肝機能異常が急増中。 | Dr.Oz 自然療法専門医のひとりごと。

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日本人間ドック学会は2011年に人間ドックを受診した全国の約313万人について、「異常なし」とされた人の割合が過去最低の7・8%になったと発表した。集計を始めた1984年の29・8%から年々減少。過去最低だった前年からさらに0・6ポイント下回った。

 生活習慣病に関係する項目で異常が見つかったのは多い順に、肝機能異常(33・3%)、高コレステロール(29・8%)、肥満(27・6%)。
同学会の笹森斉理事は「背景として、生活習慣病に関する項目の判定基準が厳しくなっていることや、受診者の高齢化が考えられる」と指摘した。(共同通信


実際、生活習慣病の患者は年々増え続けているので判定基準が厳しくなっているというのは理由にならないでしょう。特に気になる項目は肝機能異常

普通の方は「肝臓=お酒」と考えるかもしれませんが、最近急増しているのは非アルコール性脂肪性肝炎。原因は果糖の摂り過ぎ

アメリカではこの非アルコール性脂肪性肝炎が最近急増しています。日本もアメリカに従い同じ傾向にあるようです。

ではなぜ果糖の摂り過ぎに原因があるのでしょうか? 
果糖と聞くとフルーツに含まれる糖分だから砂糖より体に良い様なイメージがありますが、果糖の摂りすぎは体にとって非常に危険です。フルーツを食べても普通、果糖の摂り過ぎにはなりません。では、どこから余分な果糖はやってくるのでしょうか?

それは砂糖と果糖ブドウ糖液(別名異性化糖、ブドウ糖果糖液糖、コーンシロップ)。
果糖ブドウ糖液、あまり聞き慣れないかも知れませんが、砂糖に比べて約半値と安いこと、砂糖よりも20%甘いことから非常に多くの食品に含まれます。ジュース類、パン、お菓子、バーベキューソース、ケチャップ、マスタード、缶詰、みりん等々。アメリカでは平均すると果糖の摂取は一日あたり54.3g(一日のカロリー摂取の約10%を果糖から摂取していることに)。通常の果物、野菜からの摂取だけでは平均15g/日。

砂糖も果糖ブドウ糖液も、でん粉と同じ炭水化物のカテゴリーに入りますが、大きな違いがあります。でん粉(米、小麦、芋など)はブドウ糖が沢山つながった多糖類ですが、砂糖はブドウ糖と果糖が二つ繋がった2糖類。果糖ブドウ糖液はおおよそ55%が果糖で、45%がブドウ糖でできています。果糖とブドウ糖は同じ糖でも体に入るとまるで違う働きをします。
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果糖とブドウ糖では何が違うのか? 
ブドウ糖は80%が筋肉や脳、臓器で消費され20%が肝臓で代謝されます。ところが果糖はどの臓器でも消費することができない。唯一肝臓だけが果糖を代謝することができます。ブドウ糖が20%肝臓で代謝されるのと比較すると果糖は100%肝臓で代謝されます。
ブドウ糖=80%(筋肉、臓器、脳)+ 20%(肝臓)
果糖  =100% (肝臓)
ですから砂糖を100グラム食べたとすると、砂糖はブドウ糖50%と果糖50%でできていますから、
ブドウ糖 50グラム=40g(筋肉、臓器、脳)+ 10g(肝臓)
果糖50グラム=50g(肝臓)
肝臓は60グラム(60%)を代謝しなければいけないことになります。


一方でん粉を100グラム食べたとすると100%ブドウ糖ですので肝臓は20グラム(20%)のみを代謝すればよいことになります。

2番目の違いは肝臓での代謝のされ方の違いです。
肝臓に吸収されたブドウ糖は殆どがグリコーゲンと呼ばれる物質に代謝され肝臓に貯蔵されます。このグリコーゲンは肝臓にとって一切毒性が無く、肝臓は限りなくグリコーゲンを貯めこむことができます。そして全体のカロリーのわずか0.5%がVLDL(超悪玉コレステロール)に変換され血液中に放出されます。

専門用語が続きますので分かり難い方は飛ばしてください。下の方にあるまとめを読んでください。肝臓に吸収された果糖はまずフルクトキナーゼという酵素によって代謝されフルクトース-1-リン酸に変換されます。この過程の副生産物として尿酸が大量に作られます。(尿酸は痛風、腎臓結石、高血圧の原因となります。)代謝されたフルクトース-1-リン酸はいくつかのステップを経てクエン酸とキシルロース-5-リン酸に変換されます。クエン酸は肝臓内でVLDL、中性脂肪、遊離脂肪酸に代謝されます。またクエン酸はjunk1と言う酵素を活性化させ肝臓内での炎症(肝炎、肝硬変の始まり。)を引起します。junk1は肝臓へのインスリンの働きを悪化させ、すい臓からもっと多くのインスリンを分泌させてしまいます。(糖尿病、脂肪の増加)遊離脂肪酸は血液中に放出されると筋肉でのインスリンの働きが悪化します。(インスリンの分泌増加、糖尿)

キシルロース-5-リン酸は肝臓内で脂肪(肝脂肪)の生産を増やします。これだけでなく、クエン酸にも変換されVLDL、遊離脂肪酸、junk1を増やします。

まとめますと果糖は肝臓で
尿酸を増やす。(痛風、腎臓結石、高血圧の原因。)
肝脂肪を増やす。
遊離脂肪酸を増やす。(インスリン抵抗性の増加、糖尿、脂肪の増加)
VLDL(超悪玉コレステロール)、中性脂肪を増やす。(心臓疾患、脂肪の増加)
junk1の増加。(肝臓の炎症、肝臓のインスリン抵抗性の増加)
37%の果糖は脂肪になります。


果糖の肝臓への毒性はアルコールとほぼ同等、それ以上と言えます。(150カロリーのコーラを飲むと90カロリーが肝臓に到達します。ビールを同じ150カロリー飲むと92カロリーが肝臓に到達します。)統計のように肝臓障害の増加は果糖にあります。

これだけでなく、インスリンの抵抗性が増えると満腹を感じさせるホルモンのレプチンの働きが鈍り、常に空腹を感じることになります。ですから砂糖、果糖ブドウ糖液を多く食べると脂肪が増え常にお腹が減り、もっと甘いものが食べたくなります。結果として肥満、糖尿病になります。

糖分は糖分でもブドウ糖と果糖はまるで別物です。また旧態依然のカロリー計算をするとブドウ糖と果糖は同じ値のカロリーとして扱われますが代謝のされ方がまるで違いますので古いカロリー計算でダイエットを行ってもまるで意味がありません。米を100g食べるのと砂糖を100g食べるのでは同じことにはなりません。果糖は37%脂肪になりますので、体重を落としたい方はまず砂糖、果糖ブドウ糖液を止める必要があります。

今回のブログを書くに当たってカリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部内分泌科Robert Lusting教授の講義を参考にさせていただきました。この講義はYoutube” Sugar The Bitter Truth”でご覧になれます。http://www.youtube.com/watch?v=dBnniua6-oM








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