本作は2004年に実際に起こった『ビル・マグワイア殺人事件』を基に制作されたスリラー。バイト先の同僚・ビルと情熱的な出会いをしたメラニー。二人は結婚し、幸せな家庭を築いていくが、夫のギャンブルや浮気癖、さらにメラニー自身の不倫を機に、夫婦関係が徐々に壊れ始める。そしてある日、海岸に打ち上げられたスーツケースから、ビルのバラバラ遺体が発見される。

 

 

これ、意外と面白かったです。

実話をもとに作られた作品だそうですが、私はこの事件を知らなかったので最後までどうなるのかなあと思って観ていました。

 

今から自分がもう一度結婚するっていうことはないだろうから参考にすることもないんですが、ある程度長く付き合っていてもなかなか相手のことってわからないものだと思うんです。

恋愛と結婚って別物だし、舞い上がっていると正確な判断がつかなくなる。

この作品でも結婚前にメラニーは親友にあの男はやめておけと言われていたし、ビルの元妻にも忠告されていたけれどビルを信じちゃうんだなあ。

 

メラニーは目標設定がはっきりしていてやる気満々な感じの女だけれど、ビルは遊び好きのダメ男だし何よりもメラニーのような向上心もしくは野心が感じられない、今が楽しければそれでいいタイプの男だと思う。

これじゃうまくいかないかもね。

 

しかしこれくらいのことで人を殺すだろうか?

もし自分だったらと想像するととてもじゃないけれど人は殺せない。

ものすごい情熱がなければ普通の人間は殺人なんかできない。面倒すぎる。

反対に気軽に人を殺せるという人は常人ではないと思う。

 

映画の中でどこが本当っぽくて、どこがフィクションなのかよくわからないのですが、

とりあえず検事はいい人じゃなかったなあ。

そして弁護士の戦法も微妙だった。陪審員の感情にアピールするようなやり口。

 

いずれにしろメラニーがやったのかやってないのか…この映画では判断ができなかった。

限りなく怪しいとも言えるけれど動機も物証も微妙そうだったし、そうなると陪審員が有罪無罪を決めるって難しい。

 

人生にはいくつも岐路があると思うけれど、メラニーはギャンブル癖がある上に浮気性の男と結婚するべきじゃなかったし、

無理して家を買っても結局幸せになんかなれない。

自分が積み上げてきたものを諦めるのは勇気がいるけれど、やっぱり間違いだとわかった時点でやり直す、それが一番良い方法なんだなと他人事だとよくわかる。

 

なかなかに後味も悪いのだけれど、とりあえず主要人物に味方したくなるような人がほとんどいなくて殺されて当然とまでは全く言わないのですが、気の毒すぎると思える人もいない。

かわいそうだなあと思ったのは二人の子供とメラニーの両親でした。

全く犯罪は加害者も被害者もその周りの人もみんな不幸になる。

そうとわかっていても犯してしまうのが人間の弱さなのだろう。