2014年10月25日 別府観光港にて
「今日も、釣るぞ~!」と、気合十分にやってきた観光港であったが、いつものポイントの右横で、台船がテトラポッドを積み込んでいる。地上側では、クレーン車が、テトラポッドを順繰りに海際へと移動させている。そして、左横では作業員を乗せた小船が出ようとしているところで・・・
「また、一文字の拡張工事か!」
別府観光港には、サンフラワーが着岸する第三埠頭の北側に、外国船用の第四埠頭が埋め立て拡張されたのだが、これを沖から来る波から守る防波堤(沖の一文字)が完成していない。
順番としては、沖の一文字が完成してから、埠頭を作るべきだと思うのだが、利益優先、安全性は後回しってのが世の常らしい。韓国を笑っていられる立場じゃねぇな。
沖で工事をしている台船が、夕方戻ってここに係留される可能性もある。そうなると、それまでに撒き餌で作ったポイントがパーになる。何よりもクレーンのエンジン音や船の出入りで騒がしいのが嫌いだ。
「しかし、先週、久々に40センチを釣った実績は捨て難い。」
「いやいや、そろそろ赤いビッグママの季節だから、一文字向きのポイントに行くべきでは?」
「一文字向きのポイントは、夜、太刀魚釣りが来て釣りにならないぜ」
心の中の僕の声が、堂々巡りの討論を繰り返す。
が、結局「移動するんも面倒臭せぇ」って、ものぐさな僕の声が勝利。先週と同じポイントで竿を出すことにしました。
「そう言えば、油屋の兄ちゃんが来るって言ってたけど、いないなぁ。どっか、他所に行ったかな?」
少し、期待していたので、ちょっと淋しいと思いながら、ぼちぼち準備を進めます。
撒き餌を始めると、いくらか餌取りが寄って来ましたが、仕掛けが馴染むまでにオキアミを食べ尽くされた真夏の海に比べれば、かなり減りました。
仕掛けが馴染んで、ある程度流れてから、浮子が沈んでは浮きを何度か繰り返し、時には浮子が消し込み、多くは浮子が沈まなくなり。
そんなこんなで餌取りと遊んでいると、最初のお客さんがいらっしゃいました。 餌取りの定番、時にハリスを食い千切る防波堤の嫌われ者。草河豚さんです。
防波堤の釣り人には毛嫌いされる草河豚ですが、身は美味で、博多名物「河豚の一夜干」として売られているのは草河豚です。もちろん、河豚の調理師免許を持っていなければ捌く事は許されません。皮と内臓と血に毒があり、河豚の中でもかなり厄介なお方です。
くれぐれも、食べてみようなどとは思わないように。
防波堤の釣り人に日干しにされた草河豚を見かけますが、あれはいけませんな。無益な殺生をすると、死んで地獄に落ちますよ。
私は、他人に価値観を押し付けられるのが嫌いなので、他人にも自分の価値観を押し付けないようにしているのですが、ゴミを持ち帰らない釣り人と、外道を日干しにする釣り人は許せません。
「来た時よりも美しく」
さて、そんな思いを巡らせていると、最初の本命登場です。
手の平サイズのちっちゃい奴でしたが、これが釣れるのと釣れないのでは大違い。
「最低限、一枚は黒鯛を釣ること」という、最初のハードルをクリアーすると、心にゆとりが生まれます。
そして、立て続けに30オーバーの本命登場。水温が下がったからか、餌が豊富なのか、近頃、やたらと元気になった黒鯛さん。ビックママかと間違うほどに走ります。
そして、お次は、まさかのサイズダウンで手の平サイズ。
そして時合は終わり、餌取りと戯れる時間になったところに電話。 件の油屋の兄ちゃんです。
「釣ってますか?」
「もう、三枚釣ったでぇ」
「え?本当っすか?」
「嘘言うて、どうすんねん」
「まだ、釣りますか?」
「夜まで釣るでぇ」
「じゃあ、今から行きます」
「あいよ」
って、今からかい! 俺も、釣り人にしてはたいがい御寝坊さんだけど・・・ま、今まで寝てたわけじゃないだろうけど。それにしても、遅い御出勤である。
それからも餌取りと戯れる時間が続き、そして、油屋の兄ちゃん登場。
仕掛けを作り、撒き餌をし、仕掛けを投入しますが、いつものぼやき。
「舐めちょんのか!?」
「どしたん?」
「な~んもいません。浮子は沈まないし、オキアミも取られない」
「そりゃあ、撒き餌が美味しくないんじゃわ」
「そうでしょうか?」
そのまま夜に突入し、海は砂漠に。
