2月の読書について書かないうちに3月が終わってしまいました。
振り返ってみたら本についてあまり書いていなかったなと思います。
実生活ではぼちぼちとは読書していますが、割とのんびりです。
今年はのんびりなペースになるかなと思っています。
量はともかく3月も良い読書が出来ました。
まず宮部みゆきさんの『模倣犯』を読了しました。
今更紹介するまでもないのですが、実は私には未読作品だったのです。
映画も観ていないのですが、確か当時映画の宣伝でピースの頭が爆発するシーンを見て、
え、宮部さんがこんなの書く?って思ってちょっと手を出せないでいたんです。
ただ『楽園』を読んだ時からやっぱりいつかは読まないとと思っていて、この度ついに読んでみました。
文庫本で全5巻でかなり長いけれど、中だるみがなくこの何処かを省略できるかと言えばそういうこともなく長尺の理由のある作品でした。
もちろん映画みたいなくだらないところもなく、猟奇的な殺人事件でありながら読み終わってみたら誰でも犯人になりうるような気もしました。
内容(「BOOK」データベースより)
貴方が生きている限り、避けることのできない苦しみがある。どんなにうまく人生を遣り繰りしてきたつもりでも、身の処し方に迷うことがある。そんな時、拠り所になる信条を持っていますか?遠く懐かしい記憶を、今でも大切にしていますか?かつて幼かった貴方の姿を、瑞々しい筆致で描いた掌編小説集。
とても良かった。
人としての在り方について考えさせられる。
こういうことを考えると昔がよかったのか、今がよいのか正直わからなくなります。
ただ昔の方が人の生活は厳しく、それを当然の事として受け入れる謙虚さと向上していこうという気持ちが感じられる。
今はやっぱり恵まれた時代であり、それでいて暗い時代であると思い知らされる。
一般論として経済観念を引き締めることはとても難しいことで、最初から恵まれていた人間がこれからの時代に対応できるのだろうかと不安になる。
この作品を良作と言ってしまうと今の考え方から取り残された人間ということになってしまうかもしれないけれど、私はこれは間違いのない良作であると言いたい。
内容(「BOOK」データベースより)
インドとドイツの区別がつかなかった子供のころ。「君、明治生まれ?」とボーイフレンドに揶揄された学生時代。そんな遠い日の思い出と、ささやかな日常の場面の中にある人生の真実―。三十一の宝石のような掌篇が詰まった、小川洋子さんのエッセイ集。文庫化に際し、書き下ろしエッセイを収録。
小川さんは私の推し作家さんなので、どの本も大好きです。
昔は作家さんのエッセイってそんなに興味なかったんですが、今はエッセイが大好きです。
小川さんの小説は日本ぽくないというかジメジメしたところがなくて、少し幻想的な感じがします。
エッセイは優しい中に小川さんらしい他の人は気づかないような事が描かれている。
それは小川さんの中に眠る宝石のようなものだと思う。
ファンである私にはたまらない。
いつも行く食堂で出会った女の名は、広美といった。気づけば死んだ妻に代わり、子供たちの面倒を見てくれるようになっていた広美。しかしまたある日突然、彼女は家族の前から消えてしまう。身体一つで、別の町へと去って行ったのだ――。家族から次の家族へ、全国をさすらう女。彼女は一体誰で、何が目的なのか? 痛快で爽快な、誰も読んだことのない女一代記。
タイトルからどんな話なんだろう?と思ってしまうけれど、なるほどです。
原田さんの作品は人と人の距離が独特に感じる。
私自身べったりした人間関係が好きじゃないのでしっくりくる。
主人公の広美は色々な家庭で子供の面倒を見てはさらっと去っていくのでそこを指してウエスタンというのかもしれない。
広美がやっていることが良い事なのか、悪い事なのかわからないけれど、そうするしかなかった広美の気持ちはわかる。
以前から気になっていた作品なので読めてよかった。
3月の読了本はどれも良くて、どれも紹介したいところですが、長くなりますのでこれくらいにします。
自分の寿命を考えると月にせめて15冊くらい読めたらと思うのですが、無理にペースをあげると個々の本の良さを読み落としてしまうのでやはり小説は無理にスピードを速めるのは難しいなと思う。
読みたい本はたくさんあるけれど、一体いつまで読書できるだろうか。
もし老いさらばえて本が読めなくなったら、せめてAudibleで読書したいかなと思っている。