昨日、恵比寿AACに80歳代の女性患者さんが初診でいらっしゃいました。80代には見えず、見た目は60代後半と言った感じです。お話の仕方も歩行もしっかりとされています。主訴は首の痛みということでした。半年前から急に首の右側の筋肉痛様の痛みが生じ、いくつかの整形外科(大学病院も含む)で診てもらったようですが、MRI画像上も特に大きな器質的病変はなく、言われたことはどこもすべて、判で押したように「年のせいだね」、「老化です」という答えだったそうで、ストレッチや運動、入浴などの生活指導のことなどは一切なく、ただ痛み止めの薬と湿布を処方されるだけ。

アンチエイジングの外来において、NGワードがあります。それは、「年のせいです」、「老化現象で仕方ありません」。アンチエイジング医療は、この生理的老化によって起こる様々な不快な症状を出来るだけなくすことでもあります。病気・疾患を治す従来型医療との明確な違いのひとつが、この“年のせい”にしないということなのです。

また色々、お話を聞くうちに、少し涙ぐみながら、「他にも○○という病気があるのですが、その病気の診断・治療で有名な、TVにも良く出られる先生の所(半官半民の某有名病院です)を受診しました。診断は容易について、やはり○○という病気であることがわかりました。するとその先生は、『良かったね。○○はこの機械を使えば良くなる。あとは業者さんが説明するから。』と言って、治療用の機械(数十万円)の購入を勧められました。いきなり結構な金額の機械を買うことを勧められたので、ちょっと驚いて戸惑っていましたら、急に不機嫌な顔になり、『80まで生きてきて、あとどうしたいの?これ使わないなら治療はないよ。はい、おしまい。』と言われたのです。」ということを話されました。

確かに暦年齢は80歳を超えていますが、アンチエイジングドックをやれば、それぞれの実年齢はかなりお若いと思われます。私は同じ医師として、恥ずかしい思いでいっぱいになりました。「本当にあの先生がそんなことを仰ったのだろうか?」とも思うくらいショックでした。

私が診察したところ、○○という病気は確かにありそうですが、この方に果たしてその治療法しか適応がないかというと、そうでもなさそうです。あまりにデジタルな対応な気がします。その道の権威で、日本全国から集まる多くの患者さんをスピーディにこなさねばならない状況故に、この先生もいつしかご自分でも意識しないうちに、ダークサイドに堕ちて行ったのかもしれません。

サービスとしての医療を再考させられました。