REVENGER (全12話) | 物語の面白さを考えるブログ

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『REVENGER』視聴完了!

 

アニメ版「必殺仕事人」というべき本作。

企画はニトロプラスと松竹。

ストーリー原案・シリーズ構成・脚本を担当したのは虚淵玄。

 

序盤はハッタリが利いていて面白いと思いましたが、終盤になるにつれて物語の「濃度」が低下した感じ。

冗長を排し、かつ、不足なくまとまった物語を私は好みます。もちろん、面白いことが前提です。

まとまっているという点に着目すれば、本作も仲間に入れていい気はするのですが、――そうすることに、何故か抵抗を感じてしまいます。

何故だろう。

「頭では理解できるものの、ハートに伝わってこない」から、でしょうか。

私が虚淵玄のストーリー・脚本を好まないのは、こういう〝読後感〟に陥ることが多いからなのです。

『翠星のガルガンティア』は面白かったんですけどね。

 

キャラクターの掘り下げが足りなかったのかなあ。

特に思い入れのあるキャラがいないので、彼らの生き様・死に様を見せられても、「なるほど、そうですか」以上の感慨が湧かないのです。

強いてお気に入りをあげれば鳰(にお)ですね。

彼だけは掘り下げ回がありましたから、どういう人間なのか理解できました。

ふつうの(?)ストーリー構成なら、主人公の紹介をしたあと、仲間のひとりひとりにスポットを当てる話をやり、それからストーリーの本筋が動くといった感じになるのでしょうが、そうすると1クールでは尺が足りなくなるでしょうし。

でも、本作のストーリーだと、2クールでは長すぎる気がします。

18話くらいだったら、ちょうどよかったのかもしれません。

1クールで収めるために、後半は、人物を描写するというより、ストーリーを説明する方に重心が偏った気がします。

 

いろいろ言いたいことはありますが、ひとつだけ挙げるなら、主人公の最期についてです。

ああいう最期が悲劇性を帯びるには、希望を見出した矢先であることが前提となるはずですが……。

絵師として第二の人生を歩み出したかに見えた雷蔵の心は、しかし、何も変わっていませんでした。

鳰の口を通して、脚本はそう言わせています。

一度闇に堕ちて人を殺めた人間は、二度とまともな生き方はできないと、かつて鳰は言いました。しかし、雷蔵は、絵を描き続けることで、己の抱えた闇と向き合い、それを乗り越えることができた、その矢先に、あのような最期を迎えた――。

このような流れであったなら、あの最期は悲劇となって視聴者の胸に何らかの波を起こしたはずです。

ですが、本作では、雷蔵は闇の中をさまよい、光を見出せないまま、最後を迎えるのです。

そのため、結局のところ、制作者が何を言いたかったのかが、見えてこなくなりました。

一度闇に沈んだ人間は、再び光を掴むことはかなわず、虚しく死んでいくしかないと言いたかったのでしょうか?

闇の中にいるにしては、妙に穏やかな顔をしていましたから、もしかしたら雷蔵は何らかの境地――諦観のようなものに達していたのかもしれません。

だとしても、それを視聴者が読み取るには、劇中の描写が不足している気がします。

雰囲気だけで察するのも限界があります。

つまり、よくわからない。

よくわからないけれども、キャラクターに思い入れが形成されていないので、「別にいいや」となってしまいました。

残念。

 

OP曲は好きでしたよ。