2月27日の本ブログで「アルコールとアンチエイジング 」のことを書きました。今日は、もう少ししぼって、「ワインとアンチエイジング」について書いてみたいと思います。
大学の後輩で日本抗加齢医学会認定専門医でもある精神科医の堺英彰先生は大変はワイン愛飲家で、私も彼のお蔭で結構いいワインを飲むことが出来ます。そのうちに私自身もワインにはまりだし、ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン 」にもかれこれ2年通い、遂にはソムリエ試験に挑戦することにも!今は、8月22日の一次試験に向けて、猛勉強中です。
さて、実は去る6月3日(金)、山形県は鶴岡市で庄内アンチエイジング勉強会という研究会があり、そこで堺先生がワインのアンチエイジング効果についてレクチャーしてくれました。
その内容をご紹介します。
アルコールと健康について、もう一度復習を。
アルコールには血流増加作用、抗凝固作用、GABAによる鎮静効果、適量のアルコールによる精神のリラックス効果などがプラスの効果として知られています。
アルコールの90%は2時間以内に吸収されえうのですが、、最近の知見によると、睡眠中はアルコール分解速度が最大で50%落ちるということが言われています。
従来は、酔っ払うとすぐに眠くなりZZZ…は当たり前と考えられていましたが、実は、アルコールの分解効率は低下してしまうので、飲酒後酔っ払ってすぐに寝るのは実は良くないのです。アルコール代謝が落ち着くまでの2時間は、がんばって起きていた方が二日酔い対策としてもGood!
アルコールと疾患の関連は…
・飲酒機会や量が多くなると、脳出血は増える傾向にある
・アルコールには、心疾患発症を予防する効果がある
・アルコールとがんの因果関係は、アルコール多飲が咽頭・喉頭癌、食道癌、大腸癌の発症を増加させることが知られている
・喫煙者が飲酒する場合、上記のリスクはもっと上がるので喫煙者は注意すべきである
・健康を害さないための推奨アルコール摂取量は男女差があり、男性のほうが多く飲める
続いて、ワインの医学的健康増進(アンチエイジング)効果については…
・ブドウポリフェノールによる抗酸化作用
・酒石酸、リンゴ酸による殺菌作用
・認知症予防効果
などがあります。
ワインのブドウポリフェノールには循環器系疾患の罹患率を低下させる効果があることが知られています(いわゆるフレンチパラドックス)。これは、主にはポリフェノールの抗酸化作用によるものと考えられています。そして、この抗酸化作用は飲み始めて1時間くらいたって、体内に吸収されはじめるとアップしていきます。
酒石酸やリンゴ酸は美容に詳しい人なら良くご存知のピーリングに使うAHAですが(美容では酸による、ピール=はがす作用を利用している)、同時にこれらには消化管での病原菌の殺菌作用もあるのです。
認知症に関しては、脳血管性の認知症に関していえば、かなりの予防効果が認められるとの研究結果があります。どれくらい飲むのがよいかというと1日ハーフボトル1本程度の量(375ml)とされています。アルツハイマー病に対しての積極的な予防効果は認められていません。
アンチエイジング医学では良く知られた話ですが、ワインのブドウポリフェノール中のレスペラトロールという物質が長寿遺伝子であるサーチュインを活性させる効果を持っていることも重要なポイントですね。
どのようなワインが健康によいのか?
さて、これからが核心!ワインでもどんなワインがアンチエイジングなのか!?
・白よりは赤
・赤でも特に果皮が厚いブドウ種
・同じ銘柄ならより熟成したワイン
以上の3点がポイント!抗酸化作用が強いのです。
セパージュ(ブドウの種類)的には、この3つを覚えておきましょう。
①カベルネ・ソーヴィニヨン(ボルドーで有名な品種)
②ネッビオーロ(イタリアはピエモンテ州の高級ワイン バローロ、バルバレスコのブドウ)
③タナ(フランス南西地方のマディランが有名)
いずれも、タンニンが強く(渋いということ)、色は濃いガーネット色(黒っぽい感じの紫色)
赤ワインはアンチエイジングなアルコールではありますが、飲み過ぎはNG!そして、週に2日は休肝日を作った方が、健康にいいこともわかっています。
私は、守れていません(泣)
↑ワイン別 抗酸化能とポリフェノール含有量の違い
これを見ると、カリフォルニアはナパヴァレーのマーカム・カヴェルネやチリ・カヴェなんかが高いことがわかります。ピノ・ノワールやメルロは低いですね。