内容(「BOOK」データベースより)
夢の中で、十二年に一度の沖縄・久高島の祭イザイホーに、巫女として参加している自分を見つける「眠る女」。亡くなった夫の骨を砕き海に撤く妻を、遠くからそっと見守る夫がやさしく語りかける「骨は珊瑚、眼は真珠」。さわやかに、そして心に深く届く言葉が紡ぎだす九つのものがたりを収録した秀作短篇集。
池澤さんの作品についてはそんなに詳しいわけではないのですが、
『マリコ/マリキータ』以来のファンです。
この薄い短編集ですが、池澤さんの作品の色々な面を見られるのでお買い得とも言えるかもしれません。
『眠る女』
『アステロイド観測隊』
『パーティー』
『最後の一羽』
『贈り物』
『鮎』
『北への旅』
『骨は珊瑚、眼は真珠』
『眠る人々』
私が好きなのは『最後の一羽』『北への旅』と表題作です。
『最後の一羽』は北海道に住む最後の一羽であるシマフクロウの目を通して描かれたごく短い話です。
とても短い中に圧倒的な孤独が描かれている。常日頃、孤独を受け入れて生きるという姿こそが正しいと思っています。
この話はシマフクロウの話でありながら、あるいは人間の話、私の話であり、宇宙の成り立ちとも言える絶対的なものを感じる。
『北への旅』は人類最後の一人となった男がシェルターを出て北へ旅するという物語です。
なんだかSF映画みたいですね。人類最後の一人になんてなりたくない。主人公にのしかかるものは私の想像を超えているけれど、淡々としていながら非常にエモーショナルなストーリーだと思う。
『骨は珊瑚、眼は真珠』
これは夫を亡くした女性が夫の骨を拾い、やがては海に散骨するまでの話が夫目線で描かれている。
死というのは普通はとてつもなく大きな出来事であると思うけれど、あくまでも淡々と書かれている。しかしそれは夫目線だからであって、妻が何を思うのかはわからない。
私としてはこの夫と一緒であくまでも淡々としていたいと思う。それは先に死ぬ者の勝手かもしれないけれど、変わらないものはないわけだから親やパートナーや親しい人々ともいつかは別れなければならない。
死んだ先のことは知らないけれど、とりあえずそこで終わりではある。体というものがあれば人は具象であるけれど、死ねば概念になる。
骨は珊瑚、眼は真珠という言葉はシェークスピアのテンペストからでとても美しいタイトルだなと思う。
読み終わってからだいぶ経つのでブログを書くのにちょっと苦労してしまった。
読んですぐにブログを書かないせいでそのまま放置してしまうことがしょっちゅうある。
来年はなるべく印象が強いうちに感想を書けたらいいなと思う。
しかし読んだ本のことをどんどん忘れてしまうのもどうかしている。
来年はもう少し意識高く読書ができたらいいのかもしれないと思う。
あまり大きな事を言うと守れないので今まだ迷い中の目標です。