ザンクトガレン 2009 part 14 | 乳がん検診の不安・悩みを解消して日本の女性を乳がんから守る 乳がん検診伝道師 外科医 高橋 保正のブログ
がん細胞は、自分が成長増殖するために周囲の血管から血流を引き込もうとします。



この新たな血管網の形成を血管新生といいます。





-Angiogenesis(血管新生)



The benefits of current antiangiogenic treatment in metastatic disease are transitory.



近年、抗血管新生療法により、転移病変での効果がえられているが、まだ過渡期の段階であると考えられる。



Drugs that target angiogenesis might ,in the long run ,induce angiogenesis as a rebound phenomenon and have been demonstrated in preclinical studies to induce tumour progression and metastases.



長期的に見ると、血管新生阻害薬はリバウンドとして血管新生を生じてしまう可能性があり、前臨床試験においては腫瘍の増殖、転移を生じることが示されている。



A possible mechanism for this tumour progression may be the release of increasing numbers of circulating endothelial cells following some types of chemotherapy.



この腫瘍増殖のメカニズムとしては、ある種の抗がん剤によって腫瘍内皮細胞の数が増加することが原因であるかもしれない。



Importantly, this effect is not seen with metronomic chemotherapy.



重要なことに、この効果はメトロノミック化学療法と併用された場合にはみられない。



Long-term treatment with antiangiogenic drugs together with metronomic chemotherapy was associated with dramatic and profound reduction of vascular endothelial growth factor(VEGF) and substantial clinical response in metastatic breast cancer.



血管新生阻害剤とメトロノミック化学療法との併用による長期治療は、VEGFの劇的な著しい減少を生じ、ひいては転移性乳がんにおいて実質的な臨床効果をもたらす可能性がある。



The type of cancer vascularisation and extent of VEGF targeting might be a crucial strategic issue in the treatment of malignancies.



悪性腫瘍の治療において、がんの血管新生のタイプとVEGFが関わる程度が重要な治療戦略因子となるかもしれない。



Antiangiogenic treatments are under investigation in the adjuvant setting(but are not recommended for routine use outside clinical trials).



血管新生阻害療法はアジュバント(術後補助;yasuu注釈)療法においては研究段階である(臨床試験外ではルーチンでの使用は推奨されない)。



“Thresholds for therapies: highlights of the St Gallen International Expert Consensus on the Primary Therapy of Early Breast Cancer 2009”

A. Goldhirsch , J.N. Ingle , R.D. Gelber , A.S. Coates , B. Thurlimann , H.-J. Senn and Panel members Annals of Oncology Advance Access published June 17,2009



“治療閾(しきい)値:早期乳がんの初期治療に関するザンクトガレン国際専門家合意会議 2009”

日本語訳担当:NPO法人がん情報局翻訳部 渡辺亨、田原梨絵、渡辺露敏



よりそれぞれ引用





昨日の乳がんディベートミーティングの内容について振り返ってみます。



60歳、閉経後女性、浸潤性乳管がん

腫瘍径2cm

エストロゲンレセプター 陰性

プロゲステロンレセプター 陰性

HER2 (-)

いわゆるトリプルネガティブ乳がん

核グレード3。



現時点で温存手術は可能です。



この患者様に対し、

手術を先行して、術後抗がん剤治療とするか。

術前化学療法をおこなうか。

という課題でした。



私たちのチームは、「まず温存手術」を行う方針を掲げました。



相手チームは、「術前化学療法」をおこなう方針でディベート開始。



相手チームは、トリプルネガティブ乳がんでは約22%にpCR(病理学的完全奏効)が得られる点を強調しておりました。この22%に入ることができれば、非常にその後の成績(予後)が期待できると。その効果判定が術前化学療法では可能であると。



一方私たちのチームでは、全ての患者様の立場に立った意見を述べました。すなわち、温存手術が可能であるなら、腫瘍が成長する前に手術をしてさしあげたい。もし、抗がん剤が効果が得られなければ、乳房切除になる可能性もあります。ですから、温存手術で切除可能な今のうちに手術を終えるべきである。そして、術後早急に抗がん剤治療にとりかかる。なぜなら、手術前と手術後の抗がん剤治療の効果に差はないというデータがあるのですから。



以上のような激論の末、最終的にはオーディエンスの判断は、「まず温存手術」が大多数を占めるという結果になりました。



でもこの結果は、全ての患者様にあてはまるわけではありません。



お一人お一人に合わせた治療を行っていかなければいけないことは、皆様にも分かっていただきたいと存じます。



ただ、常に私たち医師は、患者様にとってどの選択肢がベストであるのか、話し合いながら時には激論を交わしながら、真剣に考えて決定しているのです。



ですから、患者様ごとに選択肢は変わってきます。



そうです。



最終的にはは必ず患者様の御希望にできるだけ沿う形で、治療方針は決まっていくのです。



その全てが正解なのだと、私はいつも考えています。



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