超ざっくりあらすじ:オンゲー仲間で同級生の三人組が、ある日近所の廃園になった遊園地で撮られたとされる不気味な動画を見てしまう。三人はその動画が何なのかを突き止めるべく動き出す…。

正直、読み始めは物語の軸になるオンラインゲームの描写が気になったり、登場人物の名前である「太市」が「余市」に見えたり、「未夢(みむ)」が出てくるたび猫ミームが頭によぎったり、「海斗」が出てくるたび広島東洋カープの「小園海斗」が頭に浮かんだりと、とっ散らかりながら読んでいたが、どんどん物語が進むにつれて謎が深まり、三人の間の仲にも亀裂が入ったり…と、どんどん引き込まれていった。最後の最後まで物語が二転三転しながらもしっかりと伏線を回収していき、間違いながら危ない橋を渡りながらも真実に辿り着いた時のカタルシスは素晴らしいものだった。
登場人物も魅力的で太市・未夢・海斗の青春物としても非常に良かったし、彼らは中1ってこともあり、推理では鋭い考察を見せながらも時々向こう見ずなことをしてみたり、踏み込みすぎて危険な目にあったりするのも、中学生っていうある意味怖いもの知らずな年頃ならやりかねないな〜っていう危うさや無敵感を的確に表現されているなぁと思った。
そして、一見悪そうだったり、怪しそうなやつがそうじゃなかったり、途中で出てくる太字の語り部の正体だったりとしっかり作者に騙された。
骨太で良いミステリーでありつつ青春物としても楽しめる、良い小説でした!!