2024年春アニメ『烏は主を選ばない』を観ています。
第13話で物語にひと区切りつきましたが、アニメはまだ続くようです。
新章「黄金の烏編」の開始となる第14話は、7月20日(土曜)放送。
原作は阿部智里の小説「八咫烏」シリーズ。
平安朝を模した和風ファンタジー。
八咫烏が人間の姿で暮らしている「山内」(やまうち)と呼ばれる異世界が、物語の舞台。
族長は「金烏」(きんう)と呼ばれる。天皇みたいなもの。
金烏の血統である「宗家」と、四大貴族「東家」「西家」「南家」「北家」の間で、複雑な権力争いが行われている。
次期金烏である若宮の后えらびが、第13話までの主題となっている。
【人物相関図】
東西南北の貴族から一人ずつ、后候補として姫が選出されています。
ボーっと視聴していると、誰が何家だとかわからなくなって困ります。
公式が相関図を作ってくれてよかった。
原作未読でアニメだけ視聴していますが、いやもうビックリ。
ファンタジーなのに、ミステリさながらの意外性のあるどんでん返しが仕込まれていたとは!
どんでん返しは大概、意外性のあるものだけれど。
こうなると感想がすこぶる書きにくい。
何を書いてもネタバレになりそうで怖い。
ネタバレしなくても、未読未視聴の方にヒントをあたえてしまう可能性だってあるし。
だからといって、「面白かった」で済ませては芸がないし。
そこで、以下、ネタバレの警告を発したあと、ネタバレ感想を書きます。
読むと本当にアニメや原作小説の興が削がれるので、本作に興味を持った方はご注意ください。
AIに描かせた、寝たバレーボール選手の絵。
「ダジャレ言いたいだけだよね?」
「うん」
しかし、こうまでキャラクターの印象と真実とが異なるとは、恐れ入りました。
しかも、真相を知ったあとで印象が反転する「どんでん返し」が、13話までの間に二度も発生するなんて。
すっかり騙されましたよ。
主人公である雪哉くんの立ち位置が絶妙なんだよなあ。
肝心なことは知らされないままに、物語の中心である若宮の側仕えとして、若宮の行動を間近で見ることになる。――つまり、視聴者と同じ立場だ。
それでいて、視聴者と一体化する無個性な〝カメラ〟とはならずに、ひとりの人間としての屈託と葛藤を抱えている。
このキャラクター造形は見事というほかありません。
第一のどんでん返し。
これ、全然わからなかった。雪哉くんは途中で気づいたけど。
朝廷内権力の勢力図において、こうまで敵と味方の前提がひっくり返ることがあるんですねえ。
人間は思い込みの生き物だと痛感させられました。
そして第二のどんでん返し。
第1クールのメインとなる、后えらびだ。
四者四様――性格の異なる姫たちから、若宮は誰をえらぶのか?
ゾクゾクしましたねえ。
「悪意なき悪意」が暴かれていく過程に。
久しぶりに見たぞ、「吐き気をもよおす邪悪」を。
いつだって悪魔は天使の声でささやくものさ。
ああ、おぞましかった。
【四家の姫たち】
南家:浜木綿
西家:真赭の薄
北家:白珠
東家:あせび
后えらびが終わったあと――。
若宮の立場だとしかたなかったとはいえ、乙女心を試したり顧慮しなかったりするような仕打ちはどうなの?
というモヤモヤが残っていましたが、えらばれたお方が一発ぶん殴ってくれてよかったです。
スカしたイケメンがぶん殴られる図って、何かオモロイ。
視聴者(読者)のヘイトをコントロールするために、こういうシーンをきちんと用意できるところに、作者の力量の高さを感じます。
ヘイトコントロールができているかどうかは、作家の力量を測る有効な指標となると思います。
なぜって、ヘイトコントロールを適切に行うためには、自作を客観視し、なおかつ、読者の反応を予測・計算できるだけの聡明さが必要になりますから。
炎上する打ち切りマンガって、これができていないものが多い、という印象です。
北家:雪哉きゅん
宗家:産屋敷耀哉 若宮(奈月彦)