悪質な訪問営業の手口 | 物語の面白さを考えるブログ

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少し前に、記事のどこかで、悪質な訪問営業にあい、人生初の110番通報したことをチラッと書きましたが、そのとき得た気付きをお話ししたいと思います。

具体例として訪問営業を取り上げていますが、本記事の眼目は、個人の自由・権利・バウンダリーを侵害する者の手口を解説し、その対策のヒントを提供することにあります。

 

まっとうな「営業」の本質とは、お客様の問題(ニーズ)を解決するお手伝いをすること、です。

お客様が、自分の問題(ニーズ)を正しく把握していない場合は、カウンセリングで問題点を明確にした上で、適切な解決策を提示することもあります。

潜在している問題(ニーズ)を顕在化し、解決策を提示する手法もあります。

悪質な営業は、本質を歪曲し、本質から逸脱して、「解決策」を強要します。

客の側に問題(ニーズ)があるかのように錯覚させ、こちらの提示する商品・サービスが、唯一の解決策であるかのように誘導するのです。

この「錯覚」と「誘導」を実現するために、悪質な営業業者は特有の話術を身につけています。

それは、とにかく、相手を不安に陥れる会話のパターンです。

溺れる者は藁をもつかむ――不安にとりつかれた人は、目の前にある解決策に、思考停止で飛びついてしまうという罠。

これが狙いです。

私は、多少、知識がありましたので、話術を阻害するために、「単刀直入に用件をおっしゃってください」と言ったところ、自分のパターンを崩された業者は、キレはじめましたとさ。

 

具体的な会話例を記すと長くなるので、本質論でいきます。

悪質業者の狙いは、相手に「不安」と「恐怖」を植えつけることです。そうして相手の判断力を鈍らせます。

さらに、自分の言うことを聞かせるため、「罪悪感」も利用します。

こちらが何を言おうとも、すべて「そちらが悪い」というパターンで返してきます。

ですので、まともな議論で相手を説得・論破しようとしても、徒労に終わります。

最初から相手は「話し合い」をする気はないのです。あるのはこちらを「支配」しようとする魂胆だけです。

こちらが腹を立てて粗暴な言動をとったら、しめたものとばかり、こちらの非をあげつらってきます。

あなたは失礼だ、あなたは悪い・間違っている、私は正しい、だから間違っているあなたは正しい私の言うとおりにしなければならない――会話の道筋は、必ずこの結論に収斂します。

ですから、相手のパターンに乗せられずに、終始、冷静に対応する必要があります。

 

対応としてやってはいけないことは、言質をあたえることです。

相手にカケラも正当性を持たせてはいけません。

プロ(?)の悪質業者は、巧妙でしたたかです。

「資料を広げて説明したいので、玄関先を拝借させてください」などと言ってきます。

うっかり「どうぞ」などと言おうものなら、相手を家に招き入れたことになります。

住人が許可しないかぎり、訪問者の居座りは不法侵入となります。建物内ばかりでなく、敷地内に立ち入ることも、許可のないかぎりは不法侵入となりますので、とにかく相手の立ち入りと滞在とを認めるような発言はしないことが重要となります。

言質に関して重要なのが、早く帰ってもらいたいがために、「あとで」などと、後日に会う約束をすることです。

これは、後日の再訪と、滞在、話を聞くことを約束した結果となり、相手に正当性をあたえることになるからです。「話を聞く」=「支配を受け容れる」と拡大解釈して、悪質業者は攻め寄せてきますから、断るのがよけいに困難になります。

声を荒げたり、相手の身体に触れて強引に退去させようとすれば、こちらが暴力をふるったことになり、相手はそこにつけ込んで(お前が悪い式の会話パターン)、「被害者」として「正当な主張」を展開し、自分の言い分を通そうとしてきますから、やっかいさが増します。

 

対話による説得はムダ、強制力によって退去させる方法はこちらが「加害者」にされて不利になる。

よって、採るべき手段は、公的な第三者による強制退去=警察力の行使、となります。

実際に私が通報したところ、悪質業者は「警察は民事不介入だから、そんなことをしてもムダだ」とうそぶきました。

相手の「不安」をあおり、「恐怖」を植えつけようとする会話パターンは、最後まで健在でした。

こういう、したたかで、ふてぶてしい輩を相手にしていることを肝に銘じてください。

不安になったら負けなのです。

仕返しされたらどうしよう、などと恐れてもいけません。

とにかく毅然とした態度を取り続けることです。

冷静さを失わずに。不安は冷静さを失わせます。

冷静さを維持するためには、常に相手を観察し、自己の心身をモニターする〝気付き〟の力が重要になります。

私は気付きの力を、「自己を観察する瞑想」で培いました。

胆力を養う丹田呼吸法も有効だと思います。

 

毅然とした態度をつらぬく――これが大事なことはわかりました。

しかし、決意だけでは、うまくいきません。

なぜなら、この決意には、「具体性」が欠けているからです。

「毅然とした態度」とは、具体的な言動によって表現されるものです。

決意が「抽象的」なままでは、行動として体現できません。

「毅然とした態度」とは何か?

相手や状況を想定して、それが具体的にどういうものか、あらかじめ言語化しておく必要があります。

悪質な訪問営業を仮想敵とした場合は、① 住人の権限において敷地外への退去を命じる ② 従わない場合、110番通報する と、このように決めておく(言語化しておく)のです。

具体的なゴールを自分自身に明示しておけば、次に悪質業者と遭遇した場合、すみやかにゴールまでのルートをたどれるようになります。

 

上述のくり返しになりますが、まとめます。

個人の自由・権利・バウンダリーを侵害する者は、「不安」「恐怖」「罪悪感」を巧妙に利用して、ターゲットと定めた人物をコントロールしようとします。

この行為は、暴力であると、はっきり認識してください。

相手の話術に付き合うのは地獄の始まり。

対話による解決は不可能。

交渉によって相手から譲歩・妥協を引きだそうとする試みは悪手。

とにかく毅然とした態度で、相手からのコントロールを拒絶する以外にありません。

とるべき「毅然とした態度」の内容を、具体的に言語化しておき、いざ、その場面になったら、躊躇なく実行すること。

怒りは冷静な判断力を失わせ、何より、自身の心の平和を破壊します。

 

本稿が、わずかでも、誰かの、何かのお役に立てるのなら、幸いです。