先日、「日本アンチエイジング外科学会」主催のセミナーでヒアルロン酸を使った【豊胸術】、【手の甲の若返り】、【膣のアンチエイジング】 について講演とライブサージェリーを行ってきましたので、報告します。
今回は、【豊胸術】についてです。 こちらは、昨年の日本美容外科学会（JSAS）の豊胸のシンポジウムでも発表しています。
講演の主な内容は、「美しいバストとその治療法」、「過去の合併症から学んだ安全な手術方法」でした。まずは「美しいバストと治療法」についてです。
美しいバストってどんなバストでしょうか？
人種や性別、年代で「この形が美しい」というのは異なってくるようです。
例えば、欧米では「ミロのヴィーナスに代表されるように高い位置で、やや上方に突出した乳頭を持つ丸みを帯びた円錐形が理想」の様です。
美しいバストについて海外での報告がありましたので、紹介します。
横から見た時の理想の形
この絵のように
・涙型に盛り上がる
・第2肋骨から乳頭まではほぼ直線
・乳頭から乳房下溝線（ブラジャーのワイヤーのライン）は丸みを帯びている
こういった形が美しいと言われています。
（Peter M,2011年のAesthetic Medicine:Art and Technique）
乳房と乳輪乳頭の位置関係
こちらは、同じ乳房に対して、乳輪乳頭の位置を変えてみて、どれが美しいか、アンケート調査を行った報告がありました。
1番美しいとされたのは、
乳輪乳頭が、中央よりやや外側に、高さはちょうど真ん中にある状態です。
（Lewin R1,et al :The Aesthetically Ideal Position of the Nipple-Areola Complex on the Breast.Aesthetic Plast Surg. 2016 Oct;40(5):724-32.）
美しいバストの治療法
では、美しいバストを実際に治療によって作っていきます。
まず、患者さんのよくある希望についてです。
患者さんのよくある希望
この絵のように、
「胸の谷間が見えるように、ここ（乳房の上半分）にボリュームを出したい」
「痩せて、ここ（乳房の上半分）の骨が見えてきて貧相に見える」というご希望が多いのが実情です。
間違った方法
ここで、患者さんのご希望通り、乳の上半分を中心に大きくしてしまうとこうなります。
（韓国のドクターによる症例）
ボリュームをアップした部分がほぼ乳房の上半分にありますので、先ほど示した理想の形では無く、
正面からは、
→
乳頭乳輪はやや外側（こちらは問題ない）
高さは、乳頭乳輪がやや下にある状態
になっています。
横からは
・涙型に盛り上がる→平べったく上部だけ盛り上がる
・第2肋骨から乳頭まではほぼ直線→盛り上がっている
・乳頭から乳房下溝線（ブラジャーのワイヤーのライン）は丸みを帯びている
→丸みを帯びていない
であり、美しいとは全く言えない状態です。
私は、この状態を、胸の筋肉が盛り上がったように見えることから
「胸が逞しくなったマッチョな状態」と呼んでいます。
確かに胸の谷間は盛り上がっているので、洋服を着るとわかりませんので、このように行っているドクターも多いかと思います。
私の考える正しい方法
（症例1）
（左右ヒアルロン酸100ccずつ注入）
（症例2）
（左右ヒアルロン酸100ccずつ注入）
正面からと横から見た場合の美しさ、乳輪乳頭の位置を考えて行っています。
乳輪乳頭がやや外側に位置し、高さが乳房のちょうど真ん中に位置するように、また横から見るとやや下半分にボリュームが多く（上：下＝4：6）なるように行っています。
いかがでしょうか。この様な方法で行うと美しいバストの理想に近い状態ではないでしょうか。
次回は、「海外の過去の合併症から学んだ安全な手術方法」についてです。
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