森ミステリィのこれまでとこれから。S&Mシリーズに続くVシリーズ主要人物も登場する傑作短編集! 「黒窓の会」。西之園萌絵を囲んで開かれるその秘密の勉強会にゲストとして招かれた犀川創平は、古い写真にまつわるミステリィを披露した。屋根飾りと本体が別々になった奇妙な石塔は、何のために作られたのだろうか。S&Mシリーズ2編を含む、趣向を凝らした10作を収録。『まどろみ消去』に続く第2短篇集。
森先生のエッセイは大好きでしかも先生はバリバリの理系人間なので尊敬しかないのですが、ミステリーが苦手で小説を読んだことがなかったのです。
この本にも登場する犀川先生と西之園萌絵のシリーズも全く読んだことがないだけでなくドラマも観ていません。
ミステリーはファンも多いと思うのですが、自分の読書史を振り返ると中学生くらいまではミステリー好きだったはずなのに何故かあまり得意ではなくなりました。
まずトリックとか密室とかに興味がないのと、人間そのものがミステリーなのにわざわざミステリー作品じゃなくてもという気持ちです。
つまり私ってものすごく文系思考でミステリーを読んでいるんですね、きっと。
ということで、この本も恐る恐る手に取ったんです。
『小鳥の恩返し』
『片方のピアス』
『素敵な日記』
『僕に似た人』
『石塔の屋根飾り』
『マン島の蒸気鉄道』
『有限要素魔法』
『河童』
『気さくなお人形』
『僕は秋子に借りがある』
全10編の短編集です。
結論としては思っていたよりは読めたし、作品によっては大変叙情的でびっくりするくらいでした。
しかし、『マン島の蒸気鉄道』がもう辛くて辛くて…多分犀川先生のシリーズを知らないせいもあるかもしれませんが全く興味が持てずにこの作品を読むのにどれだけ時間がかかったことか。
やっぱりシリーズを読むのは無理なんだろうなあと思いました。
世間的にはよく話題に上る『小鳥の恩返し』はミステリーとしてはなんとなく無理があるような気もするんですが、話としてはとても美しく情緒があって私は大好きでした。
それ以外、『片方のピアス』『河童』『僕は秋子に借りがある』も好みです。これらは文系人間でもいける。
何故か私は森先生は鋼鉄の心を持った方に違いないというくらいに自分とは正反対の人だろうと思っていたので、人の心の柔らかい部分をくすぐるような作品があることにびっくりしました。
多分これからすごく積極的にミステリーを読むことはないかなとは思うのですが、何かの折にはまた読んでみようかなと思う。
森先生の作品という意味では次はこれを読んでみようと思っている。
紅の鞘に納められた細身の刃。ゼンは師から譲り受けたその剣だけを友に山を下り、旅に出る。師であるカシュウは死んだ。ゼンに旅立つよう言い残して。親も知らず、山奥で育てられた理由もわからない。だが山での生活は、ゼンを強く、賢くした。
道を極めるためのあてどない修行の旅。剣を構え、しのぎを削り、出会いと別れを重ねながら、多くに気づき学び取るゼン。
動的でありながら内省的な侍の成長を描く、傑作剣豪小説!
これ、カバーがかっこよくて、でも私が持っているのは文庫本なので残念。
文庫の方が扱いやすいかなと思ったけれど、やっぱりこっちを買うべきだったな。
とにかく理系頭の全くない私としては森先生は生きているだけで神様です。