WEB『美的.com』の美的子ちゃんの教えてドクター！で、慶田が『ホクロ』に関する疑問にお答えしました
ホクロにはさまざま色や形状がある
ホクロは医学的には、「母斑細胞母斑」や「色素性母斑」などと呼ばれています。母斑細胞という、多くが(注:メラニン非産生タイプもあり)メラニンを生成する細胞の増殖によって生じる良性の腫瘍で、大きさも見た目も様々です
基本的には生まれたときには存在せず、３～4歳以降に出てきて増えると言われています。出生時に存在する巨大なホクロは、悪性黒色腫を発生する頻度が高いため、産まれつき大きいホクロがある赤ちゃんの保護者は、できるだけ早めに皮膚科専門医に相談することをおすすめします
子どもの頃には平らだったホクロが、大人になってから隆起してくることがあります。特に、額の皮膚の下はすぐ骨なので、ホクロの細胞が下に広がらず上に出っ張ってくることが多いようです。
また、母斑細胞の中にはメラニン色素が含まれていることが多いのですが、その色素量に応じて色が異なります。黒色、あるいは褐色調のものが多いですが、ときに皮膚色のものもあります。また、皮膚の深いところにあると、青みがかって見えます(青色母斑)。同じメラニンの色素でも病理学的に存在している深さで見え方が違うのです。
悪性のものもあるって本当？
ホクロのようなできもののひとつに「悪性黒色腫(メラノーマ)」とよばれるメラノサイトが癌化した腫瘍があります
悪性黒色腫は中年以降の人に起こりやすい癌で、全身の至るところに発症します。また、「巨大先天性色素性母斑」とよばれる生まれつき皮膚のかなりの部分に広がっている色素性母斑は、将来的に悪性化する可能性があるとも言われているため、適切な観察や治療が必要です
悪性腫瘍は際限なく育ち、それぞれのところで組織を壊し転移を繰り返し、最終的に生体を死に至らしめるものですが、なかでも悪性黒色種はその分裂能と転移能が高く、全臓器癌の中で悪性度がかなり高いといわれています。
悪性黒色腫にもいろいろなものがありますが、明らかに悪いだろうというときは、もう大体所属リンパ節等に転移しています。表皮内の基底膜を超えていないところで止まっている初期のものは、本当にただのホクロやイボみたいに見えます。その時点で見つかれば化学療法もせずに切除して植皮して終わりですが、相当大きく切除します。基底膜を越え、浸潤性が高い可能性があれば、リンパ節の転移の有無を確認して除去します。そして抗がん剤治療の併用が必須となります。悪性黒色腫というのは、それぐらい怖い病気なのです。
日本人の場合、悪性黒色腫は足の裏や足の指などにできるパターンが多いので注意しましょう
ホクロと悪性黒色腫の見分け方
悪性黒色種は、ごく初期の2〜3mmの状態のものではホクロと見分けることは困難ですが、大きくなってくると、濃いところと薄いところの色ムラができてきたり、形が左右非対称になってきたり、境目がギザギザやぼんやりしてきたりすることも
また、進行すると大きさが6mmを超え、隆起したり潰瘍化して出血したりしてくるのも、悪性黒色腫の特徴です。
5年で1mm大きくなったか、ならないか程度のものは、ほぼ心配ないと思います。逆に、この2〜3か月で急に大きくなった気がするというのは、注意が必要です
初期の悪性黒色腫とホクロを見分けるのは、皮膚科専門医でも至難の業です。明らかな悪性所見を呈していれば分かりやすいのですが、実際にはグレーゾーンで紛らわしいことも多々あります。「おや？」「これはちょっと危ない気がする」そんな皮膚科専門医の眼と勘は、大学病院で最短で60カ月（5年間）の長きに渡る下積み時代に育ちます。疑わしい所見があれば、それに応じた検査をしたり、専門病院や大学病院などに紹介する必要があるのです。
レーザーによるホクロ除去は簡単ですが、診断を怠って、何でもかんでもレーザーで治療すると、万が一悪性腫瘍だった場合には大変な事態を招く危険性があるので、‟見逃さない”ことが大切になります
特に基底細胞癌や悪性黒色腫(メラノーマ)は、初期の小さなホクロと見分けにくいので、時に専門医でも初見では判断できないことがあります。
ですから、ダーモスコピーで完全に鑑別ができない場合や僅かでも悪性を疑う場合は、生検(病変を切除して採取した組織を顕微鏡で調べる。小さい腫瘍なら診断と治療を兼ねて全切除)が行われます。そして、確定診断後は、できるだけ早く完全に摘出してしまうことが大切なのです。
当院の勤務医は、全員皮膚科専門医、形成外科専門医です。ダーモスコピー(拡大鏡)による診断法に習熟しており、視診や触診を駆使して診断いたします
疑わしい所見があれば、提携している大学病院か基幹病院の皮膚科に紹介状を書いています。悪性黒色腫の初期病変に気付き、切除と植皮のみで済んだので大変感謝して頂きました。炭酸ガスレーザーを照射されてしまっていたら、、、もしかしたらご存命でないかもしれません。
気になるホクロがあれば、ご相談ください
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