宇宙の形が揺らいでいる? | 怖い話します(選集)

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ある科学者グループが、消滅した衛星のデータを分析していたんですが、
その中で、「もしかして、宇宙ってまるいんじゃない?」
という説が出てきました。もしそうなら、ちょっとヤバいことに
なるかも、と彼らは最新の論文に詳細を記しています。

現在、宇宙の年齢やサイズ、進化の過程などにまつわる定説は
いくつもありますが、それを構築する前提になっているのが、
「宇宙は平面時空」と考え。しかし最新の論文では、
「人工衛星プランクが収集したデータは、宇宙がまるいと考えた方が
つじつまが合う」と何度もくり返されています。

もちろんこの見解には賛否両論ありますが、この論文の著者は、
「もし宇宙が本当はまるいなら、平面であると仮定することで
悲惨な結果を招く恐れがある」と記しています。
(GIZMODO)

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インフレーション・ビッグバン理論

今回は科学ニュースから、こういうお題でいきます。うーん。
まず、今回この説を出したグループですが、欧州宇宙機関(ESA)が
打ち上げた、宇宙背景放射の観測に特化した人工衛星「プランク」の
計画にたずさわる研究者たちのようですね。

では、宇宙の形について少し一般論を書いてみたいと思います。
古代において、地球は平面と考えられた時期がありました。
平らな地面がどこまでも続いて、端が崖のようになっていて、
そっから海の水が流れ落ちている。地球そのものは宇宙に
浮いてるんです。これを「地球平面説」といいます。

「地球平面説」のイメージ


ですが、時代が進むにつれて、例えば港に近づいてくる船は、
マストの先端から見えてくることなどから、地球は球体であると
考えられるようになりました。これ、よく誤解されるんですが、
地動説、天動説とは関係ありません。天動説が盛んな頃でも、
知識人は地球が球体であることを知っていました。

やがて近代になり、宇宙についての知識が深まるにつれ、
われわれの宇宙はどんな形なんだろうと考えられるようになります。
そこで使われたのが、ドイツの天才数学者ガウスによる
曲面上の幾何学での「曲率」の考え方です。

人工衛星「プランク」
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みなさんは平面上に書いた三角形の内角の和が180°になることは
ご存知でしょうが、曲面上では必ずしもそうはなりません。
内角の和は180°以上にも180°以下にもなりえるんです。
この曲率を利用して、3つの宇宙の形の候補がつくられました。
こっからは一つずつ説明していきます。

まずは、三角形の内角の和=180°のモデル。「平坦な宇宙」です。
平らな紙がどこまでも広がってるイメージですが、もちろん2次元
ではなく3次元です。これだと、宇宙には端があるので、
どこまでも広がっていくことができます。つまり、いつまでも膨張が続く。

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次が、「開いた宇宙」です。この場合、三角形の内角の和<180°。
よく「馬の鞍のような形」と形容されます。この場合も宇宙には
端があるので膨張は続くものの、空間のゆがみも大きくなります。
で、この2つのモデルですが、もし宇宙空間内にある物質の量が一定だと、
宇宙は「熱的死」を迎えるという予測があります。

それはそうですよね。中の物の量が一定で、空間だけが広がって
スカスカになっていくわけですから、どんどん温度が下がり、
最終的には光が消え、何も動くものがなくなってしまうでしょう。
怖い未来ですが、それははるか遠い先のことで、人類はその前に
とっくに絶滅してるでしょうから、心配はいりません。

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3番めのモデルが、「閉じた宇宙」で、三角形の内角の和>180°。
ちょうど地球の表面のような球面状の宇宙です。上の2つとの大きな違いは、
空間が閉じているので、宇宙をずっと進んでいくと、いつかは出発点に
戻ってくることができます。なんかよさそうなモデルに見えますが、

球面ということは端がありません。つまり膨張はいつまでも続かない。
いつかは膨張が収縮に転じる(ビッグクランチ)という予測があります。
SF小説だと、ビッグクランチになれば時間が逆向きに流れるなどという
作品もありますが、実際にはどんなことが起きるのかはよくわかりません。
われわれの想像がおよばないんですね。

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さて、この3つの候補のうち、現在は、最初に出てきた「平坦な宇宙」が、
われわれの宇宙と考えられるようになりました。いつからですかねえ、     
COBE(コービー)衛星が宇宙背景放射を観測した1980年代の
終わり頃からでしょうか。で、平坦な宇宙を前提として、
いろんな理論が立てられるようになっています。

宇宙が平坦になった理由は、1981年に発表された
「インフレーション仮説」で説明されます。ビッグバンが起きた最初期に、
宇宙は指数関数的な急速膨張をとげた。これがあまりに爆発的だったので、
宇宙はひきのばされて凸凹のない平坦な形になった。

宇宙背景放射
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ですから、もし今回のニュースにある「宇宙は閉じている(球形)」
という観測結果が正しいとすると、たいへん困った事態になってしまいます。
インフレーション仮説も見直しになるかもしれません。
しかし、この観測結果、ほんとうに正しいんでしょうか。

これまでにも、2011年だったかな、ニュートリノが光よりも速い、
という実験結果が世界をかけ巡りましたが、間違いとわかって撤回されたり
してますよね。あのときはたしか、光ケーブルの接触不良という
ひじょうにお粗末な理由でした。今回もその可能性はあるように思います。

宇宙背景放射から宇宙の曲率を割り出す方法
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というのは、人工衛星プランクも宇宙背景放射の測定から
宇宙の曲率を割り出していて、これまでの測定と基本的に同じ方法を
とっているからです。どのように観測しているかは、
上の図をごらんいただければわかると思いますが、
これはかなり測定誤差の出やすい方法です。

さてさて、ということで、あれこれみてきましたが、自分は
インフレーション仮説はたいへんなスグレモノで、まず間違いないだろうと
考えています。ですから、もし今回宇宙の曲率に多少の新事実が
発見されたとしても、大勢は崩れないんじゃないかと思いますね。
では、今回はこのへんで。

開いた宇宙と閉じた宇宙の行く末

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