HIGHSPEED Étoile 全12話 | 物語の面白さを考えるブログ

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2024年春アニメ『HIGHSPEED Étoile』全12話を観ました。

第1・2話の時点では、面白いと感じていましたが、全話を俯瞰すると、脚本の難が目立つ残念な結果となりました。

「粗が目立つ」ではなく「難が目立つ」です。

細かい部分で修正した方がよいと思う「粗」もありますが、それ以上に、話作りの基本設計的なところに面白さを損う「難」を抱えています。

それを説明しようとすると、最終話におけるレースの結末に触れざるを得ませんので、ネタバレ有りとさせていただきます。ご注意ください。

 

 

AIに描かせたネタ渓谷(バレー)の絵(どこやねん)。

国立公園という裏設定あり。

 

 

視聴していてストレスを感じた一番の要因は、主人公が活躍しないことです。

第2話で(ルール違反ながら)キングを追い抜いたのをピークとして、最終話でキングとの一騎討ちに勝利し一着でゴールするまで、ずっと低迷したままなのです。

これでは、主人公の視点でストーリーを追っている視聴者としては、気持ちが盛り上がりません。

それと、このようなストーリーの流れだと、最終決戦の結果が容易に予想できてしまいます。

ここで活躍しなければ、主人公がいいとこなしで終わってしまうので、よほどひねくれた作者でないかぎり、主人公を勝たせるはずだ――と。

 

物語を面白いと感じるのは、やはり、主人公が困難(課題)を乗り越えたときです。

最終話までそれがないとなると、ストレスを感じるのは理の当然です。

これを解消するためには、主人公の前に小さな困難(課題)をたくさん用意して、それらをクリアさせることで、段階的に成功体験を積ませるべきでした。

そうやって、一段一段、階段をのぼるように上昇していって、最終戦の手前で一度どん底に落とす。

そこから這い上がり、最終目標であるキングを倒すことができるのか――?

このようなストーリー構成になっていれば、最終戦の結果も予想が難しくなります。

主人公が必ず勝つとはかぎりませんから。

孫悟空だって、天下一武道会では、優勝を二度も逃しましたからね。

 

カーレースを主題とした作品なのに、半分くらい日常回だったのもいただけません。

「レーサーである女の子たちが日常でキャッキャうふふするアニメ」ではなく、「カーレースアニメ」なのですから、レースシーンをもっと増やしてもらわないと、どっちつかずの印象になってしまいます。

ストーリーのほとんどが試合のシーンで構成されている『キャプテン翼』という前例がありますから、レースシーンを増やすのは不可能ではないはず。

レースシーンが増えれば、それだけ、他のサブキャラと主人公が対決する機会を作れます。

そうやって、主人公がサブキャラを撃破するたびに一歩ずつ成長していけば、主人公が活躍しない問題を解決できますし、サブキャラにもスポットを当てることができて、一石二鳥です。

せっかく、かわいい女の子 ライバルとなり得るキャラをたくさん登場させたのに、もったいない。

 

 

 

 

永遠ちゃんの出番はもっと増やすべき(小声)

 

不満はまだありますが、細かいことを言い出すと超長文になるので、ここらへんで切り上げて、好意的に鑑賞できた点をば。

主人公・輪堂凛を演じる和泉風花さんの声が、けっこう好きだなーというのは、視聴を継続する上で重要なファクターになりましたね。

 

 

「アホの子」設定ではなく、「熱血スポ根少女」でよかったような気はする。

カーレース=モータースポーツなんだからさ、スポーツものでしょ。

 

何気にびっくりしたのが、5話と9話のコンテを麻宮騎亜が担当していたこと。

日常回ではなく、レース回です。

見応えありですよ。

 

最終話のエンドカード