先週も、暗くなって暫くは、浮子も沈まないし、餌もとられない時間帯が続いた。まぁ、そのうち夜の常連達が寄って来るだろうと、のんびり構えていたら、陸の方からトラックがバックでやって来た。と、運転手が降りてきて。
「どいてもらえますか?」
「こんばんわ」も「すいません」も無く、いきなりの命令である。少しカチンときたが、我々は場所代も払ってない釣り人、喧嘩をしたって勝てる見込みはない。
「全部?」
場合によっては、竿だけとか、道具の一部をどちらかに寄せて、通れるだけのスペースを作ってやるだけとか、そんなことも考えられるので訊いてみたのだが
「一番奥で荷下ろしをするので、移動してくれん?」
「それがお願いする態度か!」と、心の中で叫んだ後、すごすごと陸側に移動。
日中、三枚釣れて、御機嫌だったのに、何だか台無しである。
荷下ろしをするトラックのエンジン音を聞きながら、苛々しつつも竿は出す。これまでに海底に撒き餌を溜めて作ったポイントを放棄したのだから、面白いはずがない。
撒き餌はせずに、針にオキアミをつけては放り込む。それでも、穴子にキス、そして草河豚が釣れた。
一方、油屋の兄ちゃんは、撒き餌をしているにもかかわらず、浮子は沈まず、オキアミも無傷だとぼやいている。
よっぽど撒き餌が不味いに違いない。
荷下ろしを終えたトラックが出て行った(挨拶もなしに)ところで「戻る?」と訊いてみたのだが「もう、撒き餌も少ないし、ここでいいです」と、油屋の兄ちゃん。餌取り、外道さえ寄って来ない状況に心が折れたようです。
それで、元の場所に戻るのは諦めたんだが、ここには昼間作業員を沖へと運んだ小船が戻って来る可能性がある。海で工事をする人の中には、釣り人を邪魔だと敵視する人がいる。万が一、船が戻ってきて、仕掛けを巻き込まれたり竿を折られたりしたら最悪だ。
なので、ちょっとだけ、油屋の兄ちゃんの海側に移動した。
撒き餌をすると、すぐに餌取りが集まってきた。油屋の兄ちゃんは相変わらず砂漠の海に向かって「舐めちょんのか!?」を連発している。
やがて20時のフェリーが入り、撒き餌が終わったと油屋の兄ちゃんは撤収した。
私より後に来て、もう撒き餌が終わったのか?いったいどんな撒き餌なんだろう?
私の撒き餌は、オキアミ1角に押し麦1キロ、糠1キロに集魚剤1キロ
これでだいたい6時間遊べる。
よって、油屋の兄ちゃんは、バンバン撒きまくったか、少なかったかってことになるが、餌取りも寄って来ない撒き餌である。おそらくは集魚剤だけなんじゃなかろうか?
油屋の兄ちゃんが帰る前に鯔が釣れたので、浮子下を深くしてみた。いつものポイントと違い、ここは根掛かりしない。根掛かりしないってことは釣りやすいんだが、障害物が無い海底に魚は少ない。
やっぱり、元の場所に戻ろうかなぁ、なんて考えていたら、棒浮子の先に付けたケミホタルが、スコーンと沈んで、ビューンと沖に走った。竿を掴んだ頃には糸ふけが無くなっていて、竿を立てるのに合わせて竿は満月のように曲がった。
でかい!
二週連続でチーママ? 出足が悪かったこの竿(アラチヌ 0.25号)もそろそろ両目が入ったと言ってもいいかな? いや、もしかすると、また鯔かもしれない。
勝負は下駄を履くまでわからないのだ。
暫く、沖で右に左に走らせた魚を少しずつ寄せる。そして、海面まで上げて空気を吸わせると、魚は観念したようだ。
よし!鯔じゃない。
そしてタモ入れ。 二週連続チーママゲット!
浮かれたのも束の間、海は砂漠になってしまいました。
「今日は、早目に撤収して、9時半に閉まる饂飩屋に行こうかなぁ?」
「でも、早く帰ったって、やること無いしなぁ。まだ、撒き餌もたっぷりあるし」
「でもでも、骨折り損の草臥れ儲けにならないとも限らないし・・・」
葛藤すること2分
「やっぱ、撒き餌が無くなるまで釣って、晩御飯はラーメンにしよう!」
しかし、9時半まで一度も浮子が沈むことなく、心がポッキリ折れました。
そこに、追い討ちを掛けるチャリコ。
「あ~、駄目だぁ」
置き竿にして、撒き餌を捨て、バッカンを粗いながら横目で見ていたケミが・・・バキュ~ンと海中へ!
最後のお客は30センチのメイタちゃん。
「撒き餌、捨てなきゃ良かった・・・」
お後が宜しいようで。