FOXY (文春文庫)/宇佐美 游
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これは銀座の夜の立身出世物語です。

読み始めた時は軽い感じの読み物と思っていたのですが、読み終わるとそんな風なさっぱりした爽快感は全くなく・・・。


主人公の千華はモデルになりたくて北海道から出てきた女の子。

ところがモデルクラブの詐欺に引っかかって文無しになったところを銀座のクラブのオーナー氏家氏に拾われて、銀座のクラブのホステスの卵になります。


私はクラブに連れて行ってもらった経験もないし、そういった世界のことはよくわからないわけですが、

この小説の中の人間関係は高級なんであろう銀座のクラブの話とは思えないほど、えげつないところがあってちょっと失望してしまったハートブレイク


千華の姉貴分となる繭子は確かに魅力もあるとは思うけれど・・・、

私はどんな世界でも成功する人間は頭がいいだけでなく、器の大きな人間だと思ってる。

相手をお金としかみていない人間が成功するとはやっぱり思えない。


この小説に出てくる女性はお金ばっかり求めていて、しっかりした自分がないような気がして寂しいですね。


なんでも一流になるには何かを犠牲にして精進しなくてはならないんじゃないんですかねぇ。

そんな金の亡者に簡単にカモにされたら男だってたまったもんじゃないでしょう。


ただ読んでいて、ホーとなかなか為になることもあったりして・・・


買ってもらうことを知っている女に、男は買ってくれる。

買ってもらうことを知らない女に、男は気づかないふりをする。

男は女の欲を嗅ぎつける。男は、欲の深い女が好きだ。

正直で真面目な女など、誰も求めてやしない。


なんですとーあせる

そうだったのか。


確かに人間はちょっと悪いものに惹かれるもので。

いつでも手に入りそうな相手よりも、高嶺の花に惹かれてしまう。

そういう道理なんでしょうね。


それから千華がお客をだまして(?)お金を引き出すくだりがあるわけですが

姉貴分の繭子に言われた言葉は


自分をコケにした女を、男は絶対に許さない。

男を甘く見るんじゃない。


いやー、お勉強になります。

やっぱり男は最後までだまし続けて、手のひらでころがさなくっちゃパー

一度人生のゲームを始めたら途中でおりるわけにはいきません。

結婚然り、恋愛然り(笑)



なんといっても千華はまだ10代の若い女性なので

そんな銀座の夜のしゃれた駆け引きなんぞできるわけもなく。

痛い目をみて、エンディングまできて私が本を閉じてから・・・


初めて千華は本物の銀座の蝶としてしたたかに生きていくのじゃないでしょうか?



あらすじ

上京したとたん、金を騙し取られて無一文になった千華は、銀座のクラブ「セビリア」の社長に拾われる。ナンバーワンホステスの繭子から「体を売らずに男から金を引き出す」テクニックを教わった千華は、やがて売れっ子のホステスへとのし上がっていく…。美しさと知力の限りを尽くして戦う銀座の女たち。

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