それは11月12日の夜のことだった。
港に住み着いている猫は多い。
そして、不思議なことに、釣り人は港の猫を可愛がる。
小さな鯵が釣れると、港の野良猫に与える。猫はそれを知っていて、釣り人の横でじっと待つ。
昔、大きな鯔が釣れて、タモ網を地面に置き、針外しを取ろうとその場をちょっと離れた。猫が、抜き足差し足で近づいていたのは横目に見たのだが、猫よりも大きな魚、まさか狙っているとは・・・いや、咥えることなどできないと思っていたら、その猫は鯔の頭にがぶりと食いついて、ひょいと持ち上げた。
「いかん!」
そう思った瞬間に、猫は脱兎の如く走り出す。
鯔は、猫にくれてやっても構わない。しかし、鯔の口には、まだ釣り針が掛かってる。
が、走る猫は手に負えない。すかさず竿を掴むと、08号の竿がぐにゃりと曲る。
「猫が釣れた!!」
仲間が、ケミ蛍を頼りに猫を追いかける。
ジー、ジー、ジーーーー
ドラッグが唸りをあげて糸が出る。
仲間がウキを捉え、糸を引く
プッツン!
ハリスが切れで、鯔と猫は闇の中。
「釣り針を呑み込まなければいいけれど」
さて、今夜の防波堤にも猫がいます。鯵を二匹、ぺろりとたいらげて満足の様子。暫く僕の釣りを眺めていましたが、いつのまにか消えていました。
帰りが遅くなったので、臭いバッカンと釣竿を下ろしたら、残りの荷物は翌日下ろすことにしてそのまま車に積んでおきました。
そしてその翌日、車から荷物を下ろそうとリヤゲートを開けると、なんだか酸っぱい臭いがします。
「なんだろう?」
順番に荷物を下ろしていくと、ライフジャケットを手にした瞬間
「おえ!」
猫のしょんべんです。吐き気がするような臭いがします。
やられました。僕が鯵を釣り上げるのを待っている間にライフジャケットにマーキングしたようです。そう言えば、昔、スカリにマーキングされたこともありました。
もちろん、物干しに干して、ずぶ濡れになるくらいファブリーズ除菌をスプレーしました。
来週までに落ちるかなぁ?

