夜のオカルト | 怖い話します(選集)

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『昼と夜』 マウリッツ・エッシャー

今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。
さて、大ざっぱに言って、1日の約半分が夜なわけですが、
なぜ夜があるかはわかりやすいですよね。地球が自転していて、
自分のいるところが太陽のほうを向けば昼になり、
反対側に回ってくれば夜。

で、オカルトはやはり夜との親和性が高いんですね。
これはなぜか、理由はいろいろあると思います。まず一番大きな
ものは、昼は働かなくてはならないからでしょう。先史時代でも、
陽が高いうちにその日の食料を確保しなくてはならない。

現代でも、忙しく立ち働いていればオカルトな考えが頭に
忍び込んでくることはありません。これに対し、夜は寝る時間では
ありますが、余暇もありますよね。夕食後のひととき、
ゆっくりビデオでホラー映画を見たりもできるわけです。

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ただ、先史時代に夜が恐れられたのは、オカルトな恐怖よりも
もっと現実的な理由だったでしょう。夜行性の獣や、
他人の襲撃。幽霊が出るから夜が怖いなどというのは、
だいぶ時代が下ってからの話なんだと思います。でも、
近年のホラー映画は、『リング』にしても『呪怨』にしても、

霊は夜出てくるとはかぎらなくなりました。まあ、『リング』の
場合は、ビデオを見てから1週間後に死ぬわけですから、
昼にビデオを見ていれば、その時間に貞子が出てくるので
しょうがないですね。でも、その場合でも、画面のトーンが
青白い不気味なものに変わります。

ゾロアスター教の神殿
キャプチャnnnnn

さて、では、世界的に夜はどう考えられていたでしょうか。
これ、自分はゾロアスター教の影響が大きいと考えてます。
前6世紀には、古代ペルシアにすでにあった宗教です。
善悪2元論を中心とした教義で、昼は光の神アフラ・マズダーが
支配し、夜の闇の神アンラ・マンユと対立している。

そのため、人間はアフラ・マズダーが勝つように、火を焚いて
光を増やさねばならず、そのため、拝火教とも呼ばれます。
ユダヤ教では、『旧約聖書』の創世記で、神はまず初めに
天と地を創造し、「光あれ」と言って、その光と闇を分け、
光を昼と呼び、闇を夜と呼んだと出てきます。

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キリスト教では、『ヨハネの黙示録』によれば、夜は、闇と同じく
神の救済が届かない、悪の支配領域とされているんです。
この他のさまざまな宗教や神話をみても、夜は
よくないものとして描かれている場合が多いんですね。

あ、でも日本神話はそうでもないのかな。日本だと日没前後を
「たそがれ」   「かわたれ」と言いますよね。漢字にすれば
「誰そ彼」  「彼は誰」になります。まだ真っ暗ではないけれど、
人の顔がはっきりわからない。この薄暮の時間帯を
魔に出会いやすいとして「逢魔が時」と言ったりします。

太陽の光で苦しむドラキュラ伯爵
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さて、夜がないと成立しないオカルトとしては、吸血鬼と狼男
があげられるでしょう。吸血鬼は真昼の太陽の光を浴びると
体が溶け、灰になってしまいます。でもこれ、なぜなんでしょう。
光は粒子と波の両方の性質を持ってますので、フォトン(光子)や
可視光線の電波があたると細胞が傷つく?

でも、夜明けや夕暮れは大丈夫なシーンも映画で見ましたし・・・
十字架を怖れるのと同じ心理的なものなんでしょうか。
けど、体が物理的に傷ついてますし、よくわからないですね。
これ、一つには、吸血鬼は怪力で不死、血を吸った者を手下にでき、
霧やコウモリに化ける変身能力もあります。

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あまりに敵として強力すぎるので、ゲームバランスを考えて
弱点を増やしているのかもしれません。昼に棺桶で眠っているとこを
白木の杭を心臓に打ちつければ、老人のヴァン・ヘルシング教授でも
ドラキュラ伯爵を倒すことができる。

狼男の場合は微妙ですね。夜がなければ満月が見えることもなく、
ずっと変身しないで済むんじゃないかという気もします。まあ、
昼でも太陽光が強烈で見えないだけで、月は出てるんですけど。
そういえば、狼男のパロディ映画で、満月でなくても白い丸いもの
(尻とか)を見ただけで変身してしまうというのがありました。

最近のホラー映画では『ライト・オフ』というのが印象的です。
2016年のアメリカ作品で、スウェーデンの映像作家デヴィッド・
サンドバーグが、2013年にネットで発表し話題となった
短編映画『Lights Out』を、自身が監督して長編映画化したものです。
夜、家の中の電気を消すと「それ」がやってくる。

『ライト・オフ』
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これねえ、短編作は見た方もおられると思いますが、ひじょうに
すぐれたものでした。特に視覚効果が素晴らしかったんですが、
長編化してストーリーを加えたら、残念ながら怖さが半減して
しまったように思えます。むしろ説明的な筋は
いらなかったんじゃないかな。

さてさて、まだまだ書き足りないですが、お時間になってしまい
ました。都会の夜は明るいですよね。自分は青木ヶ原樹海で
テント泊をしたこともあり、そういう話もしたかったですね。

また機会もあるでしょう。では、今回はこのへんで。