『D-紅い夏の道行き』を読みました。
著者は菊地秀行センセ(敬愛度:センセ > 先生)。
吸血鬼ハンター〝D〟シリーズ第44弾。
帯に衝撃の一文が記されていました。
〝天野喜孝氏 挿絵ファイナル〟
ななな何だってーっ!!!?
天野イラストでDが見られるのはこれが最後なのか!?
後任は誰だ?
鷹木骰子氏か?
ファンの集いで菊地センセにDのファンアートを見せたら「きみ、漫画描いてみない?」と声をかけられ漫画家デビューした彼女しかおるまい。
――と、動転しつつ次巻の絵師の予想に躍起になったのですが、これが早とちり。
よくよく見たら、帯の内側になった部分――カバー袖に該当する部分に、次のように書いてありました。
「吸血鬼ハンターDシリーズに挿絵が入るのは本作で最後となります。
カバーイラストは引き続き天野喜孝氏に描いていただきます」
挿絵ファイナルってそういう意味なのね。まぎらわしっ。
次巻から本文イラストが消滅するのは淋しいけれど、天野さんがDを降板したわけではないとわかって安堵の思いです。
本作と同時発売となったのが『吸血鬼ハンターD全挿絵集』(朝日新聞出版)。
第1作から第44作にいたるまで、すべての挿絵(書籍未収録分もふくむ)を網羅したB5判の画集です。
挿絵のみなので、カバーイラストはなし。
多少価格があがってもいいので、カラーでカバーイラストも収録してほしかったのが本音ですが、モノクロでも天野イラストの素晴らしさは変わりません。眼福、眼福。
第1作『吸血鬼ハンター〝D〟』の出版が1983年。
もう43年も経ってしまったのか。まったく実感がない。光陰矢の如しとはよく言ったもの。
初期の方が話も挿絵も記憶に残っているという不思議。
第1作で三人の蛇女にDが絡まれるシーンの挿絵は怖かったし、第2作『風立ちて〝D〟』でヒロインの淹れたコーヒーを飲む、人間味を垣間見せたDの横顔のイラストは、言葉にできない感慨の風を吹かせてくれるので、好き。
さて、本編の内容についてだ。
今回のDへの依頼は、かなり風変りだ。
貴族の子供を、領主である父親――当然、貴族――のもとに送り届けるというもの。
吸血鬼を狩る者がその護衛をする。――いつものDなら受けない依頼であるが、ある理由で受諾する。異色である。
物語の締めで用いられるはずの、「それを浮かばせた者が誇りに思うDの微笑」が、物語半ばで登場する。それも、二度も。これも異色である。
そして、毎度センセが頭を悩ませているであろう、Dをピンチに陥らせる方法。Dはこれまで、何度か死んでいる。その度に、左手に寄生した人面疽――〝生命〟の製造工場――の力で復活を果たしてきたのであるが、今回はその左手が機能不全を強いられてしまう。――その手があったか、と異色の成り行きに久々にハラハラしたぞよ。
吸血鬼、人間、〝もどき〟、そしてダンピール。多彩な登場人物がそれぞれの思惑を秘めて紙面せましと躍動するシリーズ第44弾。
面白かったです。





