みなさんこんにちは井上クリニック副院長の辰巳です。
今回はピロリ菌について取り上げようと思います。
ピロリ菌って?
聞いたことはあるけどよく知らない。
という方もいると思います。気になる方は是非ご覧ください。
目次
・ピロリ菌とは
・感染経路
・症状
・ピロリ菌によって起こる病気
・検査方法
・除菌方法
・除菌後について
・まとめ
ピロリ菌とは
ピロリ菌は胃癌の原因になり、胃癌のほとんどがピロリ菌によるもので日本では約99%と言われています。
感染すると胃の中に住み続ける慢性胃炎を引き起こし、そこから胃癌のみならず胃潰瘍、十二指腸潰瘍など様々な病気を引き起こします。
ピロリ菌による様々な病気は除菌することでそのリスクを抑えられます。
正式名称はヘリコバクター・ピロリといいます。由来は旋回やらせんを意味する「ヘリコ」、バクテリア(細菌)を意味する「バクター」、胃の出口である幽門部分を意味する「ピロルス」を組み合わせた名前となっています。名前の通りらせん状の形態をしている菌であの出口付近に住み着きます。
胃の中は強い酸性になっていますが、ピロリ菌は胃内の尿素を分解してアンモニアを再生し酸性を中和して身を守っています。
感染経路
この菌は井戸水や土壌に生息しており、井戸水を飲まれていた方や衛生状態の良くない環境にいたことのある方は感染の可能性があります。50歳以上の方では約80%が感染していると言われております。
また、ピロリ菌は唾液からも検出されております。感染している方と生活することで口からピロリ菌が入り感染することがあります。ご家族にピロリ菌がいたと方がおられたら一度検査をおすすめします!
症状
ピロリ菌の感染は慢性胃炎を引き起こしますが、それだけでは自覚症状はほぼありません。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌などにより以下のような症状が出ます。
食前後の心窩部(みぞおち)の痛み
背部の痛み
お腹の張り
食欲の低下
ゲップの増加
吐き気
胸焼け
呑酸(酸っぱいものが上がってくる)
黒い便
ピロリ菌によって起こる病気
胃・十二指腸潰瘍、胃癌以外にも以下のものがあります。
胃MALTリンパ腫・・・胃に発生する悪性リンパ腫
血小板減少性紫斑病・・・血液を固める血小板という成分が減り、さまざまなところで出血する病気です。
胃過形成ポリープ・・・癌化は稀な良性のポリープです。大きい場合には出血により貧血などの原因となります。
検査方法
まずは胃カメラが必要です。
その他にも、呼気検査、採血、尿検査、便検査
などがありますが、検査自体は胃カメラで慢性胃炎の診断がなければ保険適応となりません。もし胃カメラがどうしても難しい方は、自費であればその他の検査も可能です!
除菌方法 メリット
除菌はお薬を1週間内服するだけですので、外来通院で大丈夫です。除菌率は90%程度で、除菌できなかった場合はお薬を切り替え何度か内服を行なっていただくことがあります。
除菌後について
内服を飲みきった数ヶ月後にピロリ菌が除菌できているかの確認の検査を行います。この時は内視鏡は必要なく、息を吹きかける呼吸試験を行います。
また、除菌後は胃癌のリスクは抑えられますが、ゼロでは無いため定期的な内視鏡検査が必要です。定期的に検査することで癌になる前の前癌病変の状態や早期の状態で発見でき、お腹を切らず、内視鏡によって切除できる可能性が高くなります。
まとめ
⚫︎胃癌の原因の99%はピロリ菌によるもの
⚫︎不衛生な水などで感染し、家族間でも感染することがある
⚫︎除菌後も定期的な検査を行うことで胃癌の早期発見ができる可能性が高くなる
⚫︎症状があればまずは胃カメラを!
以上今回はピロリ菌についてお話させていただきました。まずは症状があれば受診してください。今後も様々な情報を発信しいきますのでよろしくお願いいたします。