
以前、このブログでもちょっと触れましたが、わが国のメタボリックシンドローム(以下MS)の診断基準等が相変わらず揺れています。今回もまた、朝日新聞系ネタからで(以前は週刊朝日だったりしました)、今週号の雑誌AERA28~29Pで、「-診断基準に異論続出-ほんとのメタボリック」なる記事が掲載されています。
今年になって、厚労省を中心にMS戦略が進んでいます。フジサンケイグループ主催、厚労省後援でメタボリックシンドローム撲滅委員会なるものまで出来ています。
一方、民主党の郡和子議員は、MSのことが各新聞一面を賑わわせた5月9日の翌日5月10日に、衆議院の厚生労働委員会において、MSの診断基準が曖昧であるにも関わらずそれを政府の医療改革法案の柱にして国民に押し付けていこうというのはいかがなものかと発言されていたりします。
生活習慣病専門の内科医の間でも、内臓脂肪蓄積の目安を臍周囲径だけで判定(男性85cm以上、女性90cm以上)するのを疑問視する向きも多く、実際ここに来て、今出ているMSの診断基準で調査・解析をし直してみると、必ずしも脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の頻度と相関しないという報告も相次いでいます。終には、東大のK教授は「5年ほどすればさらにデータが蓄積されるので、診断基準も見直すべきだ」とまで話しておられました。
このように、MSに関しての見解は結構バラバラ。科学としての医学において、エビデンスが重要視されるのはご尤もなことです。しかし、ライフスタイルは生きている人間そのものの生活であって、データだけではない。女性のウェストサイズを90cmではなく、80cmだ、いや76cmだと喧々諤々のようですが、私たちのダイエット外来に来る女性を見ると、75cm以下でもセルライトたっぷりの女性では内臓脂肪の蓄積が見られ、血清脂質、糖代謝、血圧などに軽度の異常を来たしているMS(あるいはMS予備軍)がいるのです。そういう人達はどうするのでしょうか?
科学的なエビデンスが出るまで待っていられるほど、世の中の流れはゆっくりではありません。