呑川沿いの桜は本当に綺麗なので毎年花見散歩に行きます。

 

 

東工大の桜も満開。

例年なら卒業式頃に咲くのでここには近寄れないんですが、今年は間近に見ることができました。

 

 

 

 

 

 

心乱れるほど綺麗です。

 

 

桜の下で読書です。

 

『幻の光』宮本輝

 

 


人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ――祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。奥能登の板前の後妻として平穏な日々を過す成熟した女の情念の妖しさと、幸せと不幸せの狭間を生きてゆかねばならぬ人間の危うさとを描いた表題作のほか3編を収録。芥川賞受賞作「螢川」の著者会心の作品集。

 

この中に『夜桜』という小品があってそれを読んできました。

桜の美しさはただ見えているところだけじゃない気がします。

咲いたらパッと散る儚さ、潔さ。

そしてきっとそれぞれの人の胸の中に桜にまつわる思い出があるんじゃないだろうか?

『夜桜』はまだ若い頃に夫と離縁した女性が一人住む家の夜桜を非常に複雑で繊細な気持ちで眺めることとなる一夜の話です。まさしく酸い甘いも噛み分けた年齢の成熟した女性の心の襞を描き切っているなあとため息が出る。

この大人な感じっていつか自分も大人になるんだと思っていつまでも大人になれなかった自分には憧れのようなものさえ感じる。

いつから日本人は大人になれなくなったんだろう。

何も諦めたくないと足掻いていたらいつまでも本当の大人になれないんじゃないだろうか。