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 ……ひとつ、言い忘れていたことがありました。この、市杵島姫命が私に憑依するという神事は、神さまの世界でも大注目イベントだったらしく、2-3週間前くらいからたくさんの神々がわらわらと集まってきていたそうです。そんなに早くから来なくても、とも思いましたが、神さまの世界での時間の進み具合は、「もうすぐ」が、この世で言う「3-4年」だそうなので、2-3週間というのは瞬時に近い感覚なのでしょうね。

 さて、本殿前までやってきました。多くの人々がお参りしています。ギューギューということもなく、ほどなく最前列まで進みました。唱える言葉があったかどうか、二礼二拍手だったか、すら覚えていないのですが、目を閉じて手を合わせると、前上方にかなり強くひっぱられました。途切れることなく、ずーっと。

「あー、またひっぱられてるなー」
などと呑気に思っていました。しかし、いつまで続く?

 目を閉じて手を合わせたまま、ひっぱられながら、考えました。
「これって、神さまが向こうにいるから前にひっぱられるんやな。憑依したら、こっちに来るから、ひっぱる力がなくなるんだろ。」

 それからもうしばらく、ひっぱられていましたが、その力が少し弱くなったかな、と思うと、身体が前に傾いて踏ん張っていたのが、すーっと直立に戻りました。

「あ、終わったかな。」
 それ以外に判断の基準がないので、手を下ろし、目を開いて、一礼して下がりました。すぐ後ろで待っていてくれた亞実さんに聞いて、確認してもらったところ、無事に終わった、とのことでした。なぜか、じわっと涙がにじみました。

 帰りの船に揺られながら、そういえば、と思いだしたのですが、本殿前で、近くにいた10人くらいのグループの案内役のような人が、手を合わせているグループの人の背中に次々と手をあてて、「神さまの気を背中から入れました」と言っていました。市杵島姫命は憑依の直前だったから、分霊を感じていたのか、ただのまねごととしてやっていたのか、どうなんだろう。ま、いいか。

 最後まで読んでいただいてありがとうございます。続きは、また後日。