
今回はこういうお題でいきます。怪談論ですね。怪談の中には、
「時空もの」と分類されるジャンルがあります。
この時空ものは難しいんです。どこが難しいかというと、
SFっぽくなってはいけないんですね。小難しい理屈が先に立つと、
怖さが薄れてしまうといった面があるかと思います。
さて、物理学では、時間と空間の関係は長くあいまいだった
んですが、1905年にアインシュタインが特殊相対性理論を
発表し、時間と空間は切り離して考えられないものであることが
わかってきました。その理由ははっきりしてて、光速度が
一定だからです。
しかも、質量のあるものは光速度に達することはできません。
ロケットがスピードを上げて光速度に近づいていくと、
進行方向に長さが縮み、ロケット内の時計はゆっくり進み、
さらにどんどん重くなっていきます。このような考え方を
時空連続体と言いますよね。

あ、こういうことを書いてると字数が足りなくなるので、
怪談の話に戻ります。空間の怪談でよくあるのは、
例えば、車で夜道を走っていたとき、急に霧につつまれ、
それが晴れるとまったく知らない場所にいる。
なんとかコンビニを見つけて、そこがどこか聞くと、北海道から
九州という具合に、何千Kmも移動してるのがわかります。
でも、時計を見ればほんの少ししかたってない。まあ、
長時間をかければ北海道から九州まで行くことはできますが、
短時間で移動したのが不思議なんですよね。

この手の話は、じつは江戸時代からあります。京都でお寺参りを
した青年が、その日のうちに江戸にいて、しかも裸で空から
降ってきた。江戸から京への、当時の平均的な移動時間は
15日くらいです。(飛脚は72時間で走れた)
やはり短時間で移動したのが不思議なわけです。ただ、
江戸時代だと、そこを説明する便利なツールがあります。何だかは
おわかりでしょう。妖怪です。この話の場合も、たしか寺の裏山で
天狗のうちわで扇がれ、それで飛ばされたということじゃなかったかな。
あと、自分ではほんのわずかの時間しかたってないと感じるのに、
じつは数百年立っていたとか。浦島太郎がそうですよね。
龍宮城での3日が、人間の世界の100年になっていた。
もともとは中国の「爛柯」の話かと思います。ある青年が
老人2人が碁を打っているのを見ていて、ふと気がつくと
平行世界の考え方も時空と深い関係があります

自分が持ってきた斧の柄がボロボロに朽ちている。これが
「爛柯 らんか」という言葉の由来で、囲碁の別名になってます。
青年自身は、老人たちから棗の実をもらって食べていたせいか
無事でしたが、麓の村に下りてみると、自分のことを知っている
者は誰もいない。異世界では時間の進み方が違うわけです。
また逆に、すごくたくさんの体験をしたと思ったのに、
時計を見ると ほんのわずかの時間しかたっていなかったという
話もあります。あとそうですね、同じ時間の中に自分が複数いる場合。
映画の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の中で
「逆転時計」というのが出てきました。

砂時計の形をしていて、ハーマイオニーが3年生のとき、全科目履修の
ために使用する魔法道具ですが、よくやるなあと思います。
そこまでして勉強したいんでしょうか。で、やはり この扱いは難しいんです。
原作も映画も、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は
各方面から矛盾があると指摘されています。
まあ、作者のJ・K・ローリング氏はファンタジーの人で、SF作家
ではないので しかたないんでしょうね。詮索する方が野暮だという
気もします。同じ時間の中に自分が2人いるという場合、
出会えないとする設定が多いと思います。もし出会ってしまうと
どちらかが消滅してしまうとか。

ただ、時間のずズレた自分なら会ってもいいケースもあります。
どういうことかというと、ダリオ・アルジェント監督のどの作品だったか
忘れましたが、主人公の女性が逃げているとき、子どものときの
自分が現れて「こっち、こっち」と助けてくれるシーンが
あったと思います。
あとは、時代のズレた人物同士が出会う話。この最も有名なのが、
ロバート・ネイサンの小説で、映画にもなった『ジェニーの肖像』
でしょうか。まだ他にもありますが、これ系って、心温まる
ファンタジーの場合が多く、なかなか怖い話にはなりません。

さてさて、自分は時間というのは最強のツールだと思います。
これを操ることができるなら、何でもできてしまいます。
ですから、何度も書いたように扱いには注意が必要なんです。
当ブログでたびたび取り上げる『ジョジョの奇妙な冒険』でも、
時間を操るスタンドは、ボスキャラしか持っていませんよね。
第3部『スターダストクルセイダース』のディオの「ザ・ワールド」は
時間を止めて、その中を自分だけが動ける。第5部、ディアボロの
「キング・クリムゾン」は時間をふっ飛ばし、その中で何が起きるか
予知できる。第4部、吉良吉影の「バイツァ・ダスト」は自分にとって
不都合な者の時間を1時間ほど巻き戻す・・・では、このへんで。
