北村家の双子の話 | 怖い話します(選集)

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ここはまとめサイトではなく、話はすべて自分が書いたものです。
場所は都内某所にある怪談ルーム、そこに来た人たちが語った内容 す。

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あどうも、こんばんは。新垣ともうしまして、主婦で、週3回、
スーパーのパートに出ています。主人はJAの職員です。
小学生の子どもが2人おりまして、兄が小5、妹が小2、
どちらも同じ地元の公立校に通っております。
家族はそれだけで・・・ 今年の3月まで、主人の母と同居して
おったのですが、急な病気で亡くなられたんです。心臓関係の
発作ということでしたが、前日まではすごくお元気だったんですよ。
足腰が弱るとか、ボケるとかそういうことは一切なく、
毎朝ウオーキングに出て、ヒマがあればせまい庭の草むしりをして
ました。それが、前日の夕飯があまり進まず、早めに
自分の部屋に下がられて、翌朝、ウオーキングの時間になっても

起きてこられないので見にいったら、お布団の中で冷たくなって
いたんです。苦しむことはなかったんじゃないかと思います。
お顔が、少しほほえみをたたえているように見えましたから。
子どもたちは義母になついてましたので、それは悲しみましたが、
とどこおりなくお葬式をあげて、義父と同じお墓に納骨しました。
はい、義父が亡くなったのは主人と結婚する以前のことです。
それで・・・お葬式から2週間ほどして、私の高校の同級生が
家に尋ねてきたんです。びっくりしました。
その子のことは完全に忘れてたんです。高校時代はもう20年も
前のことになりますし、友だちでも何でもなかったので。
ただ1年間だけ同じクラスにいただけ。

玄関先でその子が名前を名乗ったときも、見当がつかなかったんです。
帰ってからですね、高校の卒業アルバムを引っぱり出して、
ああこの子か、って思い出しました。女子校だったんですけど、
いわゆる不思議系っていうんですか、私はまったく信じてませんでしたが、
霊感があるということで、いつも数人の取りまきを連れてて、
占いとかお守りグッズとか、そういうのの話をしてたんです。
それが、何の用件で尋ねてきたかというと、玄関先で名のると
いきなり、「あなたのお母さんが苦しんでいます」って言い出して。
意味がわかりませんでした。私の実母の話だと思ったんです。
私の母は静岡の実家にいて健在ですから。ただ、話しているうちに
亡くなった義母のことだとわかりました。

「どうして苦しんでいるの」と聞くと、「正しい祀られ方をしてない。
お墓の場所も祀り方も悪い」こう言い出したんです。ははあ、と
思いました。これは新興宗教の勧誘かなにか、霊感商法の
たぐいだろうと考えたんです。よくあるじゃないですか、
壺とか判子を高いお金で売りつけたりする。義母が亡くなったとき
新聞に死亡広告を出しましたので、おそらくそれを見てやってきた。
調べたりもしたんだと思います。喪主は主人で、名字が変わって
たのに、家に来てすぐ「高校の同級生なのよ」って言いましたので。
とにかく帰ってもらったんですが、立て板に水という例えそのまま、
私の何倍もぺらぺら喋りましたから。でも、こっちも腹も立ちますよね。
「正しい祀られ方をしていない」って言われても、

菩提寺のご住職を呼んで立派なお経をあげていただいたし、
戒名も、院号をつけてもらってたんです。そのときは、玄関から
押し出すようにしてなんとか帰ってもらったんですが、パンフレットを
置いて「また来ますから」って言ってました。その日の晩、主人に
あったことを話しまして、主人からは「何か買ったりしちゃいかんぞ」って
釘を刺されました。念のため、翌日主人が墓所の管理者に電話をかけ、
墓地の様子を確認してもらったんですが、荒らされているとか、
水が入っているなんてこともなかったんです。で、右隣の柳田さんの
奥さんが私と同年輩で いつも親しくさせていただいてて、
よく買い物をごいっしょしてたんです。その奥さんに、世間話のついでに
この話をして「また来るかと思うと憂鬱だわ」って言ったら、

