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マリオネットラインへのヒアルロン酸注入
今回は、ほうれい線に引き続き、基本的な治療であるヒアルロン酸によるマリオネットライン治療について述べます。
→ヒアルロン酸によるほうれい線治療
マリオネットラインの原因
ほうれい線と同様に、加齢とともにマリオネットラインは深く目立つようになりますが、原因としては、まず2つに大別できます。
①皮膚のタルミによるマリオネットライン
マリオネットライン直下には、下顎骨リガメントがあり、皮膚と骨膜が固定されています。
ここにマーラーファット・バッカルファットの脂肪が下垂しのしかかり、リガメントの緊張によりマリオネットラインは深くくぼみます。
さらに皮下浅層にはジョウルファットのポッコリとした膨らみもあり、さらにマリオネットラインを目立たせます。
まず、今回もマリオネットラインとバッカルファット・リガメント・下顎骨の関係を簡略した断面図で表してみます。
左図の緑線の断面図バッカルファットの下垂と、浅いジョウルファットの膨らみが下顎骨リガメントにのしかかり、マリオネットラインを形成する。
元来、口角周囲の皮膚は、口の開閉運動に適応しゆとり（遊び）があるため、このように脂肪の下垂によりマリオネットラインの皮膚は容易にたるみ、深くなるのです。
②下顎骨の萎縮によるマリオネットライン
さらに加齢により、下顎骨は徐々に萎縮し陥凹していきます。
マリオネットラインより下方の組織陥凹により、マリオネットラインはさらに深く見えます。
先程の断面図下顎骨の萎縮による陥凹により、さらにマリオネットラインは深く見える。
さらに口角下制筋（口角を下げる筋肉）の過緊張もマリオネットラインを深くしますが、ここでは割愛します。
マリオネットラインの改善方法
①皮膚のタルミによるマリオネットラインの改善方法
口元のたるみによるマリオネットラインの改善には、スレッドリフトが不可欠です。
以前にも解説しましたが、
Zスレッドロングによるバッカルファットのリフトアップと、しなやかなPCL製のFスレッドによるジョウルエリアのリフトアップのコンビネーションが最適です。
これらスレッドリフトにより、口元のたるみは軽減し、マリオネットラインは改善します。
ZスレッドロングとFスレッドによりバッカルファットおよびジョウルファットをリフトアップする事で、口元のたるみは軽減し、マリオネットラインは改善します。
②下顎骨の萎縮によるマリオネットラインの改善方法
下顎骨の萎縮により、マリオネットライン下方の三角形の影は深くなり、マリオネットラインを目立たせてしまいます。
この三角形のくぼみによる影を、ヒアルロン酸やレディエッセ、ベビーコラーゲン等で埋めるだけでも、かなりマリオネットラインは目立たなくなります。
マリオネットライン下方の三角形のくぼみの影は、マリオネットラインをより深く見せている。 マリオネットライン下方の三角形のくぼみに対し、下顎骨リガメント下方へヒアルロン酸を注入し、マリオネットラインの段差を軽減させる。 こちらも、ヒアルロン酸注入にはカニューレ針を用い、ファンニング（扇形）注入がベストです。
軽度のマリオネットラインであれば、ヒアルロン酸注入のみでも十分に美しい結果を出すことができます。
しかし、この時も大切なのは、ヒアルロン酸の注入量と部位です。
ヒアルロン酸を過量に注入すると口元がもたついた印象となり、
またマリオネットライン上方に注入すると余計にジョウルファットの膨らみが悪化してしまします。
ヒアルロン酸の過量注入や、下顎骨リガメント上方への注入は、口元がもたついた印象となる。
③スレッドリフトとヒアルロン酸のコンビネーション
やはりマリオネットラインも実際には、①②の両方の要素が重なり合って形成しています。
マリオネットラインをヒアルロン酸で軽減させるためには、いかにバッカルファット・ジョウルファットのたるみによる高低差を小さくするかが重要となります。
スレッドリフトにより口元のたるみが改善すると、マリオネットラインは軽減し、ヒアルロン酸の注入量も減少（もしくは不要）となります。
つまり、スレッドリフトとヒアルロン酸のコンビネーションが、最も美しく、コストパフォーマンスに優れたマリオネットライン治療と言えます。
それでもマリオネットラインは難しい…
スレッドリフトとヒアルロン酸を駆使しても、それでもやはりマリオネットラインは難しいです。
まずここには、骨膜と皮膚を連結する強固な下顎骨リガメントがあるためです。
リガメントの絶対的な長さは決まっていますから、リガメントの短い方は自ずとマリオネットラインが目立ちやすいのです。
若い頃からマリオネットラインが目立つ方は、このタイプです。
これはゴルゴラインにも同じことが言えます。
そして、フェイスラインと口元は、顔の全てのたるみ・重さがのしかかる部位だからです。
顔面全体の皮下脂肪の下垂による荷重はかなりの量です。
それを口元だけ、フェイスラインだけを引き上げて支えるということは、非常に強い負荷がスレッド1本に掛るという事です。
たとえ強力な、長期吸収タイプのスレッドでも、やはり強い負荷には早く負けてしまい、たるみが生じてしまいます。
つまり、強い負荷に対抗するには、スレッドの本数が必要となります。
1本より2本、2本より3本で支えることで、
より強固なリフトとなり、
1本当たりの荷重は1/2、1/3となることで、
より持続力のあるリフトとなります。
そしてさらに、広範囲に及ぶスレッド周囲のコラーゲン産生は、より強固な、より持続力のある、面による固定となり、肌表面のハリツヤのアップにも貢献します。
スレッドが増えると、荷重はまんべんなく分散し、さらにスレッド周囲のコラーゲン産生によりたるみを面で支えることができる。
マリオネットライン改善には、
一つ一つのたるみの原因となる脂肪を確実に、
しっかりとリフトアップさせ、
定期的な補強、メンテナンスを欠かさず、
それでも残るマリオネットラインには、
少量のヒアルロン酸でアタッチメントを行うこと、
残念ながらこれしか方法はありません。
コツコツとがんばって行きましょう！
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