くぼみ目を改善する治療の症例解説です。
こちらのブログでも以前紹介した患者様の約4年の長期経過について解説します。
以前紹介した記事はこちら。
40代女性。目の上のくぼみがだんだん気になってきたためご来院され、約4年前に治療を行っています。その後、上まぶたには何も治療を行っていません。
症例写真
上まぶたのくぼみに注入したヒアルロン酸が長期間吸収されない理由と危険性
ヒアルロン酸は1−2年で自然に吸収され、体内に残らないから安全と考えられます。逆にヒアルロン酸が長期間体内に吸収されず残っていたら危険ではないかと心配になりますね。
まずヒアルロン酸が長期間吸収されない理由として、2点考えています。
1点目は、薄い被膜を形成していてヒアルロン酸が被膜内に留まっているためだと考えています。胸にシリコンバックを入れた時にできる被膜と同じです。ただ、入れているヒアルロン酸がごく少量であるため被膜はかなり薄く柔らかいので、被膜形成してから異物肉芽種にはならず、表面上からもわからない状態になっているかと考えられます。鼻にヒアルロン酸を繰り返し入れた場合にも被膜が形成され、吸収されなくなっていることは知られていますが、これに似た状態です。
2点目は、ヒアルロン酸が注入されている部分が圧迫されにくく、周囲に柔らかい脂肪だけがあるなど、注入された環境が良いためだと考えています。涙袋に入れたヒアルロン酸が無くなりにくいのと似た状態です。
また、ヒアルロン酸の合併症として、遅延型アレルギー反応や異物肉芽種などヒアルロン酸を注入してから数ヶ月経ってかから、注入部位が赤くなったり、硬くなったりすることが報告されています。長期間吸収されないとこれらの合併症の頻度も上がりそうですが、当院での上まぶたへのヒアルロン酸注入でこれらの合併症を起こした方は現時点で1人もいらっしゃいません。元々、頻度は0.5%以下と報告されており頻繁に起こるものではないです。原因として、アレルギーなどの体質やヒアルロン酸の種類、入れた部位(皮膚内は起こりやすい)などが影響しています。遅延型アレルギーは、予防しても避けられず、起こってしまった時は飲み薬やステロイドやヒアルロン酸を溶かす注射などで対応しています。異物肉芽種は、他の部位でも滅多に起こりませんが、遅延型アレルギーと同様の方法で治療可能です。
幸い、目の上のくぼみ目のヒアルロン酸注入は合併症がなく行えていますが、今後も長期的にフォローしていきますので、注入されて数年経った方でも何かあればご連絡ください。
くぼみ目の注入治療について
くぼみ目へのヒアルロン酸や脂肪注入は、入れる場所が浅いと目を開けた時は気付きませんが、目を閉じると入れたヒアルロン酸や脂肪が浮き出て凸凹してしまいます。
このように入れているドクターが多く、「直後は凸凹しますが、そのうち馴染んできます。」と説明されているようです。
私の入れ方では、直後から目を閉じた状態でも凸凹はありません。
・時間はややかかりますが、丁寧に正しい方法で行うと、直後から凸凹せず、また安全に行えます。
・ほぼヒアルロン酸1本で十分足りることが多いです。一回で2本以上使用することはありません。
・今回の長期経過で報告したように、本来注入されたヒアルロン酸は、1−2年以上かけてゆっくり吸収されるものですが、3〜4年経っても良い状態がキープされていることが多いです。
・注入後長期間経過しても合併症は現時点でありません。
治療概要、合併症について