人工知能を開発し、
それが何度もくり返されて、人工知能の能力が飛躍的に高まる。
この場合、シンギュラリティは「技術的特異点」と訳されます。

そして、人間の想像力がおよばないほど優秀な知性が誕生して、人間にかわって、
この世の難しい社会問題を次々に解決していく、というような話です。
これによって、人間は働かなくてもよくなり、さらに人工知能の力によって
医学も進歩して人間は不老不死になる・・・

古代ローマの市民と奴隷
hsusio (3)

なるほどねえ、でも、そういう未来ってほんとうに来るんでしょうか?
また、もしそういう未来が来たとして、人間は今よりも幸せになれるもの
なんでしょうか。なんかこれ、奴隷を働かせて、自分らは哲学や数学、演劇、
スポーツなどをやっていたローマ時代の市民を思い起こさせます。
はたして、人工知能が奴隷のかわりをやってくれるものなのか。
 
いずれにしても、現在の人工知能は、まだ外国語の翻訳もまともにできない
状態なので、これが実現するまでには、そうとうな時間がかかると思われます。
さて、ここで話を変えて、「シンギュラリティ(Singularity)」という言葉は
もともと数学や物理学で使われていたもので、「特異点」と訳されます。

自分は数学のほうはよくわからないので、物理学の話をしますが、
ある大きな星の寿命がくると、その星はどんどん自らの重力で崩壊していって、
ブラックホールになるはずです。星は大きさのない一点までつぶれ、
その部分は、圧力無限大・温度無限大になります。

ブラックホールのイメージ
hsusio (2)

この無限大というのは非常にやっかいで、数式に無限大が出てくると、
式として成り立たなくなってしまいます。でも、相対性理論から、
特異点は実際にあると考えられています。じゃあ、特異点の中はどうなって
るんでしょう。例えば、ある気体の温度がどんどん高くなっていくと、
中の気体分子の動く速度が速くなっていきます。

もっと温度が上がると、気体分子は原子にわかれ、さらに原子は
陽イオンと電子に分離して、これがプラズマ状態ってことですよね。
やがて原子は完全に崩壊してクオークに、クオークはサブクオークに壊れ、その先が
どうなるかはよくわかっていないんですね。おそらく、人間の現時点での理解を
超えたものだろうと思います。高圧についても同じことです。

これは重力の特異点ですが、こんなのが宇宙にあると困りますよね。
そこで、ロジャー・ペンローズという天才的な人が考え出したのが「宇宙検閲官仮説」。
前にも少し書きましたが、これはポルノ弾圧のパロデイです。
むき出しになっている特異点を、「裸の特異点 naked singularity」と言います。
裸はマズいので、何かで隠さなくてはなりません。

ブラックホールの構造
hsusio (2)

じゃあ、裸を隠すための布はどういうものかというと、「事象の地平面」です。
ブラックホールの話を続けると、ブラックホールは2つの部分からなっていて、
その中心が特異点。特異点の周囲には、光でもそこから脱出することが
不可能な空間が広がっていて、それが事象の地平面。

事象の地平面は、もとになる星の質量がわかれば計算で半径を求めることができ、
これは、「シュヴァルツシルト半径」と言います。で、ペンローズによれば、
「すべての特異点は事象の地平面で覆われている。これは宇宙のポルノ取締官が
裸の特異点を許さないからだ」ということになります。

これが宇宙検閲官仮説なんですが、じつは最近の思考実験で、宇宙検閲官仮説が
成り立たないのではないかと思われる例が、あれこれ見つかってきているんですね。
また、コンピュータシミュレーションでも、5次元空間では、
裸の特異点が存在するという計算結果が示されています。

hsusio (1)

困りましたね。裸の特異点がもしあるなら、物質も光も、そこに落ちていって
再び出てくることができます。もしブラックホールが十分に大きければ、
裸の特異点には好きなだけ近づいてじっくり観察し、
また戻ってくることができる・・・これは不思議な話ですよねえ。
どういうことなのか、くわしい方がいればぜひご教示していただけたらと思います。
 
さて、特異点といえば、ブラックホールの他に、この宇宙の始まりの
ビッグバンの瞬間も、温度・圧力無限大の特異点だったと考えられます。
故ホーキング博士は、ビッグバンが特異点から始まるのを回避するために、
「虚数の時間」を考え出しました。ですが、虚数の時間は数式であつかえるものの、
それが具体的にどういうものかは、本人もよくわかっていなかったようです。

ビッグバンの特異点
hsusio (1)

さてさて、最初の話に戻って、「2045年問題」という言葉があります。
人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティが起きるのが、だいたい
その頃だろうとする予想ですが、自分は2045年まで生きてられますかねえ。
その頃には、物理学の特異点問題も解決してるのかもしれません。
では、今回はこのへんで。