「ああ、その手のことだったら、北村さんの家の双子さんに来て
 もらえばいいんじゃない」と言われたんです。北村さんというのは、
うちと通り2本ほど隔てた同じ住宅地にある家で、ご主人が宮内庁に
勤めてる、たぶんそこのことじゃないかと思いました。
でも、うちとはまったくおつき合いはないんです。
「どういうことですか」事情を聞いたら、北村さんの奥さんは
主婦なんですが、何でも昔、内掌典をされていたんだそうです。
初めて聞いたんですけど、内掌典というのは宮内庁の職員ではなく、
私的に天皇家に雇われていて、御所内でのさまざまな式典や祭祀を掌る、
一種の巫女さんだということでした。毎日禊をしてから職務につくんだ
そうです。それがご主人と結婚して内掌典を離れた。

それで双子というのは、北村さんの5歳になるお子さんたち。
一卵性双生児の女の子で、名前は御鈴(みすず)ちゃんと
御扇(みおう)ちゃん。でも、そんな子たちを近所で見かけたことは
なかったんです。そう言うと、「私は見たことるけど、
 一卵性でそっくりだし、お人形みたいに可愛いの。外にはほとんど
 出ることはないみたい。幼稚園とかには行ってなくて、
 北村さんの奥さんが家で教育してるようなの」それも現代離れ
した話ですよね。「もしかしてすごい高貴な方々なの」 「いや、
 そうでもないよ。奥さんとは会えばテレビ番組なんかの話もするし」
ということで、柳田さんから北村さんを紹介していただいたんです。
家に柳田さんとおじゃまさせていただいたんですが、

うちよりは数段お金がかかっていましたが、普通の家でしたよ。
応接室に通され、宗教の勧誘で困っているという話をすると、
「あらまあ、いいですよ。その同級生の方に連絡をとって、来てもらう
 日時を決めて下さい。午後がいいですね。そのときにうちの子たちを
 お貸ししましょう」それから双子さんが呼ばれたんですが、おかっぱ
というか、尼そぎという髪型ですね。それはもう人形そのものでした。
5歳という齢のわりに体は小さかったと思います。和室のふすまを開けると、
2人が並んで平伏し「ようこそいらっしゃいました」こんなあいさつを
したんですが、顔を上げたとき、神々しいというか何というか・・・
で、私のほうから元同級生に電話して、2日後に来てもらうことにしました。
その1時間ほど前に、双子さんを家にお迎えし、「ケーキ食べる?」と

聞いたらうなずきましたので、食べてもらってたんです。インターホンが
鳴り玄関を開けると、元同級生が勢い込んで入ってくるなり「私の言うことが
 理解できたでしょう。あなたのお母さんは正しくお祀りされないから
 苦しんでるのよ」とまくし立て始めました。が、突然ぺたんとその場に
尻もちをつき「あ、あ、あ」とこちらを指差したんです。ふり返ると、
奥の廊下に和装の双子さんが並んで立ってました。どちらがどちらか
わかりませんでしたが、一人が、「赤ちゃんがいるねえ。産まれられなかった
 赤ちゃん」もう一人が「そうね、3人もいる。かわいそうだねえ」鈴のような
声でそう言い、2人が同調して不思議な動作を始めたんです。向かい合って
交互に手を合わせる、昔の「せっせっせ」という遊びに似ていました。
「ひいい、ごめんなさい。あ、あああ、懺悔しますぅ」みるみるうちに

元同級生の目から涙があふれ出し、尻もちをついた状態から、
後転して玄関の外に出たんです。驚いて私も出てみると、元同級生は
ころころと数回 転がってからなんとか立ち上がり、路上駐車してた
自分の車まで一目散に走って飛び乗り、急発進させて逃げていったんです。
家に戻ってみると、双子さんはもう動作をやめて、ただにこにこしてる
だけでした。双子さんを北村家まで送り届け、お礼をと思いましたが、
あの奥さんは受け取りそうもなかったので、双子さんが食べたケーキと
同じ店のものを、後日一箱送ったんです。で、このお話なんですけど、
少し怖い後日談があるんです。元同級生が置いてったパンフレットの
新興宗教団体。テレビで見たんですが、教祖とその後継者が、同日に野外で
雷にうたれて亡くなったんです。それ以後、元同級生からの連絡はありません。