ウチの近所は一軒家が多かったせいか
ホームレスを見かけることがなかったのですが
十数年前の冬
線路沿いの並木のところに
ひとりのホームレスが住み着いたことがありました
日本とちがってブルーシートをはることもせず
樹の下とはいっても
雨が降ったら濡れる場所
彼は
まわりにいくつもの荷物をおいて
ひげも髪も
もぢゃもぢゃで
垢でまっくろけ
小さな折りたたみの椅子をおいて
同じ場所に座り続けていたのでした
私は自分がホームレスになるとは思わないけど
子供が何かの間違いでホームレスにならないとも限らないし
そのとき誰かに手を差し伸べてもらえたら嬉しいし
でも、恐い気がして
サングラスで顔を隠し
15分たってももどらなかったら見に来てね
と夫に頼んで
食べ物を届けました
するとホームレスさんは震える声で何か言う
フランス語だし
震え声なので全然聞き取れなくて・・・・
「フランス語わかりません」
なんて言って逃げました
私は自分の言語力不足のせいだと思ったけれど
長い間しゃべっていないホームレスは
発音も不明瞭で
フランス人でも理解できないんだそうです
で
それから毎日のように食べ物を届け
石鹸やティッシュなんかも届けたりして
顔なじみになって
でも相手は私が
「フランス語の出来ない人」
と思っているわけだし・・・・会話はありませんでした
気になりながら日本に帰る用があって
2~3週間留守になり
その間食べ物はどうしただろう・・・
とすご~く気になったのですが
パリにもどったら
その人はいなくなってました
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若いのか年寄りなのかすら不明だった
その人のことを
今でも時々思い出します
