皆さんこんにちは、珠下なぎです。

今日も来て下さって、ありがとうございます!

 

初めての方は初めまして。心療内科医でゆるく作家活動をしております、珠下なぎと申します。

現在、第60回講談社児童文学新人賞及び第26回児童文学ファンタジー大賞の最終候補となった、「遠の朝廷(みかど)にオニが舞う」をAmazonkindle版で発売中です。

 

 

 
この作品、訪れた新羅使たちを、主人公・瑠璃子と従者・鈴丸が、水城の大堤の上から見物しているシーンで始まります。
その後、新羅使たちは大宰府に迎えられ、時の筑紫大宰・栗隈王(くりくまのおおきみ)と対面します。
大宰府は、古代において、外交と防衛・そして朝廷の九州支配の拠点でした。
広大な敷地は今は公園として整備され、市民の憩いの場となっています。
 
政庁跡に足を踏み入れると、南門の跡があります。手前に見える二つの大きな石は、南門の礎石です。
 
 
南門の復元模型です。
南門を過ぎると、今度は中門の跡があります。
上空から見るとこんな感じ。一番手前が南門、画面中央やや下の、左右にある植え込みの上側にあるのが中門です。
 
中門をくぐると、真ん中に広場があり、左右に4つの脇殿があります。
使節との対面などの、主な行事は中央の広場で行われていたそうです。鈴丸が舞を披露したのもここ。
 
↓こちらは脇殿の跡です。
新羅使の従者の異変に気付いた瑠璃子と鈴丸は、脇殿の陰に隠れて対面の様子を見守っていました。

こちらは脇殿の礎石。ノートはB6サイズの私の創作用ノート。比較してみるとその大きさがわかるでしょう。
脇殿だけでも、50坪弱の建坪があるのではないでしょうか。
向こうに見えるのはおそらく太宰府市の軽トラ。
ここ、来るといつもおそらく市の職員の方が手入れをしています。これだけの広大な土地を管理するのは結構大変でしょう。
 
 
この日は近所のおチビさんたちが遊びに来ていたようで、お砂場道具が置いてありました。
ワンちゃんを散歩させている方も見かけました。入り口には「引き綱を必ずつけましょう!」の表示も。
広いのでドッグラン感覚でワンちゃんを放し飼いにする方がおられるのかも。
広場の南端から正殿跡を臨みます。大きな木の横に立っている石碑が正殿跡。
ここが正殿跡。筑紫大宰は、ここで政務に当たりました。
正殿跡は小高くなっており、正殿跡からさっきの広場を見下ろすとこんな感じです。
 

また、周囲は濠をめぐらせてあり、ここが要塞都市でもあったことを今更ながらに思い出させてくれます。

「遠の朝廷にオニが舞う」の最初の場面で鈴丸が舞う場面は、色々な方から「とても鮮やかで印象に残った」というご感想を頂いております。

近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ!

 

さて、後半はチェリまほキャラの魅力の続き。

 

今回からは湊くんについて。

 

ドラマ版でと漫画版でかなり印象の違う湊くん。

どちらも、「バイトしながらダンサーになる夢を追う若者」であることは共通しているのですが、ドラマ版と漫画版で大きく違うのは、ドラマ版ではゲイというセクシュアリティが明らかにされており、漫画版ではそれが明らかにされていないことでしょうか。

 

過去記事「チェリまほの性的指向(白村江の戦いとは何だったのか1~電子書籍にまつわるエッセイその㊺と、チェリまほの性的指向 | 心療内科医が現代日本の病理を斬る!~心のケアのあり方から震災後の日本社会について考える~ (ameblo.jp)」で書きましたが、湊くんはドラマの中で唯一、マイノリティである性的指向が明らかにされている人物です。

 

ドラマは性的指向が明らかにされていない人物(安達・柘植)、性的指向が変化しうる人物(黒沢)、アセクシャルの女性(藤崎さん)を描くことによって、様々な恋愛の形を、恋愛しないことも含めて容認する、現代らしい優しいドラマになっていると、この記事では書きました。

その一方で、湊くんのようにマイノリティである人物を一人、はっきりと描き出すことで、社会派ドラマとしてのメッセージを打ち出してドラマ全体を引き締めていると思うのです。

 

つまり、「いわゆるLGBTQであれ、マジョリティとLGBTQのどちらに属するかあいまいな人であれ、マジョリティであれ、様々な恋愛の形があり、誰もが自分の性的指向に従って幸せになるべきである」ということ。

 

湊くんと真逆ですが、ドラマのオリジナルキャラ・浦部さんの存在もそのために作られたんじゃないかという解釈も成り立つんじゃないでしょうか。

浦部さんは安達の先輩で(意外と)愛妻家。つまり、マジョリティ側の人間です。

(そもそも安達くんが一人で残業を引き受けて、黒沢さんの家に泊まることになったきっかけって、浦部さんが結婚記念日なのに残業を押し付けられそうになって、泣きそうになってるのを優しい安達くんが引き受けてあげたせいでした。漫画版では単に課長の横暴でしたが)

 

つまり、マイノリティ側の人物だけに焦点を当ててマジョリティを逆に否定する形にならないように、「マジョリティであり自分の恋愛(浦部さんはもう結婚していますが)を大切にして幸せになっている人物」をあえて描いたのではないでしょうか。

 

湊くんの話からいつの間にか浦部さんの話になってしまいました。脱線すみません。

 

この湊くんは、ドラマ版でも漫画版でも、チャラそうな見た目に反して、深い孤独を抱えた人物だと、私は思っています。

けれどその孤独の描き方が、セクシュアリティのことも含めて、ドラマ版と漫画版では大きく違っていると思うのです。

 

しかもその湊くんの孤独、私には他人事に思えなかったりします(笑)。

 

次回は湊くんの孤独について語りたいと思います。

 

最後まで読んで下さって、ありがとうございました!