えりこさま40代女性よりご相談いただきました。
<ご相談>
一か月程前に左上乳房に固いしこりを発見し、
すぐに病院にかかりました。
すぐにマンモグラフィー、エコーの検査をしましたが、
乳腺が発達?しているのでマンモでは確認出来ず、
エコーにてやっと腫瘍が確認出来ました。
先生がおっしゃるには形が多少いびつなので悪性も疑い、
MRIと針生検をしましょうということになりました。
今日、結果が出て腫瘍については三回取ったけれど、
三回とも悪性の所見が出ず、
うち一回ははっきり繊維線種の所見だったそうです。
ここまではよいのですが、MRIにて造影剤の集積が多数見られた
とのことで画像診断は「非浸潤ガンの疑い」だとの説明がありました。
しかし、しこりそのものは繊維線種との診断が出ているので
結果的には悪性を否定し、経過観察ということになりました。
二か月後に再度診察を受けるのですが、
それまで放置しておいても大丈夫でしょうか?
非浸潤ガンが浸潤ガンになってしまわないでしょうか?
とても丁寧に説明をしていただいて、
納得をして帰宅したような気がしていたのですが、
乳がんかもと思って今日までいろいろ調べてきたので、
「非浸潤ガンでも治療の対象」と書かれているサイトが
殆どなので若干心配になっています。
長くなってしまい恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
<高橋保正よりお答え>
ご相談どうもありがとうございます。
せっかく色々検査をお受けになったのに
かえって不安になってしまいましたね。
きちんと針生検でしこりが検査できているとすれば、
しこり自体は線維腺腫で良性なのだと考えます。
乳房造影MRIは、非常に小さい乳がんを見つけることができる一方で、
あれもこれも乳がんの疑い、となってしまう場合があります。
これを偽陽性(ぎようせい)といいます。
乳腺造影MRIの特異度、
すなわちは陰性のものを陰性と診断する能力は
報告により37~97%とばらつきがあります。
この数字からわかることは
陰性のものを陽性と診断してしまう確率、
すなわち偽陽性率もばらつきがあるということです。
従って、MRIで乳がんの疑いと言われても
経過観察をする場合がございます。
2~3ヶ月前後で病状が急速に悪化するということはなく
2~3ヶ月後の病状は今と変わらないというのが
私たち乳腺外科医の見解です。
しかし乳腺造影MRIにより超早期乳がんの発見率も上がっており
非常に有意義な検査と言えますので、
もしご不安な場合にはもういちど超音波検査で
詳細に乳房を観察していただき
ほかの部分に異常がないかをチェックしていただく
いわゆる「セカンドルック乳腺エコー」も
良いかもしれません。
お役に立てているでしょうか。
またご相談くださいね。
応援しています。