越中富山の置き薬 | 士は己を知る者の為に死す

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太郎「ねぇねぇねぇ、越中富山の置き薬って何?」
康夫「かなり昔からの、家庭の常備薬」
太郎「常備薬って何?」
康夫「置き薬」
太郎「置き薬って何?」
康夫「無限ループだ!」
太郎「無限ループって何?」
康夫「今でも、家庭を回って薬を置き、定期的に訪問して、使用した分だけの料金を回収し、期限切れになりそうな薬を新しいものと交換する商売がある。これを『家庭の常備薬』と言うんだけど、このシステムは江戸時代の昔からあって、その頃は『越中富山の置き薬』と、言っていたんだ」
太郎「あぁ、子供の頃に紙風船をくれたおじさんのことか」
康夫「そうそう、薬屋さんは、紙でできた玩具を子供にくれたり、旅の途中で見聞きした情報を伝えてくれたりしてたんだ。で、それがどうしたの?」
太郎「今度、インターネットでの販売を規制するために薬事法を改正するじゃない?それで、置き薬の業界から陳情されちゃって」
康夫「対面販売を原則とするって規制だね」
太郎「うん、置き薬の業界は、死活問題だって」
康夫「とばっちりだよ」
太郎「そうなの?」
康夫「そりゃそうさ、置き薬で事故は起きてないもの・・・少ないだけかもしれないけど、どっちにしても問題になるほどじゃない」
太郎「そうかなぁ?」
康夫「どいう意味?」
太郎「どんな薬だって使い方を間違えれば危ない」
康夫「僕が知ってる置き薬の事故は、視力の落ちた年寄りが、薬を間違えたとか、袋から出さずに飲んだとか、その程度だよ」
太郎「そうかなぁ、でも、拓ちゃんに頼まれたからなぁ」
康夫「拓ちゃん?」
太郎「うん、拓ちゃんは自民党日本置き薬議員連盟の会長なんだ」
康夫「そいつは、もろ票田じゃない」
太郎「そうなんだけど、我が党にとっても大事な票田だから」
康夫「でも、置き薬の販売については一括販売で決着したんじゃなかったっけ?」
太郎「そうなんだよ。持って行った分の代金をその場で貰えば、対面販売になる。ちゃんと、薬の使用法も説明してね。だけど、これまでは後払いだったし、使わなかった分の代金を払わないからお得感があった」
康夫「それは、イメージの問題だけど・・・深刻だね」
太郎「そうだよ、使うかどうか分からない薬の代金を先払いするのはねぇ」
康夫「じゃあ、規制をやめれば?」
太郎「それじゃあ、個人がインターネットで薬を購入して発生する事故はどうするの?」
康夫「それは自己責任」
太郎「んな無茶な」
康夫「無茶なもんか!だいたい、規制をしたら、君は事故の責任をとるのかい?」
太郎「どういうこと?」
康夫「対面販売で売った薬で事故が起きたときに、政府は責任を取るのかって訊いてるの」
太郎「それは、できないよ」
康夫「だったら、規制をしなきゃいい」
太郎「事故が起きても、それは当人の責任であって、政府は一切関知しないってこと?」
康夫「そう言うこと。規制をするなら責任をとる。責任をとらないなら規制はしない」
太郎「・・・」
康夫「硫化水素ガス自殺だってそうじゃない。入浴剤作っているメーカーに何の責任があると言うの。あんなことに使ったやつが悪いんだ」
太郎「過激だね?」
康夫「過激にもなるさ。おかげでメーカーが潰れちゃって、僕はいい迷惑だよ」
太郎「何の関連があるの?」
康夫「あの入浴剤は、僕の水虫の薬だったの」
太郎「そうなの?」
康夫「そうだよ」
太郎「康夫ちゃん水虫なの?」
康夫「そっちかい!」
太郎「そうなんだぁ」
康夫「そんなに珍しいかい?」
太郎「だって、うちの家族にはひとりもいないから」
康夫「へぇ~、そうなんだ」
太郎「金持ちは、ならないらしいよ」
康夫「貧乏人で悪かったね!」
太郎「そんなに怒らなくても・・・」