小鼻の黒ずみや詰まり毛穴が気になると、貼ってはがす毛穴パックや毛抜きで引き抜くなど、肌をいじめる行為をしがちですよね
毛穴が気になって検索すると、毛穴からにゅるにゅる角栓が押し出される動画がリールで延々と上がってきたりするかもしれません
そんな「毛穴が気になる全女子」に呼んでもらいたいのが、芥川龍之介の『鼻』という短編です
芥川の作品は、『蜘蛛の糸』や『羅生門』などが有名ですよね。
秀逸な文章によって、情景と心情が匂い立つように浮かび上がるので昔から好きです。
11歳になった次女が、ジュニア向けミステリや魔法ものなど、読後に何も残らないしょうもない本を読み始めたので、
最近寝る前に芥川の作品を若干の解説付きで読み聞かせています
幼稚園以来の読み聞かせですね
ドラマティックな設定と無駄のない文章で、小学生でもそれなりに楽しめているようです
私も久しぶりに読んで、改めて美しい国語に触れ、そのリズムに心高まり、漢字を学び直したり良い刺激になっています
『鼻』は上記2編に比べれば認知度は低い作品ですが、とにかく面白いのでぜひ読んでみてください
主人公は、あご下まで垂れ下がるほどの大きな鼻が密かなコンプレックスの高僧。
その大きさは、4~5寸(12~15cm)もあり、食事中は小僧が向いから板で持ち上げないと食べられないというレベル
その鼻を小さくする荒療治を受けたのですが、その結果は・・・
4寸(1.2cm)の脂が出てくるシーンにご注目
以下抜粋。その下に当院の安全で効果的な鼻治療もご紹介しております
禅智内供(ぜんちないぐ)の鼻と云えば、池尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上から顋の下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰のような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。
五十歳を越えた内供は、沙弥の昔から、内道場供奉の職に陞のぼった今日まで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来の浄土を渇仰すべき僧侶の身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧れていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。
一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺の中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。しかしこうして飯を食うと云う事は、持上げている弟子にとっても、持上げられている内供にとっても、決して容易な事ではない。一度この弟子の代りをした中童子が、嚏をした拍子に手がふるえて、鼻を粥かゆの中へ落した話は、当時京都まで喧伝された。けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ重おもな理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。
その法と云うのは、ただ、湯で鼻を茹ゆでて、その鼻を人に踏ませると云う、極めて簡単なものであった。
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提に入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷やけどする惧おそれがある。そこで折敷へ穴をあけて、それを提の蓋にして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸ひたしても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
もう茹ゆだった時分でござろう。
内供は苦笑した。これだけ聞いたのでは、誰も鼻の話とは気がつかないだろうと思ったからである。鼻は熱湯に蒸むされて、蚤のみの食ったようにむず痒い。
弟子の僧は、内供が折敷の穴から鼻をぬくと、そのまだ湯気の立っている鼻を、両足に力を入れながら、踏みはじめた。内供は横になって、鼻を床板の上へのばしながら、弟子の僧の足が上下に動くのを眼の前に見ているのである。弟子の僧は、時々気の毒そうな顔をして、内供の禿頭を見下しながら、こんな事を云った。
痛とうはござらぬかな。
内供は首を振って、痛くないと云う意味を示そうとした。所が鼻を踏まれているので思うように首が動かない。そこで、上眼を使って、弟子の僧の足に皹あかぎれのきれているのを眺めながら、腹を立てたような声で、
痛うはないて。
と答えた。実際鼻はむず痒い所を踏まれるので、痛いよりもかえって気もちのいいくらいだったのである。
しばらく踏んでいると、やがて、粟粒のようなものが、鼻へ出来はじめた。云わば毛をむしった小鳥をそっくり丸炙にしたような形である。弟子の僧はこれを見ると、足を止めて独り言のようにこう云った。
これを鑷子けぬきでぬけと申す事でござった。
内供は、不足らしく頬をふくらせて、黙って弟子の僧のするなりに任せて置いた。勿論弟子の僧の親切がわからない訳ではない。それは分っても、自分の鼻をまるで物品のように取扱うのが、不愉快に思われたからである。内供は、信用しない医者の手術をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子けぬきで脂をとるのを眺めていた。脂は、鳥の羽の茎のような形をして、四分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一通りすむと、弟子の僧は、ほっと一息ついたような顔をして、
もう一度、これを茹でればようござる。
と云った。
「芥川龍之介全集1」ちくま文庫、筑摩書房より
鼻を茹でるという衝撃的な治療法
もちろん、フィクションですが、巨大な角栓が出てくるくだりは、現実にありそうな気がしてしまう、、、
芥川の筆力によるものでしょうね
内供の鼻に比べたら、どのお鼻も可愛いものですが、詰まり毛穴が気になるアナタには
吸引型ウェットピーリングでイチゴ鼻を改善する『アクアフェイシャル』
と、
皮脂腺をおとなしくさせるニードルRF『シルファームX』照射
などがおすすめです
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