日本を代表する女性写真家・石内都の写真集『ひろしま / Hiroshima』。本書は、2007年に広島平和記念資料館に収められている被爆者の衣服や装飾品などの“肌身に直接触れた”遺品を写し出したもの。土田ヒロミも同様に遺品を写していまが、石内は依頼時に多くの写真家によって撮られ続けている広島=原爆というテーマに逡巡したそうですが、初めて広島を訪れ、残された遺品に触れた時に、破壊的なイメージがある一方で、衣服のきれいさやおしゃれさに心を奪われたそうです。重たい歴史がありながらも、当時の人たちも当然おしゃれを楽しみ、またそれを支える生活があったことを、こうした写真群から感じ取れる一冊です。 

 

 

この写真集は梯久美子さんの『好きになった人』を読んで知りました。

 

 

 

 

 

この本の一番最初にあった《少女たちの「ひろしま」》という文章に石内都さんのことが書いてあります。

広島で被爆した方々が身につけていた服など、特に女性の衣服を中心とした写真集です。

 

私がまだ子供の時には年に一度は学校の特別授業で広島に関するもっと残酷な映像を見る機会もあったのでそれに比べるとこの写真集は美しいと言ってもいいと思う。

それが石内さんの表現なのだろうと思う。

 

戦争というと、国民服とかモンペとか華美を嫌うイメージがあるけれど、この写真集を見るとまた違うものが見えてくる。

服は今と違って多分手作りだろう、丁寧な作りのワンピースやブラウス。美しいものたちが被曝の瞬間に時を止めた。

美しいからこそ強く印象に残る写真たち。正直写真というものの破壊力に驚いた。ダイレクトに胸に届くと思う。

 

おしゃれをしたい年頃におしゃれができない娘たちはきっと表には見えないところに自分のお気に入りの服を身につけていたんじゃないだろうか。母親もまた子供たちに愛を込めて丁寧に作った服を着せていたに違いない。

どんな世の中にも普通の人々の普通の暮らしがある。戦争はそんな市井の人間が起こしたことではないだろう。

 

美しい服たちは破れ、変色し、黒いところは穴が空いて抜けてしまったりしている。

 

写真集の感想と言っても言葉で言い尽くせることではないし、言葉で言えないから写真という芸術がある。

ただただこれを身につけていた方々が一発の爆弾のせいで亡くなっていったことが恐ろしいと思う。

 

なんでもない毎日を過ごしていたらいつの間にか戦争になって核爆弾を浴びて日本国民は滅亡しました…ってなってもなんの不思議もない。

むしろ一度起きたことだから何度でも起きるだろうと思う。

 

世の中には政治に興味のない人間が多いけれど、それは政治家にいいように利用されて場合によっては死ぬことになってもかまいませんと公言するのと同等です。

本当に今は変えていかなくちゃならない事、また守らなければならない事がたくさんある。

だから世の中のおかしな事を見過ごさないやべー奴にならないといけないのです。

本当は本の事だけ考えていたいけれど、そうもいかないので日々勉強するのです。

 

写真集の別冊にノーベル賞文学賞受賞の詩人・シンボルスカの「世紀の没落」が掲載されている。

 

どのように生きるべきか   手紙でだれかが訊いてきた

この同じ問いを

だれに投げかけたらよいというのか