◇第1話◇ 残酷  | 物語の面白さを考えるブログ

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一話のタイトルが「残酷」。

 

初めて読んだとき、一話らしからぬタイトルだと思い

ギョッとしました。

物語の開幕が「残酷」って、どういうことだ?

読者の興味を惹くことに成功しつつ、

世界観を提示している見事なサブタイトルです。

鬼滅世界はポンポン人が死ぬし、残酷よね。

 

扉絵を見た感想――。

高橋留美子の影響があるように思いました。

すぐに気にならなくなりましたけれど。

 

内容は、

貧しくも幸せな竈門家の暮らしぶりと、その破滅、

禰豆子の鬼への変貌、

冨岡義勇との邂逅、

鱗滝左近次のもとへの旅立ち。

人喰い鬼と鬼狩りの存在、および、

主人公の目的――妹を治す――を明示しています。

後に頻出する、亡き家族の霊が語りかける場面も、

一話ですでに出ていますね。

 

気になるのは、義勇さんの竈門兄妹に対する態度。

二人に何かを重ねて見ているようです。

炭治郎の〝妹を守れなかったバージョン〟が

「冨岡義勇」というキャラなのではと推察。

冨岡さんの過去編が楽しみです。

 

一話のラストシーン。

手に手をとって駆けて行く炭治郎と禰豆子。

地面が傾いた不安定な構図が、

多難な行く末を暗示しています。

降りしきる雪が物哀しい詩情を添えていて、大変よろしい。

 

物語全体から醸し出される「詩情」は、

『鬼滅の刃』 を鑑賞する上での重要なポイントだと思います。

まさか、腹筋崩壊もののギャグと同居できるとは、

一話の時点では予想できなかったなあ……。