始まりはネットの某掲示板からなんだ。霊視スレってのがあるんだよ。
そこには何人か常駐してコテつけてる霊視鑑定士ってのがいてな。
するとその時間にスレにいた鑑定士が回答をするって形になってるんだ。
いや、いや、信じちゃいなかったよ。
霊視なんてもんがあるはずはないし、相談者のほうも、
それを知ってて、お遊びで適当なことを書いてるんだろうって。
なんでそう思うかっていうと、何度か相談をしたことがあるんだ。
いや、スレを盛り上げるためのお遊びだよ。
だから男なのに女って書くし、住んでる県もデタラメ。
相談内容もその場で適当に考えた嘘だよ。・・・そんなんだから、
鑑定は当然当たらないし、それどころかこっちの嘘も見抜けやしない。
でもな、当たってないとか、こっちが嘘書いたってバラすのは反則だ。
そんなことしたら、せっかくの遊び場が壊れてしまって続かないからな。
でな、こないだも女のふりをして、「週末の夜になると金縛りにあうようになり、
こんな回答をもらったんだよ。それ見て「あー何か気味悪いな」とは思ったけど、
どうせ適当だろうと気にはしなかったんだよ。
その「しゃむ」ってコテは、いつも常駐してる鑑定士のじゃないし、
俺の相談に答えた1回だけで、それ以後はスレに出てこなかったし。
どっかの通りすがりのやつが、デタラメに答えたんだろうと思った。
怨み? うーん、それは俺は金融業なんで、心あたりはないことはないっていうか、
仕事の関係だからあったとしてもどの話なのかわからない。
私生活じゃあ全くなかったね。それから3日くらい何も起きなくて、
そのことはもう忘れかけてたんだが、日中、外回りに出たときに、
一息つこうと駅前の噴水のベンチに腰かけて、缶コーヒーを飲んだんだ。
したら、母親に連れられた5歳くらいの男の子が脇を通りかかったとき、
俺のほうを指さして、「ねえ、ねえ、あの人の頭に黒い鳥がとまってる」
って言ったんだ。思わず頭をさわったが、鳥なんているわけはない。
・・・こんときも、まあね、子どもの話だし、気にすることもなかったけどな。
ところその夜、マンションに戻って、発泡酒飲んで寝ようとしたとき、
頭のここ、後頭部の右側の一点に鋭い痛みを感じたんだ。
持ってたテレビのリモコンを放り出してしまうくらいの痛みだった。
最初は傷だと思ったくらいだったが、さわっても血は出てない。
それからベッドの前でしゃがみ込んで動けないほどの痛みが続いたんだ。
だから、もう1回くるようなら医者に行こうと思って、その日は寝た。
翌日だよ。そんときは仕事で戸別訪問した住宅街を歩いてた。
したら路地奥のゴミ置き場前の地面にカラスがいて、
俺が通りかかるとこっち見て大声で鳴いた。
カラスが人間に向かって鳴くなんて珍しいな、と思ってたら、
急に飛び上がって、俺のほうに向かってきた・・・んだが、
思わず頭をすくめた俺の前で、弾かれたように地面に落ちたんだ。
同じ個所で「んーんー」ってうなり声が出るほど痛い。
頭のほうが痛くて気がつきもしなかったんだ。
痛みは前の日同様小1時間で治まったが、
床のじゅうたんが手から出た血でぐしょぐしょに汚れてた。
それで、頭のほうは嵐が過ぎたみたいにピッとも痛くない。
過去2日とも、痛みが始まったのは夜の10時ころだったから、
そんときに居間のサッシに自分の姿が映って見えた。
したら頭の上に鳥・・・かなり大きい黒い鳥が後ろ向きにとまって、
俺の後頭部をつついてるように見えたんだ。
さっき鳥を見たなあと考えて、あの掲示板のことを思い出したんだ。
ずっと見てなかったスレを開いたら、「しゃむ」って鑑定士から、
俺あての伝言があったんだよ。「今すぐ、郷里の墓にいきなさい」って。
続けて仕事休むのも何だったんだが、このままじゃ死んじまうと思って翌日、
先祖代々の墓じゃあねえんだよ。俺の両親だけ入ってる山の斜面の小さな墓。
親父とおふくろは駆け落ちだったから、親戚からどっちも縁切りされてたんだ。
死んでからも許されなくて、山の斜面のわずかな土地をもらって建てた。
それが逆さまになって吊るされてたんだ。墓石の上部に釘を打ち込み、
そっから釣糸で足を縛って頭を下にして吊るされた鳥。
でな、最初は生きてたんじゃないかと思うんだよ。
気味悪かったが釘から外すと、新鮮というか昨日今日に死んだような感じだった。
その部分の墓石がぼこっと欠けてしまった。でな、部屋に戻って10時を待った・・・
痛みはこなかったよ。それ以後、頭はなんともなしだ。掲示板のスレには、
「しゃむ」あてに礼を書き込んどいたが、音沙汰なしだったね。
